経団連が2025年春闘に向けて策定する経営側の指針「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)の最新の案が18日、明らかになった。賃上げ定着を掲げる25年春闘において、「働き手の約7割を雇用する中小企業の構造的賃上げと、雇用者全体の4割近くを占める有期雇用者の処遇改善の重要性が一層高まっている」と明記。中小・有期雇用者の賃上げに取り組む姿勢を鮮明に打ち出した。
経団連は24年春闘で、経営側の基本姿勢として中小と有期雇用者の賃上げに取り組む方針を掲げた。賃上げの波及と定着を目指し、25年春闘では一段と重視する姿勢を示した形だ。近く正式にとりまとめ、年明けに公表する。
最新案では25年春闘を「賃上げの力強い勢いを社会全体に定着させ、成長と分配の好循環の実現に大きく前進できるか、極めて大事な局面」と定義。中小企業の賃上げ原資を確保するため、「サービス等に対する適正な価格転嫁を消費者が理解し受け入れることが不可欠だ」とし、大企業にも「中小など受注企業の適正な価格転嫁に対応できる収益力の確保、強化に取り組む必要がある」と呼び掛ける。
また、春闘全体として、月例賃金に関し「ベースアップ(ベア)を念頭に置いた検討が望まれる」とした上で、子育て世代の若手、有期への重点配分が有効だとの認識を示した。
連合が「5%以上」の賃上げ実現を目指すとした25年春闘の闘争方針については「経団連の方向と一致している」と評価。一方で、中小労組の要求水準を「6%以上、総額1万8000円以上」としたことは「目安かつ労働運動であることを考慮しても極めて高い水準と言わざるを得ない」と指摘。「建設的で健全な労使交渉の促進に資する水準とする必要がある」と反論した。