日銀は24日、10月30、31両日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。会合では、政策委員の一人が「いわゆる『金利のある世界』への移行には相応の不確実性があり、金利引き上げの判断は時間をかけて慎重に行う必要がある」と述べるなど、利上げを急がない考えを示す意見が目立った。
先行きの金融政策運営に関し、ある委員は「もともと緩やかなペースの利上げを想定している中、米大統領選後の状況を含め、今後の展開を見ることはできる」と言及。また、「賃金と物価の好循環の持続性に自信が強まるまで、当面、政策金利は現状維持すべきだ」との意見もあった。
一方で、7月の利上げ決定後に株価が暴落したことを受け、政策変更の判断について「時間的な余裕がある」と説明してきたことに関し、「(そうした)情報発信をしていく局面ではなくなりつつある」との指摘もあった。
こうした議論を踏まえ、植田和男総裁は会合後の記者会見で「『時間的余裕を持って見ていく』という表現は不要になる」と表明した。