沖縄市で2008年に起きた米兵によるタクシー強盗致傷事件を巡り、被害者の運転手側が、「見舞金」を支給しないのは不当だとして国に賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)は16日、運転手側の上告を棄却した。運転手側は「遅延損害金が含まれていない」として見舞金の受け取りを受諾しておらず、小法廷は「支給を受ける権利がない」と判断した。運転手側敗訴の1、2審判決が確定した。
裁判官4人全員一致の意見。ただ、遅延損害金が見舞金に含まれないことについて、三浦裁判長は「不合理だ」との意見を付けた。
事件では、運転手が乗客の米兵2人から殴打され、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。
那覇地裁沖縄支部は2018年、米兵2人に遅延損害金を含めて約2642万円を支払うよう命じ、判決は確定した。しかし、米兵側に代わって米側が補償金を負担したものの、約146万円にとどまった。
日本政府は見舞金制度に基づいて遅延損害金を含めない約1591万円の支払いを提示したが、運転手側は受諾せず、今回の訴訟を起こして遅延損害金も含めて支払うよう求めていた。
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三浦裁判長は、米軍基地が沖縄県に集中している現状に触れ、「住民の負担を軽減することは国政の重要な課題。被害者が十分に救済されることが肝要で、制度のあり方が問われる」と述べた。【巽賢司】
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