運輸安全委員会は、1月2日午後5時47分ごろに羽田空港で発生した、日本航空(JAL)516便と海上保安庁機の衝突事故の経過報告書を公表した。調査を事故発生日から1年以内に終えることが困難であると見込まれることから、調査の経過を明らかにした。
羽田空港のC滑走路で、停止していた新潟行きの海上保安庁機(ボンバルディアDHC-8-300型機、機体記号:JA722A、乗員6名)と、着陸した札幌/千歳発のJAL機(エアバスA350-900型機、機体記号:JA13XJ、乗員11名、乗客367名)が衝突した。衝突と同時に、JAL機は胴体下面で火災が発生し、滑走後に滑走路を逸脱。滑走路終端近くの草地で停止し、乗員乗客は非常脱出した。海上保安庁機も衝突と火災で大破し、乗員5名が死亡、機長が負傷した。
海上保安庁機は、1月1日に能登半島地震が発生したことを受け、震災支援物資を輸送する計画だった。JAL機の乗員は海上保安庁機を視認できず、着陸し逆噴射のための操作を行ったのとほぼ同時に、機体が急に正面に現れ、大きな衝撃が発生したという。衝突後、ステアリングや方向舵は効かず、機体停止後にエンジンの停止と消火剤の放出操作を行ったものの、右エンジンは停止せず、操縦室内の計器上でも状況の確認ができなかった。
調査では、JAL機の乗客や事故の目撃者から情報提供を受けた。報告書では、「提供された写真は、本事故調査において他の方法によっては得難い重要な情報を含むものであった」として、一部が掲載された。「非常脱出時においては、客室乗務員の指示に従うことが重要」とも付け加えられた。
JALは、「お亡くなりになられた海上保安庁の関係者の方々へのご冥福を、あらためまして心よりお祈り申し上げます。弊社便にご搭乗いただきましたお客さま、ご家族の皆さま、関係の皆さまにおかれましては、大変なご心痛とご迷惑をおかけいたしましたことを、深くお詫び申し上げます。本日、運輸安全委員会による航空事故調査(経過報告)が公表されました。当社は、同委員会の最終報告に向け、引き続き本事案の調査に全面的に協力してまいります」とコメントした。
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