フェラーリF1のチーム代表フレデリック・バスールは、チームがシーズン中盤の不振から立ち直り、シーズン終盤には本格的な勝利候補となったことを「非常に誇りに思う」と語った。
バスールは歴史あるチームを率いてわずか2年目にして、チームのあらゆる分野において大きな進歩がみられていることを明らかにした。そして、わずか14ポイント差で決まったコンストラクターズ選手権での惜敗について、「苛立ち」を言葉にしている。
チームがシーズン最後のグランプリのためにアブダビに到着した時点で、フェラーリがコンストラクターズ選手権を制する可能性はかなり低かった。
しかしバスールは、「最後のコーナー、最後のラップまで戦う」という約束を守り、彼の主導のもとでフェラーリは全力で挑戦した。
状況は極めて緊迫していたが、ランド・ノリス(マクラーレン)がカルロス・サインツ(フェラーリ)を打ち負かして勝利を飾り、それによりレース開始前にほぼチャンピオンに決まったと考えられていたマクラーレンがタイトルを獲得した。
バスールは、2023年の初めにチームに加入して以降のスクーデリアの状況を振り返り、チームが大きな進歩を遂げたことを認め、次のように語った。
「1年前と比べると、チームは明らかに前進した。よい一歩ではあるが、それでもまだ充分ではない」
さらに、バスールが代表に就任する以前までチームを率いていたマティア・ビノットの時代に弱点であったとされるコースでのチーム運営について、次のように進歩を語る。
「我々は、ピットストップ戦略と信頼性に関して大きな一歩を踏み出した。マシンやドライバーの純粋なパフォーマンスも含め、あらゆる面で改善が見られている」
しかし、タイトルがわずかな差で決まったのを見て、パフォーマンスと効率性の向上への専心に定評のあるバスールは「苛立ち」を隠さない。
「14ポイント足りないのは事実だ。80ポイントや100ポイント離れていたらフラストレーションは感じないと思うが、わずか14ポイント差だと苛立ちを感じる……」
「少なくとも今夜は、今シーズンに14ポイントを失ったレースが山ほど頭に浮かんでいる。だが、それは仕方がないことだ」
「マクラーレンにもいくつか問題があったし、来年我々はもっといい仕事をしなければならない。それでも、私は自分たちが成し遂げた進歩をとても誇りに思っている」
バスールは冗談交じりに、もっとも誇らしい瞬間は「モナコで海に飛び込んだとき」だったと語ったが、その後真剣な口調で、現在心に残っていることについて次のように説明した。
「それは我々が成長し、厳しい瞬間に反応できたという事実だ」
「なぜなら、よい結果を出すためにはポジティブな原動力を持つということがあるが、スペインやオーストリアで経験したように、困難な状況に陥ったときに反応することは、チームの将来にとって非常に重要だからだ」
「これは、我々が将来を築き上げ、互いに信頼関係を持つことができるという反応だ。今シーズンは、チームにとってもっとも重要なステップを進むことができたと思う」