ビジネスで使う言葉の中には、一部の人には当たり前に通じるのに、全く通じない人もいる言葉が存在する。あなたも上司や同僚に言われて、理解できなかった言葉はないだろうか。今回はビジネスシーンで使われる「蕎麦屋の出前」という言葉について見ていきたい。
その他の画像はこちらビジネスシーンで使われる「蕎麦屋の出前」とは?
●相手の返事に対して使う「蕎麦屋の出前だな」の意味
一昔前のビジネスシーンで使われることもあった「蕎麦屋の出前」という言葉。現在では使われることも減っているようで、特に若い世代からは「意味を想像することもできないんだけど……」「『蕎麦屋の出前みたいなこと言われたよ』って上司に言われて、何のことか意味不明だった」といった声が上がっている。
一方で上の世代からは、「『蕎麦屋の出前』が通じない時代なのか」「確かにずいぶん耳にしてないし、知らないのも仕方ないのかも」と驚きの声も。
「蕎麦屋の出前」とは、プロジェクトや仕事の進捗具合について確認したときに、適当な返事をして誤魔化されたことを比喩する言葉。まだ手を付けていなかったり、予定よりも大幅に遅れていたりするにもかかわらず、「今やっているところです!」「ちょうど終わりが見えてきたところです!」などと言われた際に使われるのだ。
元々は、蕎麦の出前が届くのが遅いので問い合わせると、「ちょうど今出たところです!」と信用できない言葉が返ってくる“あるある”からきている言い回し。実際はまだ調理にすら入っていないであろう状況なのに、その場を取り繕うために嘘をついていることを意味する。
●Uber Eatsなども影響?
言われてみれば納得できるが、最近ではそもそも蕎麦屋だけでなく、出前といえば色々なメニューから選ぶことができる。また店員が出前を持ってくるという文化がなくなり、Uber Eatsのように外部委託での配送が主流に。電話注文ではなくネット注文に変わるなど、若い世代からすると「蕎麦屋の出前」という言葉自体が伝わりづらくなっているのだろう。
言葉自体は消えかけているが、思わず「蕎麦屋の出前」的な返答をしてしまう人は多いはず。仕事の進捗確認で相手が「蕎麦屋の出前」を繰り出してきたときに、鵜呑みにして手痛いダメージを喰らわないように気をつけよう。(フリーライター・井原亘)
■Profile
井原亘
元PR会社社員の30代男性。現在は流行のモノや現象を追いかけるフリーライターとして活動中。ネットサーフィンとSNS巡回が大好きで、暇さえあればスマホをチェックしている