元セクシー女優でフリーライターの「たかなし亜妖」がお届けする連載コラム。2016年に「ほかにやることがなかったから」という理由でセクシー女優デビュー。女優生活2年半で引退を決意し、ライターへ転向。現在は鳥越アズーリFM「たかなし亜妖のモザイクストリート」で冠番組を持つなど、メディア出演も積極的に行っている。
◆セクシー女優の寿命は短い
セクシー女優の入れ替わりは驚くほど激しい。この前デビューした新人がいなくなるなど日常茶飯事で、女優としての寿命は平均して2〜3年程度と言われている。年単位どころか、数か月も持たず、所属後のメーカー周りで断念する例も珍しくはない。最近の女優志望者たちは、タイムイズマネーの精神が強いのか、ギャラが発生しない面接を「時間がもったいない」と考える人も増えているのだろう。
デビューにまで至らないケースが増えているなか、5年、10年、あるいはそれ以上仕事が続く女優たちはどんなタイプが多いのだろうか? 継続が難しい業界で残留ができる人々について解説していく。
◆長く続けられる女優の特徴は
セクシー女優は即日即金の商売ではないため、日給制の夜職のような“行けば稼げる”と大幅に感覚が異なる。プロダクションに所属、宣材写真撮影、メーカー周りという、何段階にもわたるステップを踏み、ようやく撮影日を迎えるのだから、堪え性がないとだいたい途中で嫌気が差す。給料が振り込まれるまでのタイムラグも長く、お金に忙しすぎる子はまず向いていない。
また、いつオファーが舞い込むかもわからないアンバランスさも忍耐力を問われるポイント。いろいろ不安定なうえに、撮影時間も長く、現場ではスタッフや共演者と円滑にコミュニケーションを取る力も求められるとなると、根性なしでは到底続かないのだ。仮に新人時代にうまくやれたとしても、この仕事が性に合わなければ、どこかで糸が完全に切れてしまう。
もしデビュー後の動きがあまり良くなくても、現場一つ一つを丁寧にこなせば売れる可能性が十分に考えられるこの世界。「結果がすぐに出ないからやーめた!」ではなく、ここでガッツを見せられるかが重要となる。セクシー業界と言えど対人間の商売なので、頑張っている女優にはプロダクションも、現場の人間も「応援したいな」と思うものだ。
実際に、売れない女優から大人気スターに上り詰めるタイプは高確率で“根性マン”。ひと昔前の根性論ではないけれど、結局どの仕事も忍耐力とガッツがカギなのだろう。
◆「深く考えすぎない」のも長く続ける秘訣
何事も、物事を慎重に考えるべきだとは思うけど、深く考えすぎると人間はほぼ確実に足が止まる。将来を思うと不安になるし、それなりに知恵が回るタイプだと「この先、こうなるのではないか」と悪い予想ばかりが頭をよぎるため、現状維持を求めるか、最初から着手しないという選択肢を取りがちだ。女優業が続かない子orデビューにまでも至らない子は、まさにこの考えを持つタイプが多い。
人気商売は少しばかりの軽いノリと、深く考えすぎないのが継続の肝だと言われている。なぜならブームも時代によって変化し、売れるタイミングなど熟考したところで正確な答えは出ないもの。「とりあえず目の前の仕事を頑張るか」くらいのテンションでいる方がうまくいく。ここにプラス“楽しむ気持ち”があると、さらに継続しやすい。
◆“程よく頭のネジを外せるタイプ”が長続きしやすい
もちろん商売なので売れるコツやルートを突き詰めるのも大事なのだが、行き過ぎたところまでいくと空回りする恐れもある。特にセクシー業界はデビューのデメリットが多く、先が見えづらいせいで、一度思考の沼にハマると出てこられなくなる。程よく頭のネジを外せるタイプが順調にいきやすく、メンタルも安定して結果的に長続き……ということなのだ。
志望者は多いけれど、その中で年単位の活動を継続できるのは半分以下である。5年残れたらもう上級レベルで、10年以上続けばレジェンド扱い。だからこそ、長年業界に身を置き続ける女優たちは決して「当たり前」ではない。
女優業を続けるには激しい競争率に勝ち抜くだけではなく、自分自身のメンタルなど内面的な部分のケアも必要不可欠。こう考えるとなんとシビアな世界なのだろう。早々に“撤退”した筆者からすると、長年活躍し続ける先輩たちには尊敬の念を抱いてしまう。
文/たかなし亜妖
―[元セクシー女優のよもやま話]―
【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。