打ち込まれた“ウイニングショット”…前田健太が新天地で味わった屈辱と後半に見せた復活の兆し

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2024年12月04日 17:01  ベースボールキング

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ベースボールキング

タイガース・前田健太(写真=GettyImages)
◆ データで振り返る!メジャー日本人選手の2024年

▼ 第2回・前田健太

 メジャー9年目を新天地で迎えた今季の前田健太。前年オフにタイガースと総額2400万ドル(当時のレートで約35億円)で2年契約を結び、若手中心のローテーションで軸を担う一人として期待された。

 ところが、5試合に登板したオープン戦で2勝1敗、防御率5.82とやや打ち込まれると、初登板となったチーム開幕2戦目の先発マウンドで4回途中までに6点を失ってノックアウト。その後はやや持ち直したが、自慢の制球が乱れる試合も少なくなかった。

 4月末の時点で5.96だった防御率は、5月末に6.25、6月末時点でも5.76と、5点台と6点台を行ったり来たりの状況。結局、オールスター直前の7月9日(現地時間、以下同)までに16試合に先発したが、6回以上を投げて自責点3以下に抑えるクオリティースタートを記録したのは2試合のみに終わった。

 7月9日のガーディアンズ戦では、3回途中6失点と炎上し、防御率が7点台まで悪化。その後は中継ぎに配置転換され、主にロングリリーバーとして後半戦を過ごした。

 結局、タイガースでの1年目は29試合(うち17試合が先発)に登板し、3勝7敗、防御率6.09。トミー・ジョン手術からのリハビリで登板のなかった2022年を除けば、勝利数と防御率はともにメジャーでの自己ワーストだった。

 ただ、チームは後半戦に快進撃を見せポストシーズンに進出。前田もオールスター後は救援投手として防御率3.86と持ち直し、復活の兆しを見せたものの、ポストシーズンでのロースター入りを逃す屈辱を味わった。

 2年契約の最終年となる来季は、再びローテーション入りを目指すことを宣言している前田。あと35勝に迫った日米通算200勝を達成するためにも、来季のV字回復は必要不可欠だ。

 そんな前田が1年を通じて苦しんだのが、2ストライクに追い込んでからの投球だった。今季の2ストライク時の被打率と被長打率はそれぞれ.226と.362。23年までに前田が記録したメジャー通算が.155と.260なので、その差は歴然。特に最大の武器でもあるスライダーは、投手が圧倒的に有利な2ストライク時でさえ被打率.310とサッパリだった。前年は.130と相手打者を抑え込んでいただけに、その悪化ぶりが際立った。

 来年の開幕直後には37歳を迎えるベテランに対して、チームは先発でチャンスを与える方針を示している。ただ今季は7月まで猶予を与えられたが、来季はそうもいかないはず。まずはオープン戦でもしっかり結果を出して、開幕から飛ばしていく必要があるだろう。背水の陣で臨むプロ19年目の復活劇に期待したい。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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