発生からまもなく1年となる能登半島地震についてお伝えします。
被災者が思う“3つの課題”加藤シルビアキャスター:
最大震度7を観測した能登半島地震では、亡くなった人が石川県・富山県・新潟県で合わせて489人、うち災害関連死が261人で半数以上です。
住宅被害では全半壊が約3万棟で、さらに追い打ちをかけたのが2024年9月の奥能登豪雨です。床上・床下浸水が823棟、全半壊が686棟になっています。以下は、住民の方々が今考えている復旧・復興の進捗アンケートです。
復旧・復興の進捗は?
18% ほとんど進んでいない
45% あまり進んでいない
32% ある程度進んでいる
5% 順調に進んでいる
「ほとんど進んでいない」または「あまり進んでいない」と答えた方が合わせて6割以上です。
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では、復旧復興の課題はどのようなところにあるのでしょうか。
「宅地や住まいの整備が進んでいない」と答えた人は4割近くいます。電柱が倒れて、未だに電気が通っていないところがあるということです。
さらに、道路に穴が開いているところがあるなど、「インフラの復旧」についても3割近くの人が課題と答えています。これに加え、「人口減少」が課題と答えた人が57%います。
急速にすすむ“人口流出”加藤キャスター:
では、どれほど人口が減少しているのでしょうか。
震災後 能登の人口流出(11月1日時点)
輪島市 -1961人
七尾市 -1554人
珠洲市 -1065人
能登町 -732人
志賀町 -587人
穴水町 -398人
11月1日時点で、6つの市と町を合わせて6297人の人口が流出してしまった現状があるようです。
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井上貴博キャスター:
奥能登の人に連絡を取っていると、2024年前半くらいまでは、「金沢に拠点を移しても、週末には珠洲や奥能登に帰りたい」という人が多いイメージがありました。しかし、金沢の生活が安定してくると、珠洲や奥能登に戻ると、時が巻き戻ってしまって気持ちが辛くなり、その感情を自分が感じていることに苛立ちが募ると言っていました。
時間が解決すると言いますが、そんな生半可なものじゃないということが、1年が経とうとしている今だからこそ感じる部分はあります。
ホラン千秋キャスター:
出たくて出ているわけではなく、この状況がいつまで続くのかが見えない中で、家族や子どもがいて、安定した生活を手に入れるために致し方なく出ていく決断をしている人がほとんどだと思うので、それは整理がつかないよなという気がします。
井上キャスター:
出ていくことは仕方がないわけですが、「あの人出ていったんだ」と周りから見られることがまたストレスになって、精神的に辛いところが皆さんにあるんだろうなと感じます。
加藤キャスター:
今、能登の方々が抱えている課題について、被災地に何度も足を運んでいる北陸学院大学の田中純一教授は、まず「公費解体の遅れ」という点で、住宅の建て直しや修繕ができず生活の見通しがたたないということを挙げています。
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さらに、「被災者の高齢化」という点で、仮設住宅などで暮らす高齢者は長期化による体調面の不安があるそうです。
それに加えて、「地元を離れてしまった人が再び戻って生活できるように、教育や医療なども充実させていく必要がある」と指摘しています。
井上キャスター:
既に小学校レベルでは教育格差が出始めていて、リモートができるところとそうでないところの子どもの習熟度は大きく変わってきているというデータもあります。
自治体の長によっては集団移転を考えているところもあります。地域によって、進められるのか厳しいのかということで、これは政治の力が関わってくると思います。自治体や国が、そういう話も進めていかないと、全く変わってないところもありますから。
ホランキャスター:
地震だけではなく、豪雨被害で追い打ちをかけられた地域もあるかもしれませんが、やはりインフラだけではなく、医療や教育という社会インフラも網のように戻ってこないと、生活を戻すことへのハードルが非常に高いと思います。
国や自治体がどう思っているのかが県民の皆さんに伝わると、少しはほっとできる瞬間もあるのかなとは思います。
井上キャスター:
率直なところ、未だに水を思うように使えない地域が今の日本にあるという現実には、私達もしっかりと向き合っていかなければいけないと感じます。