人生で初めて体験したアルバイトで、「働くのって、こんなに大変なことなんだ!」と驚いた人は多いでしょう。一見簡単そうに思える仕事でも、裏には見えない苦労があるもの。サービス業であればそれまでお客として何も考えずに受けてきたサービスが、実はさまざまなものが積み重なり提供されていたのだと知ることもあります。
ショック!ママ友に仕事を「それなら簡単」と一蹴された
ママスタコミュニティに、最近飲食店で働き始めた方からの投稿がありました。その話をママ友にしたところ、返ってきた言葉に衝撃を受けたといいます。
『半年ぶりに会った仲よしのママ友。働き始めたことを話したところ「セルフレジで食べ物を運ぶだけなら、簡単な仕事だね」と言われました。想定外の返事が返ってきた驚きとショックで反論できず、「そうだねー」と返したけど。いまだにモヤモヤしています』投稿者さんが働く飲食店では料理のサーブだけでなく、厨房作業や仕込みまでもが業務内。レジはセルフでもお札を詰まらせたお客の対応などもしなくてはならず、「少しも簡単ではない」というのが実感だとか。ママ友さんには以前にも似たようなことを言われたそうで、その際はスルーできたものの今回は……といいます。
『私ならそんな人とは二度と会わない』集まったコメントのなかには他にも「友達を見下すような人とはつきあえない」など、ママ友さんを批判するものもありました。「簡単な仕事じゃないよね! お皿だって持ち方や順番も考えなきゃいけない。ドリンクバーの補充もあるし」など、おそらく飲食店で働いた経験のある方からの共感の声もあります。
ただ、投稿者さんとママ友さんのつきあいは長く、このこと以外で違和感を覚えるような発言をされたことはないのだとか。「これが他の人だったら、関係を絶っていたかもしれない」と、投稿者さん。ショックはそれほどまでに大きかったようです。
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経験者にしかわからない大変さもある。悪気はないのでは
ママ友さんを批判する意見だけでなく、擁護するコメントも少なからずありました。
『話を聞いて「それなら簡単そう」と、思ったままを口に出しただけだと思う。実情を話したら「それは大変そうだね」と言ってくれたのでは?』ママ友さんに悪気はなかったと想像するコメントです。実は投稿者さんもこれまでのつきあいから、「おそらく悪気はないのだろう」と考えているのだとか。しかし、それでもモヤモヤは収まらないのです。
『私の母は結婚退職後から一度も働いたことがないのだけど、パートを責任のないラクな仕事だと思っているよ。「いつでも休める」とか。もしママ友さんの専業主婦歴が長いなら、仕事に関しての認識が世間とズレていることはあると思う』実際のところママ友さんは専業主婦だそうですが、当の投稿者さんも専業主婦歴が長かったのだとか。「でもどんな仕事も大変だろうなと思っている。『これは簡単そう』なんて考えたこともない。だから友達の発言に余計にびっくりした」といいます。
専業主婦歴が長いかどうかに限らず、誰でも自分が経験したことのない仕事内容は想像するしかありません。「仲のいい友達に言われてショックだろうけど、経験のない人は接客を誰でもできる簡単な仕事だと思っているよ」「私は飲食店の経験がないから『セルフレジで運ぶだけ』と聞いたら、正直ラクそうと思っちゃう。厨房や仕込みまであるとは知らないもの」というコメントも寄せられました。世のなかには経験がないことを「簡単」「ラクそう」と考える人もいるのです。
『その友達は「簡単な仕事でよかったね」と言いたかったのでは?』大変さに想像が及ばなかったママ友さんは、前向きな意味で「簡単」という言葉を使ったのではないでしょうか。「簡単な仕事だから大丈夫だよって、フォローしたかったのでは?」という推測もありました。
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モヤモヤの理由は発言自体ではなく、説明できなかった自分では
『投稿者さんが会話を続けなかっただけじゃない? 違和感があったなら「え? そうでもないんだよ」と話を続けたらよかったのに』その場で反論していれば、今のようにモヤモヤすることはなかったわけです。”反論”というと対立するように感じて躊躇(ちゅうちょ)しそうですが、この場合は”説明”のニュアンスが近そうです。
『ママ友に悪気がないとわかっているなら、反論じゃなく「それが意外と大変で」と説明すればよかったのに』説明もないまま終わってしまった、ふたりの会話。何も知らないママ友さんは、きっと今でも投稿者さんの仕事を簡単なものだと考えているでしょう。
『相手の心中なんて想像するしかないのだから、モヤモヤした段階で自分の気持ちを少しでも伝える努力をしたほうがいいよ。言われたのが二度目なら、なおさら』投稿者さんのモヤモヤはママ友さんの発言に対してではなく、ちゃんと説明できなかった自分自身に対してかもしれません。そして人を変えることはできませんが、自分なら努力次第でいくらでも変えることができます。せっかく長く続いている友情です。この先も気持ちよく関係を続けるためにも、次回会ったときはママ友さんにしっかり説明できるよう頑張ってみてはいかがですか。
文・鈴木麻子 編集・すずらん イラスト・Michika
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