※このコラムは配信中のNetflixリアリティシリーズ「あいの里 シーズン2」エピソード1〜20までのネタバレを含んでいます。
■食卓をスナックに変えるパチゆみの気遣い力
にこるんママ・パチゆみは、忘れかけていた「人を好きになる」気持ちを思い出させてくれた専門商社社長・タナさんへ気持ちを伝えます。告白した後の最後の食卓では、せっかくの食事がしんみりしないように周囲に話を振り、「タナさん元気ないわね」と、タナさんまでいじるパチゆみの気遣い力のすごさよ……。周りを見て自虐を交えながらも雰囲気を作りながら場を回す姿は、なんだかこの食卓がスナックに見えてきます。
|
|
翌朝の告白の返事の場には、タナさんはパチゆみから借り続けたオーバーオールで登場。
そんなタナさんが出した答えは「パチゆみにここでの生活や気持ちを支えてもらった。4人の子どもに応援してもらってここにきたけど、行動で誰も傷つけたくないと思った時、キスできないと思った、だから気持ちにはこたえられない」というもの。
子ども達は応援して送り出してくれたのなら、彼らはキスで傷つくことはないのでは? となると「キスで傷つける」相手というのは、誰のことを指しているのでしょう? パチゆみにまだ気持ちがないのにキスをしてしまっては、パチゆみを傷つけてしまう、という意味なのでしょうか。ここの解釈は人それぞれ分かれそうですが、非常に不可解でした。
■脱皮したタナさん、里を出たかっただけ説
|
|
その後、オーバーオールを脱ぎ、「外での僕ってこれです」と、カールおじさんスタイルから一転、シュッとしたイケオジに変身したタナさん。
「キスはできないけど、パチゆみと一緒に外に出たい」と、白か黒かハッキリした結論ではなく、グレーな答えで2人で里を出るという新たな選択肢を生み出したタナさん。
「気持ちは育っていないけれど、これから里の外でもっと仲を深めて考えたい」という、未来の可能性にかけた卒業か、はたまたもう里から出たかっただけか……。2人の今後に期待です。
■せん姉の中で進化しまくったアロマの一言
親友パチゆみのタスキをつないだ食育トレーナー・せん姉は、エイジングケアサロン代表・アロマに告白。
|
|
14歳という歳の差を超えての告白ですが、子どものいるせん姉に向けてアロマが発した一言が、せん姉の中でどんどん進化し、アロマへの気持ちが膨らむきっかけになりました。
「せん姉と恋を進めるなら、娘さんと向き合わないといけない」という仮定の話が、せん姉の中で「向き合いたいと言ってくれた」に変わり、それが告白の時には「娘のこと会いたい、話してみたいって言ってくれて」とどんどんと変化。
「恋は盲目」とはよく言ったもので、私たちも相手からの言葉の信じたいところだけを切り取って、自分に都合良く解釈したり、逆に向き合わなくてはならない言動に目をつぶり、いいところだけを見てしまったりと、自分目線でフィルターをかけてしまうことってよくあります。
もしかすると映ってない場面で上記のやりとりがあったのかもしれませんが、せん姉の中でポケモンの如く2形態くらい進化したアロマの言葉によって「アロマが誠実に向き合ってくれている!」と気持ちが盛り上がってしまいました。告白の時、アロマは微塵も動じていませんでしたが「俺そこまで言ったかな?」と心で動揺していたかもしれません。
一方のアロマは「今日あったこと、過去のことはメモに残しているけれど、未来のことは書いていない。未来の計画をしっかり立ててこの里を出たいと思っていた。自分がきちんと聞けばよかった」とせん姉の気持ちをお断りする結果に。
ぶっちゃけ未来のことを聞くほどまでに気持ちが育ちきらなかった、またはそこまで気持ちが育ち切るまでに時間が足りなかった、ということなのでしょうが、あくまで自分のせいでせん姉には問題がないという、優しい振り方。
