WRC、2027年より柔軟な新技術規則を導入へ。2025年からポイントシステムの一部調整も決定

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2024年12月12日 04:20  AUTOSPORT web

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2027年よりWRCには新たな技術規則『WRC27』が導入される
 12月11日、FIA国際自動車連盟は、ルワンダ・キガリで開かれたWMSC世界モータースポーツ評議会にて、2027年からWRC世界ラリー選手権に導入する新たな技術規則の方針や、2025年シーズンからの新たなポイントシステムが決定されたことを明らかにした。

 11月には、2025年以降は既存のプラグインハイブリッドユニットを使用しないことが発表され、その際には最低重量の変更や吸気リストリクターの変更などが決まっていたが、今回は2027年以降に新しく導入される技術規則(テクニカル・レギュレーション)の方針が発表された。

『WRC27』と呼ばれる新規則は、10年間のサイクルを前提に、現在のすべてのマニュファクチャラー、WRCプロモーター、およびクルーの代表者からなるWRC委員会によって提案され、承認された。

 車両規則については、世界中で多様化が進む自動車モデルをカバーすべく、現在のラリー1のセーフティセル・コンセプトを維持しながらも、複雑さとコストを削減する共通設計が目指される。

 ターゲットとしては、ほぼあらゆる量産車のボディワークをセーフティセルに取り付けることが許可することで、ハッチバックタイプのマシンと、セダンやSUVなどの競争を可能にし、2027年からは特注のラリーコンセプトデザインがステージに登場する可能性も見込んでいるという。

 さらに、ボディワークだけでなく、多様なモデルへの対応はパワートレインにもおよび、2022年に義務付けた持続可能な燃料を使用する内燃機関やハイブリッド、さらには完全電動システムまで、多岐に渡るパワートレインの使用に対する自由が許可されることになる。

 シリーズの最初の目標は、競技者が2027年に持続可能な燃料を使用する内燃機関を使用することであり、ハイブリッド・システムや完全電動技術を含む多様化は、後の段階で導入される可能性がある。

 これらの新技術規則は、新たなコストキャップの範囲内での運用が義務付けられ、2027年のコストは34万5000ユーロ(日本円で5522万円)に制限される。

 これは、現在の方式と比較して50パーセント以上のコスト削減を意味する。さらにこれらは財務規制ではなく、コンポーネントのコスト削減をメインに達成され、人員の制限、物流輸送コストの削減、現地施設の利用の増加、リモートワークを促すデータ接続技術の向上などによってチームの運用コストが削減される予定だ。

 また、『WRC27』とは別に、2025年シーズンからのポイントシステムについても変更がなされた。

 まず2024年シーズンでは、土曜日時点の暫定順位と日曜日のみの順位(スーパーサンデー)によってポイント配分を決める新たな得点方式が採用されていた。しかしこの方式では、ラリーの総合優勝クルーよりも多くポイントを獲得する2位以下のクルーが生まれる可能性があり、実際にそのようなケースも散見されたことで波紋を呼んでいた。

 そんななか、今回新たに決まったポイントシステムでは土曜日時点での暫定ポイントが廃止され、主要なポイントは最終日までの総合順位に基づいて、1〜10位までのクルーに25、17、15、12、10、8、6、4、2、1ポイントが配分されることになった。

 さらに、スーパーサンデーについても大まかな規則は維持され、2025年からは日曜日のみの総合順位に基づいて、1〜5位までに最大5ポイントが付与されることとなる。なお、最終SS(スペシャルステージ)の上位5番手までにボーナスポイントを与えていた『パワーステージ』制度については引き続き採用される。

 今回決まったポイントシステムの更新について、WRCプロモーターのシニアスポーツディレクターであるピーター・トゥール氏は「このアップデートされたシステムは、忘れられない瞬間と激しいタイトル争いをもたらした2024年のフォーマットの全体的な成功に基づいている」と説明する。

「ラリーでの勝利をさらに評価し、競争がこれまでと同じようにスリリングであり続けるように、微妙ながらも意味のある調整を行った。2025年のファンは、さらに接近した戦いとドラマチックなフィナーレを楽しみにできるだろう」

 これで、総合優勝クルーよりも多くポイントを手にするクルーの発生条件は2024年よりも厳しくなった。ただ、新システムへの対応策が王者の行方を左右したとも言える2024年に続き、2025年も特徴的なポイント配分に対応した週末の進め方がカギとなる1年間になりそうだ。

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