秋のGIシリーズもはや終盤戦へ。今週行なわれるのは、下半期のダート王決定戦となるGIチャンピオンズカップ(12月1日/中京・ダート1800m)だ。
今年は、昨年の覇者レモンポップ(牡6歳)の引退レースとなる。前走の地方交流GI南部杯(10月14日/盛岡・ダート1600m)でも勝利し、状態は万全。有終の美を飾りたいところだろう。
しかし、「昨年2着のウィルソンテソーロ(牡5歳)、今年のGIフェブラリーS(2月18日/東京・ダート1600m)を制したペプチドナイル(牡6歳)、海外重賞のコリアカップ(9月8日/ソウル・ダート1800m)で連覇を遂げたクラウンプライド(牡5歳)、さらに地方競馬の南関東からミックファイア(牡4歳)と、今年のチャンピオンズカップは多彩なタレントが集結しました」と、中日スポーツの大野英樹記者。レモンポップにとって、連覇へ向けてのハードルは決して低くない。
そして大野記者は、レモンポップに一目置きつつも、不安要素を指摘する。
「展開の紛れが少ない中京・ダート1800m。やはり今年も、機動力のあるレモンポップが中心、という見方が妥当でしょう。ですが、早くから活躍してきた馬がすでに6歳。ラストランを前にして、大きな上積みを望むのは難しい印象があります。それに、1800mという距離も本質的には微妙に長いですし、のびのびと走らせたい馬が1枠2番という内枠を引いたのも気になるところです」
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大野記者はまた、フェブラリーSで戴冠を遂げ、前走の南部杯でレモンポップと好勝負を演じた(2着)ペプチドナイルにも懐疑的な目を向ける。
「春秋の"砂王"を目指すペプチドナイルも、2枠4番と内目の発走。もまれたときに不安を残すとあって、好枠を引いたとは言えません。外目の枠を引いていれば、南部杯2着からの逆転の目もあると見ていましたが、どうでしょうか。
こうした有力馬の枠順によって、波乱も十分に起こり得るレースとなりました」
そこで大野記者は、波乱を起こしそうな穴馬候補をピックアップ。最初に「面白い存在」と言って注目するのは、セラフィックコール(牡4歳)だ。
「レース間隔が詰まると反動を受けやすいタイプとあって、昨年はGIIIみやこS(京都・ダート1800m)を勝ってデビュー5連勝を決めたあと、この舞台で10着(2番人気)と大敗を喫しました。しかし今年は、6月の地方交流GI帝王賞(8着。6月26日/大井・ダート2000m)以来のレース。フレッシュな状態で臨めます。
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実際、久々ながら1週前の追い切りで、栗東CW6ハロン80秒8−1ハロン11秒4という好時計をマーク。併走馬に大きく先着して、絶好の動きを見せました。
今回はメンコを外して、ブリンカーを装着。試行錯誤のなかでのGI戦となりますが、その効果もあって、稽古での行きっぷりはよくなっています。これまでの追い込み一手の姿からも脱却できそうなムード。ここ2戦の走りから人気を落としそうな今回、馬券的には大きな狙い目と言えます」
大野記者はもう1頭、気になる馬がいるという。芝を含めて6度目のGI挑戦となるガイアフォース(牡5歳)だ。
「鞍上を務める長岡禎仁騎手がこの中間もつきっきりで調整。1週前の追い切りでは、栗東坂路で4ハロン49秒8−1ハロン12秒0と自己ベストを更新し、圧巻のアクションを披露しました。
これまでの実績からもわかるように芝でも戦える馬ですが、母の父はクロフネで馬体はがっちり。初ダートとなった2月のフェブラリーSで、並み居る強豪を抑えていきなり2着と好走。よほどダート適性が高くないとできない芸当だと思います」
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母父クロフネは、このレースの前身であるGIジャパンカップダート(東京・ダート2100m)でぶっちぎりのV。母ナターレは地方競馬の南関東を中心に活躍し、ダート適性が高いのも頷ける。ダート戦で悲願のGI制覇を果たしてもおかしくない。
「手前替えにおいて、いくらか器用さを欠くところがあるので、本来はワンターンの舞台がいいのは確かですが、そこは乗り慣れた長岡騎手の手腕に期待。大外枠発走ながら、ダートではまだ底を見せていない相棒をうまく導いてくれるはずです。大駆けがあっても驚けませんよ」
激戦必至のダート頂上決戦。人気の盲点となりそうな実力馬2頭が高配当を運んでくるのか、必見である。