でも途中まで完全にこれいけるだろ!? と思わせる語り口調だったので、せん姉の「マジかよ」も納得すぎます。パチゆみのバトンをつないだせん姉のファイトに拍手を送りたいです。
■あいの里の“伝統芸能”再来
秘書・あやかんへの気持ちが募りすぎて、鐘を鳴らす前に告白をしてしまったフライングギタりん。ギタりんは最後までマジでギタりんですね。
急遽告白することとなり、「よっしゃー」と狂ったように鐘を鳴らすその姿の後ろにチラつくのは、シーズン1でこれまた狂気の如く鐘を鳴らしまくった中さん。ラストに警報のように鐘を鳴らしまくるのが「あいの里の伝統芸能」になりつつあります。ぜひ次回のシーズン3も(あるならば)暴れ狂うゴリラのように鐘を鳴らす誰かに登場して欲しいものです。
■歌を聴いたあやかんの涙の理由
沖縄の楽器、三線を使って自作の歌をあやかんに送るギタりん。曲調も沖縄風になっており、しっかり三線も弾きこなすなど、実はギタりんとっても多彩ですよね。
でもその歌詞は全く告白とは無関係。しかし、その歌を聴きながらあやかんは号泣します。
「愛はいいよいいよ。あなたの愛は息苦しいの。居場所を奪うなら愛を求め旅立つだけ。嫌ってくれ、あなたの未来には俺がいないだけ」
この歌詞にはギタりんのまっすぐな愛と、でも不器用で恋が上手くいかないギタりんそのものが詰まっています。
そしてあやかんは、この里で一番長くギタりんを見てきました。ギタりんのいいところも、苦労やつらさも全部知っているあやかんは、その歌詞のギタりんに共感しすぎて泣いてしまったのではないでしょうか。
または、「恋に失敗し続けたギタりん」を知っているあやかんが、今回の告白でギタりんの愛を受け止められなかった場合、またギタりんがこの歌詞の通りになってしまいます。
歌を作って気持ちを伝えてくれた喜びと、ギタりんの愛を受け止めてあげたい気持ち、そして恋人として考えられるのか……という気持ちの狭間でどうするべきか……。葛藤から涙を流してしまったのかもしれません。
■あいの里が生み出した新たな愛の形
あやかんの出した答えは「今は恋人としての未来のイメージができない。生涯の大親友であって欲しい」というもの。
「誰にどれだけ誤解されたとしても、ギタりんが心が優しい人だってこと、私はずっと信じてる。ありったけの好きって気持ち、私にくれてありがとう。ここに来れてよかった。ギタりんが悲しい気持ちになってたら絶対に会いに行きたいし、ギタりんを傷つける人は絶対許さない。ギタりんの心が好き」
これが愛じゃなくてなんなのでしょうか。「恋人としての愛」ではないけれど、「親友としての大きな愛」を育み、かけがえのない関係を築くことができたあやかんとギタりん。共に里を出ることはなかったとしても、あいの里が生み出す新しい愛の形を見せてくれました。
あやかんはその他にもあいの里で、フィフティーズから伝授された料理スキルや、全肯定してくれるギタりんからもらった自己肯定感と、そこから引き出されたあやかんの真の魅力であるたくさんの笑顔、そして親友としての愛など、たくさんのかけがえのないものを得ることができました。
■消えたギタりんのギターのミステリー
ギタりんが冷却期間から里に戻ってきた時、2本に増殖していたはずのギターが、退去時に1本になっていたのですが、もう1本どこいった?
他にも、足湯しかできなかった「ギタりんの鼻水いり露天風呂」が、完成後即取り壊しになってしまうのか、なども気になりつつ、今回もたくさんのリアルな人間模様と愛のドラマを見ることができたあいの里。シーズン3も期待しながら待ちたいと思います。
連載もお付き合いいただきありがとうございました!
(やまとなでし子)
Netflixリアリティシリーズ「あいの里 シーズン2」世界独占配信中
作品ページ:https://www.netflix.com/jp/title/81521365
あわせて読みたい記事
- #あいの里考察
- #ラブ デッドライン考察
- #ラブ・イズ・ブラインド考察