行政サービスのDX化から、不登校支援、災害問題への活用も「メタバース役所」のメリット

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2024年12月15日 15:11  ガジェット通信

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2024年7月からスタートした「メタバース役所」。これは、大日本印刷株式会社(以下、DNP)が提供する、生活者が自治体の各種サービスをインターネット上の仮想空間・メタバースで利用できるというもの。

メタバース役所は、誰でも、いつでも、どこからでも、行政サービスを利用でき住民全員参加型行政への転換を促すプラットフォーム。地域のまち・ひと・しごとに関わる課題解決を目的として構築された6つのメタバース活用モデルで構成されており、自治体向けに提供しています。

メタバース役所は、誰でも、いつでも、どこからでも、行政サービスを利用でき住民全員参加型行政への転換を促すプラットフォームです。地域のまち・ひと・しごとに関わる課題解決を目的として構築された6つのメタバース活用モデルで構成されており、自治体向けに提供。住民は、自宅や遠隔地でパソコンやスマートフォンを操作し、デジタルの分身「アバター」となってメタバース役所内に入り、電子申請手続きの総合窓口、有資格者との相談会、住民同士の交流会など、コミュニケーションを起点とする行政サービスを利用できます。

■「メタバース役所」のメリット

◆行政サービスのDX化

自治体のコア業務である「窓口業務」「個別相談」「市民交流の場」「電子申請サポート」を基本機能として提供する「メタバース役所」は、自治体DXと、住民の利便性向上や職員の業務効率の向上を推進します。個別相談コーナーでは、相談したい市民と相談員の二人だけで会話できる機密性が保たれた空間を提供。市民がより相談しやすくなるようにして、育児・教育・介護・年金・税務など様々な課題の早期発見・早期解決につなげます。

また、交流会の機能では、住民同士、住民と行政やNPO団体といった様々な交流会やセミナーを開庁時間外に設定するなど、制限を受けずに開催することが可能。そして、電子申請サポートでは、専門の相談員とオンライン通話を繋いだ状態で住民の電子申請画面を共有し、相談員から入力方法をサポートしてもらうことで電子申請の完結を支援。将来的には行政システムとの連携や公的個人認証を行い、メタバース内でも申請が完結することを目指しています。

2024年2月より三重県桑名市と共同でおこなったメタバース役所実証事業の実施後アンケートでは、「電話よりハードルが低く気軽に相談できた」、「いつでもどこでも気軽に、“ながら”参加ができる」など、ポジティブな意見が集まりました。また、運営関係者からも「移動手段を持たない方はもちろん、子育てに忙しい世代や、日中働いている方にとっては非常に有効なツール」、「メタバース役所内での、市民同士、市民と職員のコミュニケーションは、行政サービスへのアクセス性だけでなく、市民参加の意欲を高める効果もある」などのコメントが寄せられました。

実証事業でのユニーク入場者数は約1,600人で、人口比約1%のユーザーが参加したというデータも。また、60代以上の参加者や、こうした手続き以外の行政サービスを始めて利用した人もいたそうです。こうした実証事業結果も活用しながら、「メタバース役所」が行政のDX化を促し、若者からシニアまで誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」の実現を目指します。

◆災害時の行政サービス提供場所

災害が起きた際、各自治体は被災自治体にリアルでの職員派遣を行いますが、時間や宿泊場所、食料など非常に多くの負荷がかかり、迅速に対応できない場合が多くあります。また、被害にあった住民は、役所に行きたくても、被災して行けない、職員も被災してサポートできない、役所がそもそも倒壊している、など、予想のつかない問題が起こる可能性も。そのような状況の中、「メタバース役所」のようなバーチャル環境は、災害で行政がダウンした際のコミュニケーションプラットフォームとしての役割を果たすため、職員側も利用者側も双方がメリットを享受することができます。

■メタバース空間を利用したラーニングシステム

◆東京都採択、不登校や日本語の指導が必要な児童生徒の学びと居場所の空間

DNPは、「メタバース空間を活用したラーニングシステム」を開発。2023年9月22日に東京都の「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム事業に係るプラットフォーム構築・運営組織」に採択され、不登校や日本語の指導が必要な児童生徒に対してメタバース空間内での学びの場・居場所の提供を開始しました。現在までに、都内28自治体・2事業に導入いただき、2024年8月19日には新たに静岡県の「令和6年度バーチャルスクール構築等事業委託」で採択されました。

■メタバース空間で離れた都市の自治体機能を繋ぐ

近年多くの国民が認識しているとおり未曾有の自然災害が急増しており、自治体では、被災時のマンパワー不足、土木など専門職員の減少による対応への懸念、若手との世代交代による災害時の経験・ナレッジの伝承懸念など、さまざまな被災時の行政対応に関する課題が認識されています。また、自治体(市町村)ではBCP(業務継続計画)策定状況はほぼ100%に近づいており、防災への危機意識が確実に根付いていることを確認できます。

これら自治体と災害・防災を取り巻く動きは、自治体の転換期でもありますが、同時に、我々住民の転換期でもあると考えます。内閣府が発行する令和5年版防災白書にもあるとおり、これからの時代、“公助”だけではなく、上手にデジタル(SNS含む)やテクノロジーを活用した“自助”と“共助”の取り組みを広めていくことも大切です。

「メタバース役所共同利用モデル」は、複数の自治体がメタバース役所をプラットフォームとして共有(共同利用)することで、自治体同士の連携強化による住民サービスの質の向上や共通する課題の解決につなげることが期待できるものです。DNPの「メタバース役所」を共同利用する複数の自治体が住民からの問い合わせに対応する業務等を標準化することで、運用コストなどの財政的な負担や場所や時間の制約を軽減する形で、行政サービスを住民に提供することが出来ます。

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