<101回目のプロローグ(1)>
101回目を迎える東京箱根間往復大学駅伝競走(来年1月2、3日)まで1週間を切った。見どころを「101回目のプロローグ」と題し、全6回連載で紹介。第1回は史上6校目の大学3大駅伝「3冠」に挑む国学院大の強さをひもとく。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝で逆転優勝し、3冠王手で挑む今大会。2月の大阪マラソンを制したエース平林清澄主将(4年)を軸とした明るく勝負強いチームが、初の箱根制覇での偉業達成へと突き進む。
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平林は3冠への確かな手応えを示した。「勝ち切るレースが実際にできている」。新チーム発足時から「勝ち切る」をテーマに掲げ、駅伝シーズンで体現。出雲、全日本ではともにレース後半で逆転劇を演じた。
大学3大駅伝「3冠」とは、スピードの出雲、スタミナも必要となる全日本、山区間が鍵を握る箱根と、特徴が異なる3レースを同一年度で制すこと。過去に達成したのは5校のみだ。偉業の難しさを物語るが、今季の国学院大は実現する力がある。その強さは3つの要素に支えられている。
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◆「打倒平林」が合言葉
平林が大阪マラソンで優勝。「勝ち切る」を有言実行した姿にチームは沸き、同時に「打倒平林」の雰囲気も生まれていった。3年生の上原は「極論、平林さんが10人いれば箱根は勝てる」と言う。寮の食堂や風呂場では「平林さん、勝ちますよ」と繰り返し、平林の背中を追いかけた。平林も「強くなりたいと成長してくれて、今では練習でも当たり前のように僕の背中が見えるようになってきた」と証言する。
◆駅伝を見据えた単独走の練習
1人が約30秒おきにスタートし、決められたペースで指定のコースを走る単独走の練習で地力を高めた。前田監督は「集団走になりがちな記録会でタイムを出すことを重視していない。大事なのはつなぎの区間で勝つこと」と説明。出雲、全日本では全14区間のうち5区間で区間賞を獲得し、その全てがレース後半の区間だった。箱根でも復路での逆転をもくろむ。
◆明るいチームカラー
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監督と選手たちの距離の近さも特徴だ。今季は野中が「監督を見返す」と報道陣の前で繰り返し、前回箱根で当日変更により出走できなかった悔しさを強調。平林が「今年は監督の大号泣が見られるように」と呼びかける場面もあった。前田監督は「楽しそうな空気感が大好き。目指しているチームに近づいている」と笑顔を見せる。
勝負強さと明るさを兼ね備えた令和の強豪。平林ははっきりと青写真を描いている。「誰もいない大手町のゴールに国学院のタスキが最初に帰ってくる。チームでもイメージが共有できている」。箱根路も勝ち切ってみせる。【藤塚大輔】
◆今季の出雲駅伝 3区終了時で首位と20秒差の3位も、4区から2区間連続区間賞で逆転。最終6区では平林が2位との差を4秒から40秒へと広げる区間賞の快走を見せ、5年ぶり2度目の優勝を飾った。
◆今季の全日本大学駅伝 首位と1分27秒差の3位で迎えた5区から、野中、山本が2区間連続で区間賞を獲得。最終8区で上原が4秒差を逆転し、初優勝を収めた。
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