フジテレビ「新人アナいじりの釈明」が暗示する、ベテランアナの裏の顔とヤバい局への転落

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2024年12月14日 06:00  週刊女性PRIME

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フジテレビの西山喜久恵アナ

「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。有名人の言動を鋭く分析するライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。

第106回 西山喜久恵アナウンサー

 有名人や企業が不祥事を起こしたり、不適切な言動を取って炎上を招いた時、会見して謝罪することが標準化してきている昨今ですが、謝罪というのは本当に難しいものなのだと思わされます。どうしてそんなヤバい行動を取ってしまったのかについて釈明する際、別のヤバさが露呈してしまう可能性があるからです。

入局したばかりの新人アナをベテランアナがいじる

 11月29日に行われたフジテレビの定例会見で、同社の港浩一社長と西山喜久恵アナウンサーが“新人いじり”の炎上についてコメントしました。港社長は「誠実で後輩思いで優しいアナウンサーたちです」と先輩アナウンサーたちの肩を持ち、いじりの当事者とされる西山アナは「上垣アナは大切な後輩で、研修の頃から知っているアナウンサーであり、さすがにデビューのときに緊張が見られましたので、緊張を解こうとしてあのような表現になってしまった」と説明しました。

 2人とも、上垣アナをいじめているのではなく、むしろ彼のためを思っての行動だったと言いたいのでしょうが、これならダンマリを決め込んで、何も言わないほうがよかったのではないかと思うくらい、ヤバい釈明のように感じました。

 “新人いじり”とは何か、簡単に振り返ってみましょう。

 4月に入局したばかりの上垣恒太朗アナウンサーが27時間テレビのTシャツを着て『めざましどようび』に出演した際、同番組に出演していた西山喜久恵アナら出演者がCMの最中に、「すごい似合わないね〜、Tシャツが」と上垣アナのTシャツ姿をくさす動画が『めざましmedia』に投稿されたのでした。生田竜聖アナも「ポップなデザインが似合わないよね〜」、フリーの阿部華也子アナウンサーは「甚平とか似合いそう」と西山発言に乗っかります。

 ハラスメントNOの機運が高まり、バラエテイー番組でもセクハラやパワハラに見えないよう演出に気を使う時代、いまだに「上司が部下の容姿をいじる」という、わかりやすーいセクハラ的な行動を取る人がいることにびっくりですが、それもそのはず。この発言は、番組内でなされたものではなかったのです。

 公式サイトによると、この動画は「上垣アナの奮闘ぶりを伝えたいということで、OAされていないCM中のやりとりを制作側の判断で編集し、公開しました」と説明しています。つまり、西山アナらは公開されないと思って気楽にしゃべっていたら、それがアップされて大炎上してしまったということ。本来なら味方であるはずの制作側に、まんまと裏切られた形となってしまったのでした。

 この件から、うかがい知れるのは、

・制作側が、ハラスメントとは何かがいまだにわかっていない、それどころかハラスメントをおもしろいと思っている。
・西山アナはオフレコの場面では、部下の容姿いじりをしている。

 ということではないでしょうか。明るくさわやかなイメージで売ってきた西山アナだけに“ウラの顔”が見えてしまったことで被るダメージは、少なくないと言えるでしょう。

着ぐるみを着せられてバックドロップをかけられた高橋真麻

 もっとも、これは社風と無関係とは言えないと思います。フジテレビの女子アナは代々ミスコンテストの覇者が多く、西山アナ自身もミスソフィアに輝いています。男性アナウンサーも渡辺和洋アナウンサーは「第9回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で4位入賞、榎並大二郎アナウンサーは準ミスター慶応に輝くなど、容姿端麗な人だらけ。そういう環境にいると、タイトルを持たない人を下に見たり、バカにしていいと思ってしまうものなのかもしれません。

 新人いじりも今に始まったことではなく、現在フリーとして活動する高橋真麻も、お正月に他の女子アナは華やかな着物で番組に出演しているのに、彼女だけ顔の出ない着ぐるみを着せられて、かつお笑いコンビ・FUJIWARAにバックドロップをかけられるという、他の女子アナとはまったく違ういじられ方をしていたことがありました。真麻本人は「愛あるいじりで、ありがたい」と思っていたそうですし、実際、彼女はそれで頭角を現していったわけですから、結果的に「よかった」のでしょう。

 しかし、ミスもしくはミスターコンテストの覇者ではない、つまりフジテレビらしからぬアナウンサーを自分たちで採用しておきながら、入社すると「これは愛あるいじりなのだ。本当に嫌いな人には、こんなことをしない。おまえもテレビに出られて知名度が上がるんだから、おいしいじゃないか。がまんしろ」と目の前に人参をぶらさげてごまかすことは、昭和100年ならアリでも令和の時代には通用しないと思うのです。

 西山アナの最大のヤバさは、自分の権力性に気付いていないことではないでしょうか。西山アナはアナウンス室ゼネラルアナウンサーという役職についていますが、そんな高い地位に就く西山アナが上垣アナの外見をけなしている時、部下である生田アナ、フリーランスの阿部華也子アナが「そんな言い方はやめましょう」とは言いにくい。場合によっては、西山アナがいじっているのだから、会社としてOKなんだ、自分も言っていいのだと周囲に「いじりOK」のお墨付きを与えてしまいかねないのです。

 西山アナは、上垣アナに謝罪し、上垣アナは謝罪を受け入れた、つまりこの件は済んでいるというような話し方をしていましたが、新入社員が自分の上司格にあたる人に「許さない」と言えるわけがないことをまったく想像していないことに震えが止まりません。「愛あるいじり」とは上が下にするものであって、下が上にすることはないと言えるのではないでしょうか。

 上垣アナが「愛ゆえに」西山アナに「さすがミスソフィア。昔は抜群にかわいかったけど、今はフェイスラインが大分たるんできましたよね。でも、そのほうが親近感があっていいですよ」といじってきても「自分のためを思って言ってくれるのだ、そのとおりだ」と言えるのでしょうか。やり返せない立場の人にするのはいじりではなく、いじめだと私は思います。

バニーガールの恰好をしろと命じられたことも

 西山アナが20代の頃、フジテレビの女子アナは「愛あるいじり」の名の下に、壮大なセクハラをされていました。2015年3月15日放送の『ボクらの時代』(フジテレビ系)に出演した元フジテレビ女子アナ・八木亜希子によると、入社直後、ゴルフコンペの際にバニーガールの恰好をしろと命じられたことを明かしていましたし、上司のタバコに火をつけてあげるなんてこともあったそうです。

 大御所タレントにプールにつきおとされ、びしょぬれになって下着の線がくっきり……なんてことも珍しくありませんでしたし、こういう性的な“サービス”も仕事のうちと割り切れる人でないと務まらなかったのかもしれません。

 こんな過酷な環境を生き抜くと、「私ができたんだから、あなたもがまんしろ」と後輩に対してかえって冷淡になることが心理学の実験でわかっていますが、西山アナもこのパターンなのではないでしょうか。

 フジテレビと言えば、1980年代は民放の雄として高視聴率を記録しつづけましたが、今や最下位に転落するなど、いいニュースが聞こえてきません。原因はいろいろあるのでしょうが、その一つとして、こういう感覚の古さも一因ではないかと思えてならないのです。

 誰かに焦点をあててあげるという意味でのいじりは必要ですが、それはバカにしたり、嫌と言えない立場だとわかっていながら、無理を強いることではない。このあたりの機微が本気でわからないなら、炎上でしか話題にならないヤバい局になってしまうかもしれません。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」

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