2024年冬のボーナスの見込み額について、業種別で、かつ時系列でデータが分かる調査データに基づいて、全体の傾向、各産業別の増減を見ていきます。
2024年冬のボーナスは平均で83万5133円。対前年同期比で3.4%の増加
一般財団法人 労務行政研究所が、東証プライム上場企業のうち183社から回答を得た集計結果によれば、2024年冬のボーナスの妥結額は、全産業平均で83万5133円。対前年同期比で3.4%の増加となりました。
2020年に入り、新型コロナウイルス感染症の影響が顕在化し、2020年冬のボーナスは▲3.2%と大幅ダウンとなりました。2022年冬のボーナスは前年から8.5%の大幅増加に転じ、2023年は伸び率1.5%の増加。そして2024年冬ボーナスの支給水準は調査開始の1970年以降、最高額の83万5133円となり、3年連続で対前年同期比がプラスとなりました。
東証1部上場企業を対象にしていた調査は、2022年4月に東証の市場再編(市場区分見直し)が行われたことにより、東証プライム上場企業を対象にしています。以前と同一企業で比較されていますので、市場再編による影響はありません。
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産業別トップは「自動車」の102万9157円。次いで「輸送用機器」の94万807円
産業別で見ていきましょう。・製造業の平均は86万7759円、対前年同期比で3.2%増。
・非製造業の平均は71万641円、対前年同期比で4.3%増。
2024年の冬のボーナスは、全産業・製造業全体、非製造業全体全てがプラスでしたが、業種によって増減の幅が大きい結果となっています。
個別の産業で見ると、昨年から減少となったのは、製造業では、「非鉄・金属」、「その他製造」のみ。非製造業では、全業種でプラスとなりました。
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非製造業は、製造業と平均額では約16万円の開きがあります。非製造業の平均額トップは「情報・通信」の88万3250円で、前年から2.2%のプラスになりました。
全体としては、コロナ禍で落ち込んだ業績が回復し、支給額が3年連続でプラス、今年は過去最高額となっています。
平均支給月数は2.61カ月で前年から微増
ボーナスは企業業績に左右されるもので、月収の何カ月分かが、その指標の1つになります。今回の調査では、全産業で2.61カ月(2023年年末実績2.57カ月)、製造業で2.71カ月(同2.67カ月)、非製造業で2.12カ月(同2.07カ月)と、支給月数も平均額同様、製造業と非製造業ともに前年実績より増加しました。変動するボーナスを過信しない、家計管理の徹底を
実際の家計では、平均額、他業種の状況よりも、「それで、自分の会社は、自分の場合は、いったいいくらなのか」が全てであり、他の会社や産業、他人と比較しても仕方ないことです。すでに、ボーナスの見込み額を把握している人も多いでしょう。
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例えば、下記に挙げる5つのポイントを参考に、今度のボーナスの使い道を考えておきましょう。
1:毎月の生活費の赤字補てんに回すのは今回限りとする
今回のボーナスで赤字は解消し、毎月の収支を見直すきっかけとする。ボーナスは家計の調整弁ではあるが、毎回、毎月の赤字の補てんでは、貯蓄を増やすことはできない。物価高が続き、家計管理は大変な状況にあるが、再度、家計支出の見直しを図り、ボーナスに依存した家計からの転換は必要。2:ボーナス払いのクレジットカードの引き落としは最低限にとどめる
大きな買い物はボーナス払いにしがち。不要不急の買い物は、できるだけ半年、年間で計画を立て、予算内に収まるようにし、ボーナス払いの衝動買いは避けること。クレジットカードのリボ払いもNG。リボ払いは借金が積み重なり、多重債務に陥る可能性がある。一時的にカードローンなどを利用した世帯は、ボーナスなどで早めに清算することも大事。3:住宅ローンの繰り上げ返済に回す
金利上昇のニュースに慌てることなく、借入金利が低ければ、繰り上げ返済が最優先ではない。子どもの教育費など、他に優先すべきことがないかチェックする。借入金利が現状より高ければ、金利交渉、借り換えが優先。また、ボーナス払いを併用していて、ボーナスの減少によって支払いに影響が出る場合は、返済プランの見直しを借入先の金融機関に早めに相談すること。逆にボーナスが増えて余裕があれば、少額での一部繰り上げ返済を検討してもいい。4:ボーナスが残ったら貯蓄するのはダメ
毎月の貯蓄と同様に、ボーナスの貯蓄も先取りで貯蓄をする。ボーナスで使う予算を決めて、それ以上使わないように、ボーナスが出たら、先に貯蓄をする。いったん、給与振込口座から別の口座に移し替えるのも有効。またNISAなどの投資に貯蓄分を全て投入せず、現預金を増やすことも考えておく。5:ボーナスが出てから使い道を決めるのはダメ
貯蓄分、使う分を決めたら、必要以上に普通預金に入れっぱなしにしないことが大事。ボーナスが支給されてから使い道を考えると、気が大きくなって余計な出費をしがち。リベンジ消費と言われているが、世間の動きに惑わされず、冷静に行動すること。くれぐれも、せっかくのボーナスが、気が付いたらなくなっていた、ということがないよう有意義な使い方を心掛けてください。
【データ出典】
一般財団法人労務行政研究所『東証プライム上場企業の2024年 年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査』
文:伊藤 加奈子(メディアプロデューサー、ファイナンシャルプランナー)
マネー誌『あるじゃん』や住宅関連誌、ライフスタイル誌などの数多くの媒体を立ち上げたメディアプロデューサー。マネープランクリニックの執筆を担当し、実際の家計の取材に基づいた「お金の話」や「貯蓄の話」の発信を行う。
(文:伊藤 加奈子(メディアプロデューサー、ファイナンシャルプランナー))