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2024年12月20日 18:41 ITmedia PC USER
Dynabookの「Dynabook Chromebook C70」は、同社が直接発売する初めてのChromebookで(※1)、教育機関を中心とする法人向けモデルだ。
(※1)初代の「Dynabook Chromebook C1」は、親会社であるシャープを通して発売された
この記事では、Dynabook Chromebook C70の特徴を写真を交えつつチェックしていく。
●SoCはMediaTek製
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文部科学省が2019年度から推進している「GIGAスクール構想」は、2024年度から第2期に突入した。第2期では学習用端末の要件が一部変更されており、PCメーカーはその要件を満たすPC/タブレットの新モデルを順次投入している。
今回紹介するDynabook Chromebook C70も、そんなGIGAスクール第2期に向けて投入された新モデルの1つだ。外観デザインは先に発売されているWindowsモデル「dynabook K70」とおおむね同様で、ぱっと見では「K70の色違い?」と思うのだが、寸法と重量は以下の通り微妙に異なる。
・dynabook K70
・本体のみ:約248.5(幅)×177.0(奥行)×11.0(高さ)mm/約590g
・キーボード込み:約248.5(幅)×185.5(奥行)×23.3(高さ)mm/約1097g
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dynabook C70
・本体のみ:約248(幅)×177(奥行)×10.95(高さ)mm/約563g(※2)
・キーボード込み:約248(幅)×185(奥行)×20.45(高さ)mm/約1097g(※2)
(※2)LTE対応モデルは約12g増しの約575g
見た目以上の差異は、搭載しているSoCだ。本製品は、多くのDynabook PCが搭載するIntel製CPUでもなく、事実上の先代に当たるシャープが販売した「Dynabook Chromebook C1」で採用したQualcomm製SoCでもなく、MediaTek製の「Kompanio 520」となる。
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Kompanio 520はエントリークラスのChromebook向けに開発されたSoCで、CPUコアは計8基(Cortex-A76×2+Cortex-A55×6)で、GPUコアは「Mali G52 MC2 2EE」を備えている。映像出力は内蔵ディスプレイ向けが最大2520×1080ピクセル、外部向けが最大1920×1080ピクセルだ。
実は、GIGAスクール第2期を想定してリリースされた各社のChromebookを見てみると、Intel製CPUではなくKompanio 520を採用する例も複数ある。Kompanio 520を使っているメーカーに話を聞くと、異口同音に「(学習用端末の)補助金の範囲内で調達(購入/リース)できるようにするため」と語る。つまり、1台当たり5万5000円以内で購入できるようにするための工夫の一環として、Kompanio 520を採用したということだ。
本製品もコストを抑える観点からKompanio 520を採用したとのことで、ベース(カスタマイズなし)モデルは補助金の範囲内で調達できるという。
●ベースモデルのスペックは“必要最小限”
GIGAスクール第2期に向けて登場した端末ということもあって、Dynabook Chromebook C70のベースモデルは、その要件を“最小限”満たすように作られている。
メモリは4GB(LPDDR4X-3733規格)、ストレージは32GB(eMMC)を備えている。「え、少なくない?」と思う人もいるかもしれないが、Chromebook(ChromeOS)を学習用端末として使うための最小要件は満たしている。
設計上、ChromeOSはエントリークラスのCPU/SoCでも軽快な動作を期待できる。ただ、それでも使い方次第ではスペック不足を感じる場面も出てくる。そのため、本モデルではカスタマイズ(CTO)オプションとして、購入時に限りメモリを8GB、ストレージを64GBに増量することも可能だ。ただし、その分購入価格は上がる。
