坂元達裕が戻ってくる。11月28日から新たにフランク・ランパード(元イングランド代表)が指揮を執るコベントリーには、そんな期待を抱かずにいられない。
昨季後半戦で負った腰椎の横突起骨折からは、今季チャンピオンシップ(イングランド2部)開幕節で、約半年ぶりの公式戦復帰を遂げていた。しかし、移籍1年目の長期離脱が「チームの昇格争いに大打撃」と報じられた、その右ウインガーらしい影響力は、影を潜めたまま時間が過ぎていた。
坂元自身が、「大ケガをする前のコンディションには戻ってきた」と言っていたのは、10月22日の第11節クイーンズ・パーク・レンジャーズ戦後。ただし、当日に28歳になった本人が「微妙な誕生日でした」と苦笑していたように、引分け(1−1)に終わった一戦での出番は、最後の10分間程度に限られた。
投入位置は、マーク・ロビンズ前監督のもとで採用が増えていた3−5−2システムの2トップの背後。坂元は、前監督体制下での最終戦となった第17節バーンリー戦でもトップ下で起用されている。この試合では前線からの精力的な守備も虚しく敗れ(0−2)、肝心の攻撃面では存在感の薄いフル出場となった。
そこで訪れた転機が、ランパードの監督就任だ。
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監督としての評判は前任者のほうが高い。7年間を超えた今年11月7日までの監督2期目。もし一昨季のプレーオフ(3〜6位)決勝のPK戦で敗れていなければ、リーグ2(4部)で受け継いだコベントリーをプレミアリーグに導いていた。交代の理由は、解任時点で24チーム中17位だった順位よりも、クラブ内での政治と見られる。
ランパードも、2018−19シーズンにダービー(2部)の1年生監督としてプレーオフ決勝進出を果たしているが、リーグでの最終順位は前シーズンから横ばいの6位だった。その後、正監督と暫定監督を務めたチェルシーでの2期と、その間に采配を振るったエバートンでは、プレミアでの成績とはいえ勝率は平均3割を下回った。
だが、坂元にとっては自身の右ウイングでの起用増が期待できる、4バックを好む攻撃志向の新監督就任にほかならない。ランパード就任から9日、実質的な初陣と言ってもよい第19節ミルウォール戦では、4−2−3−1システムの2列目右サイドで95分間をこなし、新体制下での初勝利(1−0)に貢献した。
(つづく)