建物の増改築や解体、道路などの工事の際にガス管を損傷する事故が後を絶たない。事前に配管の位置を確認しないなど、工事業者の不注意が原因のことも多く、専門家は「安全に対する意識を高めることが重要だ」と注意喚起している。
経済産業省によると、今回の事故のように、内装工事などで誤って都市ガスのガス管を損傷した事故は2023年に46件あった。このうち6割超は、工事業者が事前に配管の有無や配置をガス事業者に確認していなかった。
今回の事故を起こした工事業者も配管図を取り寄せておらず、事前に床下の配管構造を把握していなかったとみられる。
東京理科大の桑名一徳教授は、都市ガスの主成分メタンは空気より軽く、通常は上昇しながら拡散すると指摘。しかし、今回は「頑丈な床に遮られたガスが、天井板の隙間などから時間をかけて2階部分に広がったのではないか」と推測する。
メタンは空気中の濃度が約5%に達した状態で、火が付くと爆発する恐れがある。
桑名教授はガス事故について、どれほど注意を払っても「想定外のことは起こり得る」とし、ガス漏れを検知する機器の設置などに加え、「ガスは爆発する危険性があると意識することが大事だ」と警鐘を鳴らしている。