<フィギュアスケート:全日本選手権>◇第1日◇20日◇大阪・東和薬品RACTABドーム
7度目の出場で初優勝を目指す鍵山優真(21=オリエンタルバイオ/中京大)が、ショートプログラム(SP)92・05点で首位発進となった。
初優勝へ前進した。3本目の3回転半で転倒したものの、「その後のステップでも感情を出せた」と最後まで弱気な姿は見せなかった。2位の中田とは1・74点差だが、フリーへ迷いはない。「ネガティブな部分は、ささいなことで一気に広がる。そういうところは1ミリも出さずに、最初から最後まで強い意識を持ってやる」と前だけを見据えた。
ミラノ・コルティナダンペッツォオリンピック(五輪)のプレシーズンとなる今季。銀メダルを獲得した22年の北京五輪シーズンや、ケガから復帰した昨季にはなかった感情が表出していた。焦燥感。原因はマリニン(米国)や佐藤駿らライバル選手の飛躍や、周囲からの期待の向上によるものではなかった。
「ショートもフリーもノーミスの演技をすることを今シーズンずっと掲げているんですけど、先シーズンからそろえられたことがしばらくない。目標がなかなか達成できないことに対して、いら立ちや焦りがありました」
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11月のグランプリシリーズ(GP)の第5戦フィンランド大会、今月上旬のGPファイナルとミスが続き、気落ちすることもあった。無心で挑んだ10代の頃とは違う。父正和コーチが「20歳を超えて大人になりつつあるので、いろんなものが出てきているんだと思う」と認めるように、宇野昌磨さんらが現役を退いた後のフィギュア界を背負って立つ責任感が空回りすることもあった。
それでも、環境や心の変化を決して言い訳にはしなかった。結果が出ないことを「普段の練習の詰めが甘かった。足りなかった」と真摯(しんし)に捉え、この1カ月間は転倒した4回転フリップやレベルを取りこぼしていたステップシークエンスなど入念な調整を重ねた。1度失敗しても「良い」「悪い」と2つの要素で状態を判断するのではなく、「本番のパフォーマンスは練習以上のものはでない」と調子の波に左右されず、いつでも70〜80%の力を出せるように取り組んできた。
21歳は「やっぱり僕も負けず嫌いな部分はたくさんある」という。それは、己に対しても同様だ。「全日本や世界選手権ももちろん優勝も狙っているので、そこは貪欲にやっていきたいし、本当に上だけを見てとにかくやっていきたい」。今大会で優勝を果たせば、父正和コーチと史上2人目の親子優勝にもなる。頂点への戦いは、自身に打ち勝つ戦いとなる。
男子フリーは21日に行われる。
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