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2024年11月30日 06:11 ITmedia Mobile
オウガ・ジャパンは11月29日、スマートフォンのハイエンドモデル「OPPO Find X8」を12月12日に発売すると発表した。OPPO公式オンラインショップでの価格は13万9800円(税込み、以下同)だ。11月29日、専務取締役の河野謙三氏、営業推進部でプロダクトマネージャーの中川裕也氏、Hasselblad日本総代理店セキド代表取締役の大下貴之氏が発表会場に登壇し、製品の詳細や戦略を語った。
●3年ぶりのハイエンド「OPPO Find X8」、なぜOPPOはハッセルブラッドとカメラシステムを共同開発したのか
OPPO Find X8は、中国OPPOが11月21日(西インドネシア時間)に発表したハイエンドモデル。Findシリーズの新モデルは、2021年6月発売の「OPPO Find X3 Pro」以降、日本市場で出なかったが、7月20日のイベント「IIJmio meeting35」で、オウガ・ジャパンのプロダクト部の丹下氏が投入を予告していた。
河野氏いわく、Findシリーズは「OPPOが持つ最高の技術力と、妥協なき品質追求の結晶であり、私たちのDNAそのものを体現するフラグシップブランド」だ。「この3年間、私たちは沈黙を守ってきたが、その間もSNSやコミュニティーで次のFindはいつ来るのか? という期待の声は途切れなかった」と河野氏は振り返る。
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「3年間の沈黙は日本市場への情熱の冷却ではない。むしろその逆だ。私たちは日本の皆さんが持つ匠(たくみ)の心に強い敬意を抱いている。品性のあくなき追求、細部へのこだわり、革新的な技術への造形がOPPOの価値観と完全に重なるからこそ、この3年間、一切の妥協を許さず、完璧を追求してきた」(河野氏)
OPPO Find X8を「最先端技術と美しきデザインの融合、そして妥協なき品質管理が生み出した真のプレミアムスマートフォンだ」と河野氏は言い表す。その最大の特徴の1つに、スウェーデンのカメラメーカー「Hasselblad(ハッセルブラッド)」との協業によるカメラシステムを搭載する点が挙げられる。その名は「Hasselblad Master Camera System(ハッセルブラッドマスターカメラシステム)」で、超高性能ズームと最新AI搭載機能を備える。
ハッセルブラッドは、1841年に国際的な貿易商として創業以降、さまざまな写真用品を販売してきた。ハッセルブラッドブランドのカメラの歴史は、空撮カメラの「ROSS HK-7」から始まり、1969年には世界初の月景色撮影に成功。2016年には世界初の中判ミラーレスカメラ「X1D 50C」を発売した。実は、ビートルズがアビーロードを横断する姿も、ハッセルブラッドのカメラで撮影されている。
ハッセルブラッドカメラの特徴は大きく3つある。1つ目はフルサイズカメラを上回るダイナミックレンジで、「後処理の余地が大きく、明暗部のディテールを含め、豊かな表現が可能」(大下氏)な点。2つ目は色彩表現が非常に忠実である点で、「光と影を大胆に捉え、人間の目で見たままに近い色を、忠実に再現できる」(大下氏)という。
そして、3つ目はハッセルブラッドナチュラルカラーソリューション(通称HNCS)を持つ点だ。大下氏は「多くのカメラメーカーは、色彩を正しく見せるため、色彩設定に加え、さまざまなシーンに応じた色彩プリセットを用意するが、実際の撮影シーンにおける被写体は複合的で、1枚の写真に風景、人、その他の物体が同時に写り込むことがよくある」と指摘。その上で、「HNCSを持つハッセルブラッドが、長年にわたるフィルム分野での色彩経験を生かし、リアルで自然な色彩を再現できるようにした」と話す。
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河野氏は、「どこ(どのカメラメーカー)と組むかについては、過去にカメラフォンと銘打ち、スマートフォンを世に送り出してきたメーカーにとって非常に大切だが、OPPOが持っていたカメラの色味を180度曲げてまで、著名なカメラブランドと共用することはない」と前置きし、OPPOがハッセルブラッドと手を組み、カメラシステムを共同開発した理由を次のように述べた。
「ハッセルブラッドは、世界中のプロフェッショナルな現場で使われてきたカメラであり、色表現の忠実度が高いメーカーだ。OPPOは、もともとAV機器メーカーとしてユニバーサルブルーレイプレーヤーを販売してきた。映像表現、色の再現性には歴史的に見ても、非常に強みを持っている。スマートフォンのカメラのイメージセンサーは複数メーカーのものを採用しているが、どのような色を見せるかは非常に大切にしてきた。OPPOとハッセルブラッドの色の方向性が一致したため、2022年に手を組むことにした」(河野氏)
●世界初をうたう「W型のプリズム構造」を採用
アウトカメラは、F1.8の広角レンズ、F2.0で画角が120度の超広角レンズ、F2.6で光学3倍ズーム対応の望遠レンズの3眼構成で、有効画素数はいずれも約5000万画素となっている。インカメラは約3200万画素でF2.4のみだ。このうち、望遠カメラについては、OPPOが特にこだわったところ。光学3倍相当の望遠カメラながら、遠く離れた月を鮮明に撮影できるのもポイントだ。約7.9mmと薄型なボディーのOPPO Find X8で、なぜそのようなことが可能なのだろうか?