ディスプレイはタッチ操作とペン入力に対応する10.1型TFT液晶で、解像度は1280×800ピクセルとなる。スマートフォンやタブレットではフルHD(1920×1080ピクセル)以上のディスプレイが増えていることもあり、「解像度足りなくない?」と考える人もいるかもしれないが、GIGAスクール構想で想定されている使い方を満たす限り、確かにこれでも何とかなる。
ただ、Webブラウジングをしている時は、さすがに「せめてフルHDあれば快適なのになぁ」と思うことが多々あった。価格との兼ね合いだろうが、学習用途で影響がないといいのだが。
ペンは、AndroidタブレットやChromebookでよく使われる「USI(Universal Stylus Initiative)」規格のものに対応している。筆圧は最大4096段階まで検知可能だ。
本製品には、キーボードドックにある「ペンガレージ」に収納できる充電式アクティブ静電ペンが付属する。これも、GIGAスクール第2弾のシステム要件を満たすために必要な措置だ。
ペンガレージにこのペンを収納すれば、充電も行える。ただし、ドックと本体を接続しておく必要がある。
本製品のポート類は、本体の左側面にUSB 3.2 Gen 1 Standard-A端子、USB 3.2 Gen 1 Type-C端子×2とイヤフォン/マイク端子を、右側面にmicroSDメモリーカードスロットを備えている。USB 3.2 Gen 1 Type-C端子はUSB PD(Power Delivery)による電源入力とDisplayPort Alternate Modeによる映像出力にも対応している。
「HDMI端子はなくてもいいの?」と思うかもしれないが、学習用端末上で表示内容を共有する方法がある他、映像を投影する場合でもUSB Type-C(DisplayPort Alternate Mode)あるいは「Chromecast(Google Cast)」に対応する投影装置も増えているので、搭載を見送ったものと思われる。
キーボードドックは日本語配列で、Googleの定める規格に準拠するものを備えている。キーピッチは約1.7mmとやや狭めだが、特に小学生にはピッタリという絶妙なピッチとなっている。キーストロークは約1.4mmだ。
本体には、約200万画素のインカメラと、約500万画素(AF対応)のアウトカメラを備える。本製品はキーボードを分離できるので、特に屋外でアウトカメラを使った撮影がしやすい。
●パフォーマンスをチェック!
Dynabook Chromebook C70のパフォーマンスはいかほどか――簡単ではあるがチェックしてみよう。今回はベースモデル(4GBメモリ/32GBストレージ)で検証している。
Geekbench 6
クロスプラットフォームのベンチマークテストアプリ「Geekbench 6」のAndroid版でProcessor(CPU)テストを行った結果は以下の通りだ。
・シングルコア:625ポイント
・マルチコア:1470ポイント
スコア的には直近のハイエンドスマートフォンにはかなわず、ミドルレンジスマートフォンでようやく勝負になるかどうか、といった感じである。ただ、それでもパフォーマンス不足を感じないのはChromeOSといえるかもしれない。
なお、本アプリではGPUテストも試行したのだが、テストを完走できなかった。
3DMark
GPUのテストは、「3DMark」のAndroid版でテストを行った。スペックの都合から、本機では「Wild Life」のみのテストとなったが、全体スコアは734ポイント(平均4.40fps)となった。
GPUコアの仕様を考えると妥当といえば妥当なのだが、昨今のAndroidスマホ/タブレットと比べると心もとない。ただ、もっとCPU/GPUパワーを使う用途でChromebookを選ぶなら、調達価格を考慮に入れなければ素直に「Chromebook Plus」を選んだ方がいいだろう。
●小学生低学年の「ファーストPC」としては“アリ”
ターゲットが明らかということもあり、Dynabook Chromebook C70のスペックは控えめだ。しかし、ChromeOSが軽快であることも手伝って、実際に使ってみるとサクサクと利用できる。全てをWebで完結できるタスクであれば、ディスプレイの解像度に目をつむれば案外快適に使える。
現時点で、Dynabook Chromebook C70のコンシューマー向け販売は予定されていない。個人的には、値段次第ではあるが小学校低学年の子どもに「初めてのPC」として与えるのは“アリ”なのではないかと考えている。ぜひとも、検討してもらいたい。
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