■発見例が少ない珍しいキノコ
島根県隠岐の島町でとても珍しいキノコ、アンドンタケが発見されたというニュースがあった。BSS山陰放送のニュースによれば、自然観察指導員の白石泰志氏が発見したという。アンドンタケは全国的に発見例が少なく、かなり珍しいキノコであり“希菌”と呼ぶにふさわしいだろう。ちなみに、高価なキノコの代名詞・マツタケは言うほど珍しいわけではない。
(参考:【写真】青くて美しいキノコの名前は? さまざまな種類のキノコたち)
アンドンタケの仲間のキノコは、全体的に発生件数が少ないものが多い。カゴタケ、アカカゴタケ、イカタケ、アカイカタケ、アカダマタケなどは滅多にお目にかかれないし、そしてどれも独特の見た目をしていて、いわゆるキノコっぽくないキノコなのである。カゴタケやイカタケはまさに名前通りの見た目をしていて、自然界の神秘を感じさせる。
そして、最大の特徴は悪臭が漂う点だろう。これはキノコの表面に付着している黒い液体が放つ臭いなのである。このなかにはキノコの種にあたる胞子が入っている。悪臭でハエなどの虫をおびき寄せ、ハエの体に液体をつけ、胞子を運ばせるのだ。なかなか合理的で、創意工夫が光る生態ではないか。
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この仲間のキノコでは、スッポンタケがもっともポピュラーな仲間で、その見た目はスッポンの頭というより、どこか男性の“アレ”を彷彿とさせるものがある。しかも先端から悪臭を放つ。スッポンタケの学名は実はその形状にちなんだものだが、ここで書くことができないので詳しくは調べてほしい。なお、スッポンタケは食用になる。
■キノコの女王・キヌガサタケ
キヌガサタケというキノコもある。スッポンタケにレース状のマントがついたようなキノコで、その美しさゆえに“キノコの女王”と呼ばれる。かつて児童書の題材にもなったので、一定の年齢の人は学校の図書館で読んだことがある人もいるかもしれない。竹林の中に発生しやすく、そのたたずまいは可憐で確かに“女王”なのだが、やはり悪臭を放つ。
このキヌガサタケは中華料理の高級食材として有名だ。横浜中華街にある中華料理店ではキヌガサタケ入りのスープを提供する店がある。キヌガサタケに近い種類として全体が薄黄色をしたウスキキヌガサタケという仲間もあり、こちらも発生することは稀なキノコだ。お目にかかれたら幸運である。
YouTubeではキノコ狩りの動画が多数UPされているし、キノコの愛好家が増えているようである。アウトドアブームの影響で、自然観察の人気が高まっていることもキノコファンを増やしている要因かもしれない。そんなキノコ狩りの必需品といえばキノコ図鑑であるが、購入の際は可能な限り初版が新しいものを使うようにしたいものだ。
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科学は常に情報が更新されていくため、今日正しいと思われていたものが明日間違いになるパターンがよくある。キノコの場合、20年前と分類の仕方が変わっていたり、食用と考えられていたものが実は毒キノコだった…というケースがいくつもあるので、図鑑を買うときは注意してほしい。
(文=山内貴範)
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