昨年7月に東京・新橋の雑居ビル2階で爆発が起き、男女5人が重軽傷を負った火災で、警視庁は業務上過失傷害と業務上失火容疑で、爆発直前に3階で作業していた水道業者の男(62)と現場監督の男(37)を書類送検する方針を固めた。16日、捜査関係者への取材で分かった。
捜査関係者によると、爆発は、港区新橋の雑居ビル3階で行われた床を平らにする工事が原因で発生した。水道業者が床から飛び出たガス管のふたを回して外そうとした際、床下の接続部が外れ、2階飲食店の天井付近にガスが充満。男性店長(54)がたばこを吸おうと付けたライターに引火したとみられる。
2人は昨年7月3日、配管図を取り寄せるなど構造を事前に確認することなく、工事を開始。ふたと一緒にガス管をパイプレンチで回し、外れた接続部からガス漏れを引き起こし、爆発で店長や通行人ら5人に重軽傷を負わせた疑いが持たれている。
水道業者は任意聴取に対し、当初は固く締まっていたガス管が途中から空回りするようになったと説明。その時点で床下にある接続部が外れていたとみられるが、確認せずに立ち去っていた。
同庁は、接続部分を目視できなかったとしても、むき出しになっていた3階天井部分の同様の配管構造を観察したり、元栓を閉めるなどガスの漏出を防ぐ措置を講じたりしていれば、火災は防げたとみている。
火災は昨年7月3日午後3時15分ごろに発生。開店準備中の店長と女性従業員(54)が顔や手などに激しいやけどを負ったほか、通行人の50代男性らもガラスの破片を浴びるなどしてけがをした。店長は数十回にわたり皮膚移植などの手術を受けたが、完治していないという。飲食店ではガスを使用していなかった。