大きな被害をもたらした2024年元日の能登半島地震から、間もなく1年となる。
【画像】マップ上に店舗アイコンを表示、オーナー向けアプリとも連動……災害対策システム「セブンVIEW」の機能を見る(計3枚)
近年、災害時のライフラインとして重要視されるのがコンビニだ。セブン-イレブン・ジャパンは、2011年の東日本大震災を受けてBCP(事業継続計画)を制定。2万を超える店舗の状況を把握するために、独自の災害対策システムを導入し、アップデートを続けている。能登半島地震における被災店舗を、1月6日までにすべて復旧させた同社は、どのようにシステムの整備を進めてきたのか。
●2014年の反省生かす
セブンが2015年に運用を開始したのが、リアルタイムで店舗・物流の状況をモニタリング可能なプラットフォーム「セブンVIEW」だ。マップ上にセブン-イレブンの店舗をアイコンで表示し、「正常」「停電」「災害休業」といった状況を把握できる。能登半島地震の発災時、同社はこのシステムを通して直ちに店舗ごとの状況を把握。円滑な初動支援(物資の供給など)を実現できたという。
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なぜこのようなシステムを整備したのか。きっかけとなったのは、2014年に頻発した自然災害だった。具体的には、2月の「関東甲信・東北大雪」、4月の「北・東日本太平洋側地震」、8月の「広島県豪雨」、9月の「御嶽山噴火」が挙げられる。
セブンは自然災害が発生する度に、災害対策本部を設置していた。加盟店の被災状況を把握するため、店舗を支援するスーパーバイザーから直接情報を入手していたという。しかし、通信手段がメールや電話に限られていたことから、報告業務が現場の大きな負担となっていた。また、本部が状況を把握するのに時間がかかるという課題もあった。情報の取りまとめも手作業で行っており、改善すべき点が多かったという。
こうした課題を受けて、同社は災害対策用のクラウドシステムの構築を開始。2015年にセブンVIEWの実用化に至った。同システムの構築に携わった、執行役員 システム本部長の西村出(いずる)氏は、「これまでの災害から『初動の重要性』は認識していたので、とにかく情報の“見える化”を行い、対応に役立てるツールとして開発した」と説明する。
●どんな機能を搭載?
被災状況を迅速に把握できるようにするため、各店舗に備えられた停電発生の検知システムと連動させ、データの取得は極力自動化を図った。
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また、災害時だけでなく普段から見やすいシステムとするため、インターフェースには利用人口が多く汎用性の高いGoogleマップを採用。各地の気象情報などのデータや、自治体が提供するハザードマップを組み込むなど改善を重ねていった。これにより、土砂災害や津波などの警報が発令された際には、対象となる地域と店舗の分布図を照らし合わせることで、危険にさらされている店舗を直ちに確認できるようにした。
その他、現在セブンVIEWを通じてリアルタイムに把握できる情報には以下のようなものがある。
・災害時の物流の状況(配送トラックの位置情報組み込みにより実現)
・冠水被害の状況(店舗に設置された浸水センサーと連動)
・各店舗オーナーの休業意思(オーナー向けのコミュニケーションアプリと連動)
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・各店舗のリアルタイム在庫(店舗システムなどと連動)
●能登地震ではどう生きたのか
これらのシステムは、能登半島地震の際にはどう役立ったのか。午後4時10分の地震発生後、同社の本部はセブンVIEWにより、大津波警報が発令された地域の状況を確認。什器の転倒や停電などはあったものの、店舗の倒壊や津波による回線断絶は起きていないことを把握した。これによって「システムの通信が届くという前提で、必要と思われる対応の優先順位を付けて初動の対応ができた」(西村氏)といい、被災地域の店舗は1月6日には全て営業再開するに至った。
津波の避難指示区域に該当していた七尾小島町店(石川県七尾市)は地震発生直後から休業となったが、1月4日に営業を再開した。同社は本部から社員を派遣し、店内の清掃や商品の陳列のほか、シフトに入るなどの対応に当たったという。自身も被災する中で店舗の復旧にあたったオーナーの丸山ゆかり氏は「お客さまからは『夜中にコンビニの明かりが点いているだけでも安心する』といった声をいただきました」と、早期復旧の意義を振り返る。
ファミリーマートやローソンも含め、コンビニ各社は災害時に備えた情報集約システムを強化している。セブンVIEWにおいては今後、生成AIとのチャットにより必要な情報を取得する機能なども構想していくという。
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