タクシーアプリ「GO」などを提供するGO(東京都港区)が12月11日に公開した、ITエンジニアのマネジメント“失敗談”を赤裸々に語った資料が、Xやはてなブックマークなどで話題だ。資料では、チームの雰囲気を悪くしてしまった経験を振り返り、マネジャーとしてどのような行動を取っていたのか、そこから何を学んだのかなどを紹介している。
資料を公開したのは、GOのタクシー事業者向け管理画面を開発するグループのマネジャーを務める大橋平和さん。チームメンバーは大橋さんを含めて6人で、マネジャーになるのは大橋さんのキャリアで初という。
大橋さんはマネジャーになった当初、メンバーへのフィードバックに力を入れていた。3カ月ごとに成長している点や、昇格に必要な能力と現状のギャップなどをメンバーに伝達。成長するメンバーもいた一方、伸び悩んでいるメンバーには、さらに強いフィードバックで、冷たい態度を取ってしまっていたという。
結果、チームの雰囲気が悪くなり、大橋さんの上司がメンバーにヒアリングする事態に。大橋さんの発言が「誤った発言を責める」「ミスをとがめる」ように感じられ、「発言しづらい空気がある」とメンバーが思っていることが判明した。これを受け、大橋さんはメンバーに対して謝罪したという。
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この経験を振り返り、大橋さんは、人格批判やマイクロマネジメントなど「明確なアンチパターン」は踏んでいないものの、無意識に3つの失敗をしていたと語る。1つ目は「自分の物差しの絶対視」だ。「エンジニアは、仕事で使う言語の使用を余裕のあるときに調べておくべき」といった考えでメンバーに接していたが、こうした「エンジニアべき論」は各メンバーにそのまま当てはめられないと気付いたという。
2つ目は「優秀さの誇示」だ。コードのレビューをする際、「『普通に考えて』こう書いた方が良い」など、誇張した表現で指摘したり、メンバーの意見に対し「いえ」とまず否定から入るなどしてしまっていたという。続く3つ目として、自分でコードを書きすぎていたという大橋さん。「メンバーのコードを書く機会を奪っていた」と反省している。
3つの失敗の原因を突き止めるため、大橋さんは自己分析を実施した。「課題が明確なのに、それを改善しようとしない人が許せない」など、自身の固定観念を特定・俯瞰していった。結果、メンバーの成長のためにフィードバックをしたが、大橋さんの主観では改善が見られない→大橋さんが大切にする課題改善がないがしろにされていると感じ、メンバーに冷たい態度を取る、といった流れで失敗していたと気付いたという。
自己分析のおかげで、無意識に失敗していた行動を、以前よりも自覚できるようになったという大橋さん。マネジャーとして時間を作り、メンバーが相談しやすくしたり、月1回、メンバーが成長した点などを全員に公開する形で送る「オープンレター施策」を実施したりして、改善を図っている。他にも、大橋さん自身が苦手と感じていることをメンバーに正直に伝え、相手の期待値をコントロールできるようにしているという。
大橋さんは「いきなり100点を取ろうと思わない」として、少しずつ成長を実感する反面、メンバーとの1on1の際「最近の私ってうまくやれてる?」と聞くなど、逆に悪化しないよう心掛けているとしている。
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