日本ではあまり見かけない有料トイレですが、公団ウォーカー照井啓太さん(@codanwalker)が遭遇した有料トイレが、個性的なスタイルで注目を集めました。
「鎌倉の七里ヶ浜でお腹痛くなって有料トイレに100円払って入ったんです。有料だから綺麗なのかと思いきや、なんと洋式は1つもなく、見たことのないタイプの和式トイレでした(泣)。全方位から水が出るので、うっかりすると足濡れるので要注意です」
こんなコメントと共にX(旧Twitter)へ投稿された動画に映るのは、和式便器ですが足置き場が定められている見慣れない形状。ボタンを押すと……なんと、便器の中はもちろん、便器を囲む四隅からも、水が流れてくるではありませんか!
え?!便器外も水を流して掃除してしまうタイプ?! 斬新ですけど、ちょっと危険……うっかりすれば足が濡れてしまう可能性大。
|
|
「札幌の地下鉄以外でこのトイレあるんだ!!」
「外しても流れるようになってるんだね」
「これ80年代〜90年代に川崎か横浜で見たことある」
「40年くらい前にできたJR本郷台駅前広場の公衆トイレがコレ」
「懐かしすぎて有料でも見てみたくなりました」
「こんな和式のトイレ初めて見ました」
「まだあったんですね、これ」
投稿のコメント欄には、懐かしいという声も多く、かつて経験したことがある人も多い様子。しかも、「さわやかトイレやんかw」と、名称を知っている人もいて、「スターライトトイレ!」と、どうやら製造メーカーらしき会社名まで判明。
大阪市に本社を構えるスターライト工業(大阪市旭区)の方に、このトイレについて詳細をお伺いしました。
もはや絶滅危惧種の貴重なトイレだった!?
ーーこのトイレは御社の製品ですか?
「はい、弊社の製品で間違いないと思います!残念ながらこの製品の詳細な資料は残ってないのですが……。弊社はもともとFRP(繊維強化プラスチック)製の床下収納を作っていたんです。FRPは、プラスチックと比べて軽量で強靭な構造物をつくることが可能で、耐久性にも優れているので国鉄から『小便器の制作ができないか』という依頼を受けたのが始まりと聞いています。そこから公衆トイレなどをつくっていたようです」
|
|
ーーではもう、現在は製造されていないのでしょうか?
「そうですね、25年以上前にはもう製造を終えていたんじゃないかと思います。製造を知っている社員がもう残っていないので。現在は駅のトイレも、陶器製のトイレになっていますよね」
ーー今はもう、トイレをつくってないんですか?
「弊社は大きく分けて3つの事業があり、セーフティ・ライフサポート事業でトイレを製造してはいます。しかし、ここで製造しているトイレは、今回の投稿にあったような一般的なトイレではなく、病院用や災害時に使える災害用トイレ、携帯用トイレといった少し特殊なものを現在も製造しています。FRPという素材は丈夫でとても軽いという特徴があるので、移動しやすく災害用に適しているんです。実際に弊社製品を納入していただいている自治体も多いです」
ーー日常生活では見かけないけれども、いざというとき大切なトイレを今も製造されているんですね
|
|
「はい、『災害用備蓄トイレ クイックハウス』は、避難生活でも安心して使用できるよう開発されており、頑丈かつ備蓄や運搬に欠かせない薄さと、5分で組立てられる手軽さです。また、阪神淡路大震災での教訓を生かした防犯面や衛生面での機能も備えており、少量の水でも作動します。『携帯用トイレ クイックトイレ』も開発しており、一般企業をメインに個人の方々にもご購入いただいています」
実録:担当者自らトイレレポート!
「トイレの資料が社内に残っていなくて申し訳ない」と、なんと取材後日にご担当者自ら、横浜で今も利用されているトイレの現状を視察・レポートしてくださいました!
「40年ほど経ってるようですが、思ってたよりもきれいで元気でした。構造上のメリットなのか、公衆便所にありがちな臭いがしないトイレがほとんどでしたね。子どもたちや高齢者、運転手の方々が多く利用されているようです。利用された方々にお話をお聞きしたんですが、とても大切に使っていただいているようです」とのこと。40年経っても清潔で愛用されてるって素晴らしい!
この一見不思議なトイレは大阪発祥で、しかも資料がほとんど残っていないという幻のトイレでしたが、メーカーは今も健在。そして、現在もいざという時に、人々の大切なトイレを守ってくれていました!
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)