「Copilot+ PC」をめぐる“三大怪獣大決戦”を楽しんだ2024年に、液タブの“最終局面”をうかがう

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2024年12月25日 13:12  ITmedia PC USER

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思わず買ってしまったQualcomm搭載モデル「Surface Laptop 7」

 こんにちは! refeiaです。


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 2024年、終わっちゃいましたね。今年は何だか世界情勢の味が濃すぎたせいで他の何事からも気がそれがちでしたが、個人的にはノートPCの進化が印象的でした。それでは、2024年のおさらいをしながら来年の展望や楽しみなこと、心配なことを書いていこうと思います。よろしくお願いします!


●“三大怪獣大決戦”で飛躍したWindowsノートPC


 個人的な印象とはいえ、2024年はWindowsのノートPCに「MacBookモメント」らしきものが来たのが印象的でした。


 ご存じの通り、Appleは2020年にMacのCPUをIntel CoreからApple Siliconに変更し、「処理速度もバッテリー持続時間も2倍の2倍!(それ以上?)」みたいなショッキングな進化を果たしました。その後はWindowsノートも第12世代Coreなどで頑張って改善を続けていましたが、この2024年はついに、そういうレベルになったなあ……と思えるCPU製品が出そろいました。


 しかも、Qualcomm、Intel、AMDの3社そろい踏みで、それぞれキャラが濃く力の入った製品を出していました。


●ついに現れた超速いスナドラPC


 まずはクアルコム陣営から。自分も購入したSurface Laptop 7を始めとする、「Snapdragon X Elite」「Snapdragon X Plus」を搭載したノートPCです。


 Arm版Windowsで動作するため、厄介な互換性の問題は続いています。とはいえ、高速動作+静か+バッテリー持続時間が長いという、従来ではどれかが犠牲になっていたものがすべて満たされていて、用途を割り切ればかなり良いPCになります。


 一方で、遅い遅いと言われ続けたスナドラPCの汚名返上としてIntel Coreを打ち倒すために、省電力志向のチップとしてはアンバランスな「CPUでっかち」のスペックになっているのも印象的でした。


 何でもかんでもCPUにやらせるのはやめて、重い処理はそれが得意なGPUやNPUに投げましょう、という時代に、従来型の性能序列「CPUマルチコア・スコア」でライバルに勝たなければならなかった、時代のあだ花のような仕様です。


 以後のSnapdragon Xがどう進んでいくかは知りませんが、ラージコアをバンバン増やして競争するよりは、省電力コアなどを採用して高負荷時のバランスを取っていく気がしています。


●パワー全面感のAMDとバランス感のIntel


 もう1つがAMD陣営の「Ryzen AI 9」シリーズ。こちらはどちらかというと、バッテリーはともかく性能を伸ばすぞ! というような、ある意味潔い趣向で、ASUS JAPANの「ProArt PX13」は13.3型と小型でありながらギョッとするような処理速度をたたき出していました。


 Ryzen AI 9はCPU内蔵GPUも優れているので、単体で搭載されたノートPCも多かったですが、このモデルは外付けGPUも採用しており、本当に広い用途でがっつり行けるロマンもあり所有欲をかきたてるPCでした。


 そして、個人的に真打ちだと思っていたのがIntelのLunar Lake(開発コード名)、「Core Ultra 200V」シリーズです。自分ではレビューしていないので簡単に書くと、高速動作+静か+バッテリー持続時間が長い+互換性問題がないです。


 こう書くと「スナドラPCなんだったの……」と思われるかもしれませんが、自分もそう思ってしまい……この思いの行き場がないまま、スナドラPCを普通に愛用しています。


●じんわり忍び寄る液タブ最終局面感


 ここでいう「最終局面」というのは、分野の終わりという意味ではなく、成熟した分野になったということです。USB Type-C充電器などを思い返して想像してもらうと分かりやすいですが、GaNなどの技術が行き渡り、どのメーカーも小型で大出力が出せるようになって、大手は高級路線に進出し、買う側としても「これを買ったら、当分は新しいのが欲しくならなそうだな」という感覚になる、という感じの最終局面感です。


