こんにちは。これまで1000人以上の男女の相談に乗ってきた、恋愛・婚活コンサルタントの菊乃です。髪もボサボサで化粧もしない“完全なる非モテ”から脱出した経験を活かし、多くの方々の「もったいない」をご指摘してきました。誰も言ってくれない「恋愛に役立つリアルな情報」をお伝えします。
マッチングアプリが恋活・婚活の主流になって久しいですが、もちろん出会う人全てが「いい人」とは限りません。好みじゃないという程度ならいいのですが、中には“ヤバいユーザー”が紛れていることも。
マッチングアプリの運営側は、どのように対策しているのでしょうか。大手の恋活・婚活マッチングアプリwith(ウィズ)でプランナーとして働く、有坂さん(31歳)に取材しました。合わせて、マッチングアプリの最新事情も聞いてみました。
◆必死で“禁止行為”をしようとする男性ユーザー
マッチングアプリのユーザーでヤバい人はいるのかや、その対策について聞いてみました。
「ユーザー様が詐欺などのトラブルに巻き込まれないように、アプリで知り合ったお相手とチャットでのLINEやInstagramなどの個人情報交換は原則禁止しております。
マッチングアプリの外でやり取りされると何かあった際に運営が対応できないので、リアルで会うまではアプリ内でやり取りしていただきたいのですが、一部の男性ユーザー様は必死に女性と連絡先を交換しようとします。
プロフィールにもLINEのIDは書けないようになっていますし、マッチング後のメッセージでも『LINE』や『ライン』『らいん』などのワードを入れて送ると、相手側にも警告が表示される仕組みになっています。
それでも、警告が出ると印象が悪いというので、『L』と形が似ている平仮名の『し』を使って『しINE』と送ったり、絵文字の“ID”を使ったりして、相手とLINE交換しようとするユーザーさんもいました」(有坂さん、以下「」内同じ)
必死でLINE交換しようとしても印象が悪いし、「しINE」なんて送ったところで相手に通じないかもしれないのに。努力の方向がだいぶズレているユーザーもいるのですね。
筆者も、連絡先はリアルで会った時の交換を推奨しています。仮にアプリ内でLINE交換ができても、秒で相手からブロックされたりしてデートまでたどり着かないことが多いのです。
なお、警告が出る指定ワードは日々更新されており、今は「しINE」と送っても警告が出るそうです。
◆「マッチングアプリにはサクラがいる」口コミの“実態”
マッチングアプリを運営していて、ユーザーさんの行動で困ることは他にもあるそうです。
「アプリの口コミに『サクラがいる』と書かれることがあり、困っています。運営がサクラを雇うことはないんですけど」
なぜ「サクラがいた」と感じるユーザーがいるのかというと、マッチングしてメッセージのやり取りをし始めた相手がすぐに退会したり、アプリを退会しようとしたタイミングで「いいね」がついたりすることがあるためです。特に男性は「サクラがいる」と感じるケースが多いでしょう。
前回の記事でもお伝えしましたが、マッチングアプリは主に男性がたくさんの女性に「いいね」を送り、女性は「いいね」をくれた男性を選別する構造になっています。そのためマッチング1件の“重み”が男女で異なるのです。
男性には女性からの「いいね」があまり来ないのでマッチングする人数も少ない傾向にあります。一方で、女性は「いいね」をもらいやすく、何百件も「いいね」をもらい、数十人とマッチングしていたりします。
そんな中で、一人一人の男性の優先順位は簡単に下がってしまいやすいですし、不快に感じる言動があれば相手からブロックされることもあります。マッチングアプリでブロックされると、相手側には「退会したユーザーです」と表示されるのです。
◆なぜ男性ユーザーは女性を「サクラ」と思いやすいのか
また、退会した相手が不正ユーザーというケースもあります。なりすましなどの不正ユーザーかどうかは、プロフィールの他、メッセージ内容や通報から判断するそうです。不正ユーザーも対策に対応して進化するため、今の不正ユーザーはプロフィールだけでは分かりにくくなってきています。
男性は相手からのメッセージを閲覧するには有料会員にならなければなりません。有料会員になってすぐに相手が退会すれば、「サクラだ」と感じてしまうケースもあるでしょう。運営としては安全対策のためにやっていることなのに、サクラと呼ばれるのは歯痒いですね。
それから、退会しようとすると「いいね」が付くのは、ログイン中のユーザーの方が閲覧されやすいためです。やめようとしてアプリを開くとログイン中になります。ユーザーを引き留めようとしてアプリ側がサクラを雇い「いいね」をしているわけではないのです。
アプリに限らず婚活パーティーなどでも、タイプじゃない異性に対し「友達の付き添いで来た」と言うケースがあります。筆者はこういう場面に遭遇して「サクラがいた」と言っている方にもお会いします。自分が魅力的なら「友達の付き添いで来た」とは言われないのですが、自分に都合がいいように解釈してしまうのですね。
◆「恋人ができるまでに会った平均人数」の少なさに驚き
有坂さんによると、「人気があるユーザーほど恋人ができている」というわけでもないそうです。気になったので、アプリで恋人ができる人は、何人ぐらいに会っているのかを教えてもらいました。
「アプリ内で行ったアンケートによると、お付き合いするまでリアルで会った平均人数は1.5人です」
とのことで、予想よりずっと少なくてびっくりしました。マッチングアプリで数十人とデートして恋人ができたような平均値を爆上げさせるユーザーもいることを考慮に入れると、リアルで会った最初の1人とお付き合いしている人も多いのかもしれませんね。
たくさんの口紅を試し塗りするとどれが似合っているか分からなくなって買えなくなるのと同じで、たくさんデートするほど決められなくなるというのはあるかもしれません。恋人ができる人は“決断できる人”ですね。
◆“中の人”に聞いた「印象的だったカップル」は
運営が把握しているカップルの中で、これまでに印象的だったケースを教えてもらいました。
「よくあるケースなのですが、実はリアルで同じコミュニティに所属していて、そこでは出会わなかったけれどwithで出会ってお付き合いした、というご報告を頂くことがあります。
例えば、マッチングしてから同じ大学出身と知って、付き合って初めてお互いの卒業アルバムにも相手が写っていたと分かったとか、あとは、共通の知り合いが何人もいたことに気が付いた方もいました。地元が同じ人とwithで知り合って、お付き合いした方もいます」
マッチングアプリで偶然知り合った相手が同じ地元や母校であれば、運命を感じて一気に距離感が縮まってしまうかもしれませんね。
身近にいた時は親しくなることもなかったのに、マッチングアプリで知り合った相手だからこそ親近感が出る。それが興味を持つきっかけになりお付き合いに発展するのは、現代ならではと感じました。
【マッチングアプリ中の人・有坂さん】
価値観重視のマッチングアプリwithでプランナーとして働くアラサー女性。
<取材・文/菊乃>
【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt