12月13日に鈴鹿サーキットで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権の公式/ルーキーテスト。11日のテスト開始から数えて3日目にあたるこの日の2セッションは、決勝出走経験が4戦未満のルーキードライバーに限られており、計12人が参加した。
この日がスーパーフォーミュラ初乗りとなった堤優威(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)は、初日からテストに参加しているドライバーも抑えて午前のセッションで5番手タイムを記録。午後はポジションアップの期待も高まったが、チェッカー1分前というタイミングで突入したラストアタックの際、S字コーナーへの進入で姿勢を乱し、バリアへとクラッシュして念願のテストを終える形となってしまった。
メディカルセンターで身体のチェックを受けた堤は、セッション終了後のメディアミックスゾーンは欠席したが、ピットへ向かうと取材に応じてくれた。
近年はGT300を中心に戦い、2023年はスーパーフォーミュラ・ライツにも参戦した堤は「フォーミュラカーに乗るのが1年半ぶり」。まず驚いたのは、SF23の速さだった。
「乗ったファーストインプレッションとしては、『コーナーがクソ速いな』と。車重が軽くてダウンフォースが効いて『めっちゃ軽くて速ぇ!』と思いました。ドライバーとしてはやっぱり速くて軽いクルマに乗るのは夢でもあるし、こういうチャンスはなかなかないと思うので、チームと、オーナーの卜部さんに感謝しています」
テストでのドライブが決まってから「緊張はなく、楽しみでしかなかった」という堤は、シミュレーター、首のトレーニングなどで準備を進めてきたといい「パワステもあるので、スーパーフォーミュラ・ライツに初めて乗ったときよりも身体はラクでしたね」とフィジカル面も基本は問題なし。
「ただ、一番は目の反応速度ですかね。スピードがすごく速いので、そこが完璧に追いつけたかというとちょっと微妙ですけど……でも準備してきたなかでは、普通に乗れた感じはありました」
3日目のルーキーデーもチームのレギュラードライバーを務める阪口晴南が現場に残り、堤に適宜アドバイスをくれたという。
最終セッションでのクラッシュは、タイヤもきっちりと温めきり、アタックラップに入った次の瞬間に起こった出来事だった。
「1〜2コーナーも、自分のなかでは今日イチ行けてて、いい感じだったんですけど、ちょっと右リヤが(コース外に)落ちちゃって、スピンモードに入ったときに反応でバッとカウンター(ステア)を当てたら、ハイサイドみたいにそっちの方向に行ってしまいました。反応しなければスピンして止まったと思うんですが……」
「最初にぶつかったのが多分スポンジバリアだったので、クルマへの衝撃はだいぶ吸収してくれたと思います。身体は……痛いですね。骨折とかはないのですが、打撲なのか腰が痛いのと、首はムチ打ちみたいになってしまっています。ただ、大きな怪我はなく、そこはチームを不安にさせなくてよかったと思います」
最終アタックは完遂できずとも、午後のセッションも6番手で終えた堤。「まだまだトップとタイム差はある」としながらも、「ただ、クルマのポテンシャルだったりとか……3日間とおしてチームはいろいろ試していて、そのなかで僕も(乗っていないときに)外から見たクルマの動きとかをエンジニアさんに伝えさせていただいて、どんどん良くなり、実際に走りやすかったので、非常にいい経験だったと思います」と、 手応えを感じてテストを終えることができたようだ。
「次に乗れるチャンスがあればぜひ乗りたいですし、今後どんなカテゴリーに出るかは分からないですが、(今回の経験を)活かせるかなと思いました」