義父は義母のスマホに何度も電話をしますが、電源が切られているのか繋がりません。妻がいなくなったというのに、高圧的な口調の義父。優しい義母はこれまで、認知症の義祖母や引きこもりの義弟の世話を一手に引き受けていたのです。
妻が自らの意思で出ていったというのに、自分の心配しかしていない義父。私を呼びつけて朝食の準備をさせようとしましたが、私はレイジとともに義実家をあとにしました。自宅に戻ると、マナが心配そうな顔をして待っていました。
きっと義母は「自分がいなくなったら、夫が追いかけてきて連れ戻そうとするはず」と考えていたのでしょう。だからこそあえて手紙に「探さないで」と記したのかもしれません。
「二度とこの家には戻らない」という義母の強い意志を感じました。
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日中は仕事で家にいない私たちよりも、マナの方が義母の様子をよく見ていたのかもしれません。
娘の心を傷つけてまで、ここにいる必要がないことは分かっています。
けれど義母に「任せます」と言われた以上、私は任務を果たさないといけない……そう思うのでした。
【第3話】へ続く。
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