日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。1960年代のバイカー集団を描いた青春暴走群像劇!
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『ザ・バイクライダーズ』評点:★3点(5点満点)
「悪名」で維持されるコミュニティの終焉
ヘルズ・エンジェルス、バンディドスに次ぐ巨大モーターサイクル・ギャング「アウトローズ・モーターサイクル・クラブ」に焦点を当てたダニー・ライオンの写真集にインスパイアされたバイカー映画である。
アメリカの「アウトロー」バイカーには固有の文化とコード、価値観やアティテュードがあり、本作は60年代から70年代頭にかけて、そのスピリットが失われていく過程を描き出す。
作品中では明言されないが、その変化の背景には当然ベトナム戦争があり、ドリーミーな50年代や60年代の感覚が失われて殺伐の70年代へと突入していった経緯がある。
日本の暴走族と異なり、アメリカのモーターサイクル・ギャングは「いつまでも半端やってらんねえから」と「卒業」するようなものではないが(だからかなり年齢のいったメンバーも珍しくない)、しかしアウトローを標榜して自由にハイウェイを爆走しているだけで生活が成り立つわけでもない。
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だから彼らはコミュニティを作って自分たちの居場所を確保しようとするわけだが、暴力も辞さない「悪名」で維持されていたコミュニティはやがて、より先鋭化し狂犬化した若者たちに「ぬるい」とみなされてしまうのが世の常なのだ。
STORY:1965年、アメリカ・シカゴ。けんかっ早く無口なバイク乗りベニーは、地元の荒くれ者たちを仕切るジョニーと「ヴァンダルズ」というモーターサイクルクラブを結成。クラブは急拡大するが、内部分裂と敵対クラブとの抗争が起こる
監督・脚本:ジェフ・ニコルズ
出演:オースティン・バトラー、ジョディ・カマー、トム・ハーディ、マイケル・シャノン、マイク・フェイスト、ノーマン・リーダスほか
上映時間:116分
全国公開中