プレミアリーグ屈指のクローザー・遠藤航はリバプールを離れるべき? オファー殺到は必至

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2024年12月13日 07:20  webスポルティーバ

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 現状は芳しくない。

「来年1月の移籍市場で誰も手放すつもりはないが、中盤の軸はドミニク・ソボスライ、アレクシス・マック・アリスター、ライアン・フラーフェンベルフ、カーティス・ジョーンズであり、彼らに続くのがハーヴェイ・エリオットだ」

 今シーズン開幕直後はソボスライ、マック・アリスター、フラーフェンベルフに続く4番手と目され、最近は「クローザー」として再脚光を浴びるのか──とも考えられていた。にもかかわらず、リバプールを率いるアルネ・スロット監督は、その構想に遠藤航を含んでいないかのような発言を放った。

 今、遠藤の序列は低下している。12月10日時点でスタメンはカラバオカップの2試合のみ。プレミアリーグは6試合、チャンピオンズリーグは1試合の途中出場にとどまっている。カラバオカップを除いたプレータイムは、わずか27分しかない。

 ユルゲン・クロップ体制下の昨シーズンは、中盤戦以降に定位置を確保。38試合2ゴール(公式戦)と周囲の期待に応えたのだが......。

 12/14:フラム戦(プレミアリーグ第16節/H)
 12/18:サウサンプトン戦(リーグカップ準々決勝/A)
 12/22:トッテナム戦(プレミアリーグ第17節/A)
 12/26:レスター戦(プレミアリーグ第18節/H)
 12/29:ウェストハム戦(プレミアリーグ第19節/A)
 1/5:マンチェスター・ユナイテッド戦(プレミアリーグ第20節/H)
 1/11:アクリントン戦(FAカップ3回戦/H)
 1/14:ノッティンガム・フォレスト戦(プレミアリーグ第21節/A)
 1/18:ブレントフォード(プレミアリーグ第22節/A)
 1/21:リール戦(CLリーグフェーズ第7節/H)
 1/25:イプスウィッチ戦(プレミアリーグ第23節/H)
 1/29:PSV戦(CLリーグフェーズ第8節/A)
 2/1:ボーンマス戦(プレミアリーグ第24節/A)

【遠藤の実力が落ちたのではない】

 今週末のフラム戦から、リバプールは50日間で13試合という過密日程に突入する。主力のコンディションを管理する意味でも、ローテーションは不可避だ。したがって、プレミアリーグの降格圏にあえぐサウサンプトン、レスター、ウェストハム、イプスウィッチ、そしてアクリントン(リーグ2=4部相当)との試合では、遠藤に出場の機会が与えられるかもしれない。

 ただし、序列の低下はスタメンの公算が小さくなることを意味し、ベンチから外れる日々も覚悟しなければならない。「スロット監督がスペイン代表MFマルティン・スビメンディ(レアル・ソシエダ)の獲得熱望」との報道もある。だからこそ多くのメディアが「エンドウは来年1月の市場で移籍するべき」との声を上げ始めたのだ。

 昨年夏、モイセス・カイセドとロメオ・ラヴィア(ともに現チェルシー)を取り逃がし、善後策の一環だった遠藤が大当たりした時、ユルゲン・クロップ前監督の眼力に敬服していた少なからぬメディアが手のひらを返した。

「リバプールに居場所はない」

 もちろん、現時点では憶測の域を出ない情報ばかりだ。遠藤が移籍を決断したわけではない。今シーズンのリバプールはプレミアリーグとチャンピオンズリーグのほかに、FAカップとカラバオカップを含めた「四冠」も狙える陣容を整えた。この大目標を達成するためには、ひとりでも多くの戦力が必要であり、遠藤も除外されてはいない。

 また、彼の実力が落ちたのではない。スロット監督が中盤に攻撃力と創造性をより求めているため、苦汁を呑んでいるだけだ。DFラインに負傷者が相次いでいる現状から、遠藤が一列下がって起用されるケースもあるかもしれない。

 さらに、日本代表キャプテンの献身性を高く評価するキャプテンのフィルジル・ファン・ダイクや、スーパーエースのモハメド・サラーが「ワタルを甘く見るな。彼は絶対に必要だ」と1月移籍説を全否定していることも追い風だ。両選手の発言は、リバプールの人事を大きく左右する。

【「エンドウ・ロール」と呼ばれる日も...】

 仮に遠藤が移籍市場の俎上に乗るとしたら、人気銘柄になってオファーが殺到するに違いない。マンチェスターを本拠とするユナイテッドとシティは、中盤の守備強度向上が喫緊のテーマだ。アストン・ヴィラも中盤センターは人材難で、ニューカッスルのエディ・ハウ監督は遠藤のカバーリング能力・強度を常日ごろから高く評価している。

 また、メディアのおとぎ話だとしても、インテルやミランなどセリエAからも秋波が届き、シュツットガルトに在籍していた当時の大活躍によりブンデスリーガで遠藤は依然として人気ブランドだという。リバプールで冷や飯を食い続けるくらいなら、移籍を決断したとしても不思議ではない。

 どのようなシナリオが用意されているのか、神のみぞ知るといったところだが、願わくはリバプールで定位置奪回が最高だ。ソボスライをはじめとする主力が疲弊し、ジョーンズとエリオットが経験不足を露呈した時、遠藤が再び異彩を放つ。

 スタメンでも途中出場でも気にしない。サッカーが細分化され、スタメン・フル出場がすべてではなくなった今、クローザーというタスクが「エンドウ・ロール」と呼ばれる日がやってくるかもしれない。

 かつてレアル・マドリードやチェルシーで一世を風靡したクロード・マケレレの卓越した守備技術は「マケレレ・ロール」と絶賛された。

 プロ野球も先発、セットアッパー、クローザーと役割が明確になり、試合を畳むタイプの投手にも個人賞が与えられるようになった。サッカーもマンチェスタ・シティで不動のアンカーを務めていたロドリがバロンドールに輝いたとはいえ、まだまだ守備的な役割にスポットライトが当たっているとは言いがたい。
 
 こうした風潮を変える一翼を遠藤が担えば、同じ日本人として痛快だ。

「監督は全員が必要だと話していた」
「日々の努力を見てくれている」

 遠藤もSNSを通じてスロット監督に対する信頼を明らかにし、自身のポッドキャスト『RED MACHINE The WATARU ENDO PODCAST』では、指揮官と話し合って現状に満足していることも示唆していた。ならば遠藤の決断を尊重し、リバプールでの復活を信じることが肝要だ。

【ベッカムにもかつて不遇の時期があった】

 過去に多くの名選手がレギュラーポジションを奪われながら、黙々と汗を流して名声を取り戻した。

 2007年、レアル・マドリードで一時は干されたデビッド・ベッカムもそのひとりだ。彼は誰よりも早くトレーニング・グラウンドに姿を見せ、誰よりも長くひたすらボールを蹴り、フィジカル向上の鍛錬も続けた。

「考え方をあらためざるを得ない。ベッカムの努力には頭が下がる」

 当時、レアル・マドリードの監督を務めていたファビオ・カペッロは、ベッカムの名前をスタメンのリストに再び書き記したのである。

「私が間違っていた。やはりワタルは頼りになる」

 スロット監督の謝罪会見を楽しみにしようじゃないか。

このニュースに関するつぶやき

  • クローザーが必要な場面でも、遠藤は投入されず逆転を許しているのが現状。少なくてもバックアップの構想外に近い。ファーガソンが去った後の香川を彷彿とさせる。でも出る出ないは本人の意思なので。
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