50代の腟を考える。「引退腟」と「現役腟」の境界線はどこにある?更年期レスの原因にも?

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2024年12月11日 22:20  All About

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50代女性のセックスレス率がすごいことになっています。子育てに忙しい日常から抜け出した女性たちは、なぜ性を手放してしまうのでしょう。
更年期世代のセックスレス急増がすごいことになっています。「【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ 2024」によれば、50代女性のセックスレス率は87.7%。10年前の2013年調査では33.3%でしたから、2.6倍増加しているのです。

50代のセックスレス率はなぜ急増する?

昨今の日本では晩婚、晩産化が進んでいるとはいえ、50代になれば「子育てで忙しい」「寝室が子どもと一緒だから夜の営みは無理」という状況下にいない人が大半でしょう。よくセックスレスの原因にされる「多忙な日常生活」や「寝室事情」は通用しません。

一方、更年期によるホルモンバランスの変化で、性欲が増す女性が出現するのも50代です。女性ホルモンが減少し、相対的に男性ホルモンが高まることがその理由です。また、閉経によって妊娠の心配がなくなることでセックスに積極的な気持ちになる人もいます。

生活環境、寝室環境、またホルモン環境も「更年期世代の性」を後押しをしているのに、なぜ9割近い人がセックスレスになってしまうのか。

メンタル面や男性パートナーのEDなども含めて要因は多々ありますが、今回は「更年期世代の性器官」にフォーカスしてみます。

「フェムゾーン」のお手入れ不足で老化が進む

セックスレスの理由の1つが、性器官(現在は「フェムゾーン」というおしゃれな言葉が出てきています)のお手入れ不足や老化であると筆者は考えます。

シワシワになった大陰唇。黒ずんだ小陰唇。粘度が少なくカチカチになった腟壁。白髪まじりのアンダーヘア。あるいは伸び放題のジャングルヘア。

フェムゾーンの準備ができていないことには、セックスレス改善のスタートラインにも立てていない状態と言っても過言ではありません。

「秘所」「陰部」という意識に支配されている

ここ数年でフェムゾーンという言葉と、フェムケアの認知が向上してきましたが、一昔前は、ここはまさに「秘所」「陰部」。ケアするどころか、意識したり語ったりすることすらはばかられる風潮がありました。

「子どものころ、母親に『そんなところを触っちゃダメ』と怒られました」
「触るどころか、自分のデリケートゾーンをじっくり見たことありません」
「女性がひとりエッチなんかしていいんですか?」

そんな声も、よく聞きます。

こうした時代的背景もあり、今の50代女性は自分のフェムゾーンについて知識がなく、そこのケアをまったくしないまま更年期を迎えた世代なのだろうと想像できます。

「腟の老化」に伴い現れる諸症状

あらゆる身体のパーツと同じく、腟も老化が進みます。特に更年期になって「萎縮性腟炎」が起きやすくなることは知っておかなければなりません。

腟の組織が萎縮したり、腟壁が薄くなり、弾力を失ったりすることで、乾燥・かゆみ・こすれたときのヒリヒリ感・性交疼痛などの症状が現れます。最近は「閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)」という仰々しい名称が使われ始めました。女性にとっては恐ろしすぎる字面ではありませんか。

「現役腟」と「引退腟」の境界線はどこ?

普段からフェムゾーンのお手入れをしていたり、定期的にセックスやセルフプレジャーをしている「現役腟」であれば、腟老化の進行を穏やかにすることができます。

ところが、普段からフェムケアせず、セックスレス状態が続く「引退腟」は、枯れるようにどんどん縮んでしまう可能性があります。

「子宮がん検診で『検査器具が入りません』と言われた」という人は、かなり萎縮が進んでいると受け止めた方がよいでしょう。

腟容積が少ないということは、パートナーの陰茎などを包み込むことができません。当然、性交疼痛がありますから、必然的に「したくない」と拒むことになります。

更年期はフェムゾーンケアを習慣化

更年期のセックスレス改善は、まずは自分の性器官(フェムゾーン)を良好な状態に保つことからのスタートです。

ケアのポイントは「保湿」と「マッサージ」。

会陰や腟のケアというと、出産を控えた女性がするものと思われがちですが、潤いが失われてきた更年期にこそ習慣化しなければなりません。

最近ではフェムケア専用洗浄液、美容液、オイル、手軽な「会陰パック」も出てきました。フェイスパックは定期的にするのに、なぜフェムパックはしないのですか?

「フェムケア」でマイナートラブルも回避できる

お風呂上がりに、指に専用オイルを塗ってフェムゾーンを優しくマッサージするのは必須。血流を促すことで、腟が柔らかく潤うようになります。

指挿入時に呼吸しながら締める運動を追加すると、尿もれや便秘などのトラブル回避も期待できます。

また、骨盤底筋群を引き締めるには運動も有効です。

呼吸と腟締めを組み合わせる体操は、地味なので継続が難しいという声もあります。ならば、楽しく骨盤底筋を鍛える「フェムダン」(筆者は開発メンバーです)に挑戦してみるのもおすすめです。

セックスレス改善は「自分でフェムゾーン改革」

セックスレス改善は、相手の対応変化を求めるのではなく自分から変化することが大切です。

今回はメンタル変革の一歩手前のフェムゾーン改革を伝えました。女性はフェムゾーンに自信がつくと自己肯定感が上がります。すてきな髪型やファッションに身を包んだ時も、同じような感覚になりますよね。これからは、フェムケアもプラスしていきましょう。

腟の潤いは人生の潤い。「私の腟はイケてる」という感覚を持つのが、これからの時代です。人生90年。腟も90歳になる。50歳やそこらで引退させるなどもってのほか。フェムゾーンを制する者は、女性としての性の自律を制するのです。

<参考>
・「ジャパン・セックスサーベイ 2024」(ジェクス)
・「会陰パックがセックスレスを救う⁉」(トキメキ)
・「FemDan - フェムダン -」(Glad)


三松 真由美プロフィール

男女関係に悩む1万3000名の女性会員が集うコミュニティを展開。セックスレス・ED・女性性機能に詳しく、性を通して男女関係を円滑にするメソッドを考案。講演、メディア出演、著書多数の恋愛・夫婦仲コメンテーター。執筆家。
(文:三松 真由美(夫婦関係ガイド))

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