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繁華街を歩いていても、商業施設で買い物をしていても、カプセルトイ専門店を見かけるようになりました。国内のカプセルトイ市場は好調に推移していて、2023年度の市場規模は約1150億円(日本カプセルトイ協会の調べ)。前年度(約720億円)と比べると、59.7%も伸びています。
最大の要因は、設置台数が増えていること。現在は「第5次ブーム」といわれている中で、専門店「gashacoco(ガシャココ)」を運営するハピネット(東京都台東区)は10月、米国に上陸しました。現地で、カプセルトイを楽しんでいる人はどのくらいいるのでしょうか。同社の担当者に話を聞きました。
●店舗が増えた要因
ガシャココのメインターゲットは20〜30代の女性ということもあって、店内に気軽に入ってもらえるように照明を明るくしたり、ベビーカーを押しながら回れるように通路を広くしたりしているそうです。
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ハピネットがカプセルトイ事業に参入したのは、2019年12月のこと。その後、店舗数を着実に増やしていって、2024年6月時点で114店舗を運営しています。同社によると、ガシャココのシェアは60%ほどだそうです。
カプセルトイ事業を始めて、すぐにコロナ禍に突入したわけですが、どのようにして店舗を増やしていったのでしょうか。同社の渡辺愛理さん(経営企画チーム)は、このように話します。
「新型コロナの感染が広がり、人流が減ったこともあって、商業施設のテナントが撤退していきました。その空いたスペースに、店舗を出店していきました」
カプセルトイ専門店の特徴のひとつに、広いスペースでも狭いスペースでも柔軟に対応できることが挙げられます。
広ければ自販機を増やし、狭ければ自販機を減らして。飲食店のようにガスや水道が不要で、ゲームセンターのように大規模な電気工事も必要ありません。店舗の運営は基本2人で回せるので、アルバイトの採用にもそれほど苦労しません。
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「テナントの空き+初期投資は少なめ+少人数での運営」というビジネスモデルがうまくかみあったことで、店舗数を増やしていったそうです。
●米国で人気のアイテム
国内市場でトップを走るハピネットは、なぜ米国に上陸したのでしょうか。
「これまで国内で展開してきましたが、このままだといずれ成長は止まってしまいます。さらなる規模拡大を考えて、米国に進出しました」(渡辺さん)
米国1号店は、テキサス州にある大型ショッピングモール「Grapevine Mills(グレープバイン ミルズ )」の中にオープンしました。店舗の広さは104平米で、カプセル自販機は307台。国内の平均的な店舗とほぼ同じ広さだそうです。
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現地で2カ月ほど運営してみて、反響はどうなっているのでしょうか。
「海外からの観光客は、日本でカプセルトイを楽しんでいますよね? こうしたニュースを目にすることがあるので、米国でも盛り上がると思っていました。しかし、認知度はまだまだでして。これから積極的にPRしていかなければいけません」と渡辺さんは課題感を明かします。
とはいえ、売り上げを見ると、国内店舗の平均を上回っているそうです。それもそのはず。国内で自販機を回すには、1回当たり300〜500円ですが、米国では同4〜12ドル(600〜1800円)。客数が少なくても単価が高いので、売り上げは堅調に推移しているようです。
米国で扱っているアイテムは、バンダイの商品(IP)のみ。自販機の中には日本のアニメキャラがたくさん入っており、特に「ドラゴンボール」「ONE PIECE」などのフィギュアが人気だそうです。
カプセルトイ専門店はまだ始まったばかりですが、現地でどのようにして認知度を広めていくのでしょうか。「SNSを使ったり、イベントを開催したり、ショッピングセンターに来店した人に声をかけたり。地道なことを繰り返して、少しずつ広めていきたいですね」(渡辺さん)とのこと。
日本での成功モデルを米国に輸出した形になるわけですが、現地で“当たり”は出てくるのでしょうか。しばらくは投資を続けて、PDCA(※)を“回し”続けなければいけないようです。
(土肥義則)
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