「魚を探せ!」水槽に電気を…生存者が語るシリア「拷問刑務所」の実態

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2024年12月16日 16:57  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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中東シリアのアサド政権下で、独裁政治を象徴する刑務所に投獄されていた元収容者がJNNの取材に応じました。「これ以上、生きていたくなかった」というほどの過酷な刑務所の実態を証言しました。

JNNの取材に応じたのは、エリアス・アブドラさん。政権に批判的だった人らが「政治犯」として収監されていたサイドナヤ刑務所の元収容者です。

元収容者 エリアス・アブドラさん
「サイドナヤのなかを歩いていることが信じられない。それも自由に」

レバノンで生活していたアブドラさんは2008年、シリアに入国しようとした際に、アサド政権に反対する人物との関連を一方的に疑われ、投獄されました。

2011年まで、3年4か月にわたってこの刑務所に投獄された後、別の刑務所に移送され、政権が崩壊して自由の身となりました。

エリアス・アブドラさん
「ここが…」

自身が投獄されていた場所を見つけ、足が止まりました。意を決して、先へと進みます。

エリアス・アブドラさん
「この部屋だ」

収容されていた人たちのものと思われる衣服などがそのまま残されていました。

エリアス・アブドラさん
「ここは寒かった。洋服がない人もいた。これは食べるときに使っていた。看守はカートで食べ物を持ってくる。僕らがこれを渡すと、この中に食べ物を入れた」

わずかな食料を、一緒に投獄されていた25人ほどで分け合っていたといいます。

取材中、私たちは別の元収容者に遭遇しました。

エリアス・アブドラさん
「私は、ここにいたエリアス・アブドラです」

男性は、この取材のわずか4日前にこの刑務所から解放されたばかりでした。

「どのぐらい居たのですか?」
「7年です」

2人は、この刑務所での拷問の実態を話し始めました。

「看守は水槽の中に頭を入れるように命じました」
「『魚を探せ!』と言って電気を流すんです」

食事の時は、看守の顔を見ないように食料を受け取ったといいます。しかし、受け取り終えると看守が「動くな」と言い、容器を蹴り上げ、収容者は部屋に飛び散った食料を容器に戻して食べていたと証言しました。

わずかな光しかない地下には、独房が広がっていました。ここでも日常的な拷問があったといいます。

エリアス・アブドラさん
「看守がドアを開く音がしたら、立ち上がって、こんな体勢をとらなくてはいけない。目を瞑っていなくてはならず、彼らは入ってくると何度も殴ってくる。何度も、何度も。それでも言葉を発してはいけない」

毎日のように繰り返された暴行。与えられる食料は、パンが数枚だけだったといいます。

エリアス・アブドラさん
「これが私たちの食べ物です。ここには光がないため、何を食べているのか見えません。食べ物の中に虫がいると、虫も一緒に食べることになります。でも、虫を食べていると分かった時は嬉しくなります。唯一のタンパク質だから」

繰り返される拷問や栄養失調から、ここで息絶える人も多かったと話すアブドラさん。犠牲になった人の遺体を運び出すのは収容者の役割で、独房にいた数か月の間に、40人から50人が死んでいったといいます。

刑務所の最上階にあったのは、処刑に使われていたとみられる器具でした。

エリアス・アブドラさん
「看守は1週間に2回、朝の礼拝が終わるとやってきて、収容者を連れていった」

国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は、2011年からの5年間だけで、実に1万3000人が処刑されたと報告。実際の死者は、さらに多いとみられています。

エリアス・アブドラさん
「魂を奪い取ってくれと神に祈った。これ以上、生きていたくなかった」

シリアでは、各地の刑務所に投獄されていた大勢の行方が今も分かっていません。

アブドラさんは「収容者にも家族がいて、帰りを待っている」とし、生きて見つかるよう祈っています。

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