中川氏は、一般的なカメラの仕組みとの比較を交えこう説明する。「レンズから直線的にイメージセンサーに光が届く一般的なカメラの仕組みのままでは、焦点距離をほとんど確保できず、L字型にして厚みを抑えつつ焦点距離を伸ばせても、イメージセンサーが端末と垂直になり、小さなサイズのイメージセンサーしか使えず画質が落ちる」(中川氏)ことから、OPPOは「世界で初めてW型のプリズム構造を採用」(中川氏)した。
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「レンズから取り込んだ光を3回反射させ、焦点距離を稼ぎながらイメージセンサーもスマートフォンと平行に配置することで大型化に成功。スマホ本体の厚みやカメラモジュールの突起を最小限に抑えたスリムなデザインでありながら、一般的なハイエンドモデルの光学3倍望遠カメラと比べて、「約2.5倍のサイズとなる1/1.95型の大型センサーを搭載でき、望遠カメラでの高画質な撮影を可能とした」(中川氏)
●窓越し撮影時の反射除去、Geminiやかこって検索も利用可能 性能はどう?
AI機能に関してもOPPO Find X8の売りとなっている。AIで被写体の動きを自動で検知し、被写体に合わせて最適なシャッタースピードを自動調整できることに加え、短いフレームで一瞬の動きを捉えつつ、長いフレームで画質を確保するデュアルフレーム技術により、「1秒間に約7枚、30秒で最大200枚記録でき、動きのある被写体をしっかり捉えながら、高い品質で撮影できる」(中川氏)という。
オウガ・ジャパンが6月に発売した「OPPO Reno11 A」で初搭載したAI消しゴムもOPPO Find X8で利用できる。このAI消しゴムがさらに進化し、背景に写り込んだ人物を認識して削除できるようになった。「例えば、人が多い観光地で撮影した写真でも、手作業で一人一人消していく手間をかけず、ワンタップで簡単に処理できる」(中川氏)
反射が写り込み、通常ならうまく撮影しづらい、窓越しの撮影シーンにおいても、AIが役立つ。OPPO Find X8では、写り込んだ反射を識別してきれいに除去でき、「観光地や展望タワーからの眺め、電車や飛行機からの景色をきれいに美しく残せる」(中川氏)という。写真のトリミング時に失われる鮮明さやシャープさをAIで取り戻すAI鮮明度強化機能、まばたきをした目を開いた状態に戻すAIベストフェイス機能、1枚の顔写真から生成AIと多彩なテンプレートで、もう1人の自分を生成できるOPPO独自のAIスタジオアプリも利用できる。
GoogleのAIアシスタント「Gemini」や、検索したいものが含まれる画面を表示した状態で、ナビゲーションバーかホームボタンを長押しした上で、円を描くように気になるものをかこって検索できる「かこって検索」も利用できる。AIで、ディスプレイに表示された文章を要約したり、翻訳したり、メッセージを作成したり、文法を修正したり……といったことも可能だが、日本語への対応ができていないことから、「2025年3月以降に対応する予定」(中川氏)だ。
プロセッサにはMediaTek Dimensity 9400を採用しており、省電力コア非搭載の全ビックコア設計であることに加え、エージェンティックAI対応のNPUを搭載し、先述のAI関連機能の処理に活用する。OPPO独自のトリニティエンジン(アプリデータ圧縮技術、システム劣化防止機能、パフォーマンス最適化)は「さらに多くのリソースへアクセスでき、性能を引き出しながらエネルギー消費を抑える」(中川氏)ことが可能になった。
ゲームプレイ時のパフォーマンスについて、中川氏は「原神ならゲーム開始時から最高の60fps、PUBGなら120fpsを維持し安定してゲームをプレイできる」と一例を示し、「ラグやフレームドロップがほとんど発生しない」とアピールする。ゲームなどの負荷の大きな操作による発熱は、「高品質なグラファイトシートと、大型の水冷機構で効率的に発散させ、パフォーマンスの維持につなげている」そうだ。
●OPPOのスマートフォン史上、最も極薄のベゼルを実現
