ヨーロッパリーグ(EL)・リーグフェーズ第6節が12日に行われ、レンジャーズ(スコットランド)とトッテナム(イングランド)が対戦した。
今シーズン、スコティッシュ・プレミアシップでは“宿敵”のセルティックに遅れをとり、現在はアバディーンに次ぐ3位につけるレンジャーズ。だが、現在はELも含めた公式戦で4連勝中、8戦負けなしと調子を上げてきている。ここまで行われたELでは3勝1分1敗とまずまずの成績。第2節ではリヨンに1−4と大敗を喫したが、残る試合では勝ち点を積み上げることに成功しており、現在は8位とラウンド16にストレートインできる位置につけている。
一方で、トッテナムが置かれた状況は苦しいものとなっている。現在は公式戦4戦未勝利となっており、プレミアリーグでは2連敗中で順位も11位に沈んでいる。負傷者が続出している影響はあるが、プレミアリーグではなかなか安定して勝ち星を掴めておらず、アンジェ・ポステコグルー監督の去就も騒がれる状況だ。
ただし、ELではここまで3勝1分1敗の勝ち点「10」でレンジャーズと並んでおり、リーグフェーズの順位も9位。開幕3連勝を飾った後、敵地でガラタサライ(トルコ)に2−3で敗れ、前節もローマ(イタリア)とのホームゲームを2−2で終えていた。直近2試合は白星から見放されていることも事実だが、ラウンド16へのストレートインも狙える立ち位置で、調子を取り戻すきっかけとした一戦だ。
2022−23シーズンまでセルティックを率いたポステコグルー監督にとっては、かつてのライバルの本拠地で行われる一戦。そんな試合は序盤の8分、トッテナムがチャンスを作り出す。前線でボールをキープしたソン・フンミンが左へ預けると、サポートしたデスティニー・ウドギーが相手を引きつけて横へ流し、最後はティモ・ヴェルナーが右足を振ったものの、シュートは枠を捉えきれない。
この試合最初のチャンスを作ったのはトッテナムだったが、直後の10分にはカウンターの局面でレンジャーズがゴールへ迫る。ピッチ中央付近でジェームズ・タヴァーニアーからのパスを受けたネディム・バイラミが斜めの方向へ叩くと、大外へ開いていたヴァーツラフ・チェルニーがドリブルで前進。外側を回ったバイラミが右足を振ったものの、ここはわずかに枠の外。
時間の経過とともに流れを引き寄せたのはレンジャーズで、後方から丁寧にボールを繋ぎながら、相手陣内で時間を過ごす。だが、32分にはチェルニーのミドルシュートもあったものの、なかなか決定的な場面は作れない。35分にはジョン・サウターが負傷交代を強いられるアクシデントにも見舞われた。
トッテナムは非保持の場面で前からのプレッシングが剥がされるシーンも増加し、やや苦しい時間が続いた印象だが、ゴールを与えることはなく、スコアレスでハーフタイムに突入した。
後半に入ると、立ち上がりの47分にスコアが動く。レンジャーズは自陣右サイドでボールを受けたタヴァーニアーがドリブルで前進し、浮き球のアーリークロスを送ると、ファーサイドに走り込んでいたハムザ・イガマネがダイレクトで叩き込む。イガマネの公式戦3試合連続ゴールで、レンジャーズが先手を取った。
このゴールに象徴されるように、後半もレンジャーズが良い入りを見せ、主導権を握って敵陣へ攻め込む時間が続く。流れを変えたいトッテナムは60分、パペ・マタル・サール、ルーカス・ベリヴァル、ドミニク・ソランケを投入。この直後からトッテナムが良い形で敵陣へ侵入するシーンが目立つようになり、ペドロ・ポロやジェームズ・マディソンらがゴールを脅かしたが、同点ゴールを挙げることはできない。
それでも75分、トッテナムは敵陣へ相手を閉じ込めた状態のなか、デヤン・クルゼフスキがポロとのパス交換から右サイドを突破。即座にスルーパスを送ると、抜け出したソランケがマイナスへ折り返す。ニアサイドに飛び込んだマディソンには合わなかったものの、マイナスでサポートしていたクルゼフスキが左足一閃。狙い澄ました一撃を沈め、トッテナムが同点に追いついた。
直後にはレンジャーズがGKからのロングフィードをシンプルに頭で繋いで、強引にボックス内へ入ったシリル・デセルスが決定機を迎えるも、ここはGKフレイザー・フォースターがビッグセーブ。直後には左からのクロスボールをデセルスが押し込んだが、ここはオフサイドのためゴールは認められない。
試合はこのままタイムアップ。勝ち点「10」で並ぶ両チームの激闘は、痛み分けで終わった。トッテナムとしては、公式戦3連敗は避けたものの、直近8試合でわずか1勝と依然として苦しい時期は続く。レンジャーズとしては、連勝が「4」でストップした。
次節は2025年1月23日に行われ、レンジャーズはマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)と、トッテナムはホッフェンハイム(ドイツ)と、ともにアウェイで対戦する。
【スコア】
レンジャーズ 1−1 トッテナム
【得点者】
1−0 47分 ハムザ・イガマネ(レンジャーズ)
1−1 75分 デヤン・クルゼフスキ(トッテナム)