 実際に、XPPenやHUIONなどの海外メーカーは技術が成熟し、20万円前後の価格で堂々とした、出来の良い上位モデルを供給できるようになりました。2024年にレビューした「HUION Kamvas Pro 19」は、タッチ機能の熟成度に隙があるものの、ペン性能の面では満足できる出来でしたし、別の企画で触らせてもらったXPPenのモデルも「これは、ついに一線を越えてしまったか?」というシンプルな驚きが頭をよぎるような、問題のない出来でした。


●動きが小さくて気になるワコム製品


 そこで気になるのが、ワコムの動向です。2024年の目立った新製品は、同社初の有機EL液タブ「Movink 13」ぐらいでした。


 ワコムの現状の製品ラインアップは、ちょっと隙が大きいと思います。


・めちゃくちゃ出来が良いけれど高級品すぎる新Cintiq Pro


・旧Cintiq Proは高価なまま古さが目立ち始め


・スタンダードCintiqも古さが目立ち


・Wacom Oneは新しくて良いものの、ペンがエントリー品質


 で、特に後者2つは、海外メーカーがモダンな仕様の新製品をどんどん出すことで隙を突かれやすくなっています。また、接続や設定などが煩雑なPCよりもiPadとApple Pencilを好む人も増えていく中で、対抗できる製品がありません。


●ひっそり強靱(きょうじん)になっていたワコム


 これだけみると、ワコムは大丈夫なのか? と思う人もいるかもしれませんが、全然そんなことはありません。


 液タブやペンタブとしては競争環境が厳しい上に「ステイホーム特需」の反動による落ち込みも癒えませんが、Samsungの「Galaxy」といった他社製品のペン技術を担う「テクノロジーソリューション」事業がギャンギャンに伸びています。自社ブランド製品がどうあれ、裏方でもしっかり稼げる企業に、たった数年で変化しているわけです。


 とはいえワコム製品としてもラインアップを更新しないといけないわけで、ボクが見たいのも新しいワコム製品なわけです。はよしてくれ……。


 個人的に期待しているのは、モバイルと気楽なドローイング志向だったMovink 13が号砲になって、長らく更新されていなかった「MobileStudio Pro」が復活したり、iPadと撃ち合える製品に発展していったりしてくれることです。


●多彩で楽しい左手デバイス


 意外と左手デバイスに注目したのも2024年の特徴でした。


 ロジクールの「MXクリエイティブコンソール」は、ディスプレイボタン+分割式という男の子心をくすぐる快作でしたし、


 一方の「TourBox Elite Plus」はiPadの厳しいOS制限の中で、トラックパッドやキーボードデバイスのふりをすることで、ある程度実用的な操作性を獲得していました。


 液タブやペンタブは、性能や使い勝手の面でどうしてもどこかに収束していくような感じになってしまいます。ところが左手デバイスは、個性的な仕様や形を生かした独特な製品が多くて、触って楽しいし、選び甲斐もあると思います。今後もちょくちょく見ていきたい分野ですね。


●2025年も良き物欲の年になりますように


 といったところで。個人レベルでは実は2023年と同じく旅行と車いじりでお金を使ってしまって、目立った買い物はPCを2つとスマホとPlayStation 5 Proぐらいでした。


 とはいえ、本稿前半でちょっと書きすぎたように、2024年のノートPC分野はQualcommの参加で「Copilot+ PCの本命に俺がなる!」と3社が争っている感が激しくあり、情報を追うのも楽しく、実際に買った製品も味が濃くてとても楽しめました。使ったお金の割には充実感があったなあというのが素直な感想です。


 というわけで、今度こそモダンになったスタンダードCintiqと、Movinkの驚きを引き継ぐモビリティー製品を夢見ながら2025年を迎えたいと思います。


 それでは、2025年もよろしくお願いします!



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