AIやゲームプレイ時における性能だけでなく、携帯電話としての耐久性能の追求もOPPO Find X8の大きなアドバンテージだ。日本初となるIP69等級の防塵(じん)・防水性能を持ち、真水への浸水や高圧洗浄の水圧、80度の熱湯噴射にも耐えられる、最高等級の防水性能となっている。水滴による画面の誤操作を軽減する、スプラッシュタッチ機能を搭載する。ピーク輝度が4500ニトと高輝度の有機ELディスプレイの保護ガラスには、Corning Gorilla Glass 7iを採用し、米国軍用のMIL-STD-810H規格に準拠している。第三者機関のSGSによる耐衝撃試験もクリアし、薄さ7.9mmながら耐久性能も売りにしている。
「OPPOのスマートフォン史上、最も極薄のベゼルを実現」(中川氏)というわずか1.45mmのベゼルも特徴だ。「ガラスカバーを固定するためのスペースを確保する従来の設計では、ディスプレイの黒い縁の部分に厚みが出てしまうが、OPPO Find X8ではディスプレイケーブルそのものを固定化して、さらにその下側を接着することで、固定スペースや緩衝スペースを節約できた」(中川氏)という。
●おサイフケータイがOPPO A3 5Gにあって、OPPO Find X8にない理由
オウガ・ジャパンが同時に発表した、Aシリーズのミッドレンジモデル「OPPO A3 5G」(直販価格は3万2800円)も薄さ7.7mmと、OPPO Find X8よりもさらに0.2mm薄いボディーでありながら、約1.3mの高さからの落下衝撃に耐えられるが、IP54等級の防塵(じん)・防滴の性能で、OPPO Find X8と同等の防水性能は持たない。他にも、アウトカメラが約5000万画素で明るさがF1.8の広角レンズと、約200万画素の深度測定用のデュアル構成である点、ディスプレイが約6.7型の液晶である点、プロセッサにMediaTek Dimensity 6300を採用する点など、細かく見れば、OPPO Find X8との違いは多くある。
バッテリーについても、OPPO Find X8が5630mAhのバッテリーをOPPOの急速充電技術である80W SUPERVOOCフラッシュチャージの使用により約58分で充電できるのに対し、OPPO A3 5Gでは45W SUPERVOOCにより30分で約50%まで、84分で100%まで充電できる。
日本のスマートフォンユーザーの多くが気になるであろうおサイフケータイの対応可否も同時に明らかとなった。OPPO A3 5Gはおサイフケータイ、マイナンバーカードの「スマホ電子証明書」に対応し、コンビニで住民票の写しなどを発行できる。一方、OPPO Find X8はおサイフケータイとスマホ電子証明書には対応しない。
この点は、両モデルの販路、投入時期が大きく起因しているようだ。販路はOPPO Find X8がKDDIのau +1 collection、IIJmio、ヤマダ電機、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、Amazon、楽天市場などで、OPPO A3 5Gがソフトバンク(Y!mobile)、楽天モバイル、IIJmio、mineo、HISモバイル、NUROモバイルなどだ。つまり、OPPO Find X8は大手キャリアが回線契約を伴わずに販売する、いわばアクセサリーと同じ扱いにとどまる。
河野氏は「関係者の方々(OPPO製品を販売する方々、製品の企画段階から関わる方々)が増えるほど、製品に求めるもの、いわゆる日本市場へのローカライズの要求は上がってくる。そうなると、状況によっては製品を世に出しづらくなる」と前置きした。
その上で、「OPPOがメーカーとしてこれから先のOPPOの取り組みや、企業としての方向性を一番強く打ち出したい製品だったことに加え、(中国での発表後に)いち早く日本市場に投入したかったため、あえて(キャリアの)しがらみのないSIMフリー市場での販売を決めた」と、OPPO Find X8がおサイフケータイ非搭載になった事情と日本市場への投入意図を語った。
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