住宅設備機器販売などを手掛ける「橋本総業」(東京都中央区)が運送事業者に時間外料金を支払っていなかったとされる問題で、同社が再発防止策などを盛り込んだ改善計画を公正取引委員会に提出したことが3日、関係者への取材で分かった。独禁法上の「確約手続き」に基づくもので、公取委は近く計画を認定する見込み。
確約手続きは行政処分の一つ。計画の内容に実効性があると認められれば、課徴金納付命令などを受けない。独禁法違反の疑いがある行為について、公取委と事業者の同意で早期解決を図る制度で、2018年12月に導入された。
関係者によると、橋本総業は遅くとも17年7月以降、仕入れた住宅設備機器などの販売店への配送や積み込み作業を委託していた運送事業者に対し、時間外料金を支払わなかった。また、事業者側に落ち度がないのに、事前に定めた代金から「割戻金」名目で減額していたという。
物流業界での運転手の時間外労働規制強化に伴い輸送力が不足する「2024年問題」を踏まえ、公取委は業界内の監視を強化している。公取委は6月、独禁法違反(不公正な取引方法)容疑で、橋本総業を立ち入り検査していた。
橋本総業は東証スタンダード上場「橋本総業ホールディングス」の100%子会社。関係者によると、公取委は11月上旬、確約手続きに基づき違反の疑いを通知していた。
独禁法は荷主による物流業者への不公正な取引を規制する「物流特殊指定」を定めている。公取委は先月、オフィス家具大手のイトーキ(東京都中央区)に対し同指定で15年ぶりとなる警告を出している。