今から5年前の2019年12月、ミケル・アルテタがアーセナルの指揮官に就任した。
当時のアーセナルは混乱に陥っていた。22年間に及ぶ長期政権を築いたアーセン・ヴェンゲル氏が2017−18シーズン限りで退任し、後任にはウナイ・エメリ監督(現:アストン・ヴィラ)が就任。初年度こそプレミアリーグ5位、ヨーロッパリーグ(EL)決勝進出と一定の成果を残したが、2年目に入ると成績は低迷し、就任からわずか1年半足らずで解任の憂き目に遭った。そんな時にやって来たのが、クラブOBであり、引退後にジョゼップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティでアシスタントコーチを務めたアルテタ監督だった。
就任から2、3年は不安定なパフォーマンスが続いたものの、2022−23シーズンは実に240日以上に渡りプレミアリーグ首位をキープ。最終的に優勝を逃したが、7シーズンぶりにチャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得した。クラブ史上最高額を費やし、イングランド代表MFデクラン・ライスを獲得した昨シーズンも再び2位に終わったものの、アルテタ監督とともに成長を遂げたチームは、かつての競争力を取り戻している。
しかし、アルテタ体制で獲得したタイトルは初年度のFAカップと2度のFAコミュニティ・シールドのみ。クラブとして正しい道のりを歩んでいることは間違いないだろうが、タイトル獲得という目に見えた成果も挙げたいところだ。今やアーセナルに欠かせぬ存在となったイングランド代表FWブカヨ・サカも、イギリスメディア『BBC』に対し、次のように思いを明かしている。
「僕たちは恐れていない。過去2シーズンのリーグ戦ではあと一歩のところまで来ていたし、CLにも復帰した。すでに経験があるんだ。すべてのトロフィーを争う準備はできているし、次のステップへ進み、何かを勝ち取りたいと心から思っている。僕にとってはそれが燃料であり、モチベーションだ。今シーズンは必ず勝利を収め、トロフィーを掲げたい。シーズン毎の進化や発展を誇りに思うのもわかるが、だからこそこれまで以上に次のステップに進みたいし、勝ちたいんだ」
なお、アーセナルはプレミアリーグ第16節終了時点で首位リヴァプールと暫定「6」ポイント差の3位に位置。CLリーグフェーズでは3位につけているほか、カラバオカップで準決勝に進出している。