能登半島地震の発生から1年となるのを前に、学園祭やイベントでの物販を通じ被災地を支援する動きが広がっている。能登の素材を使ったスイーツや被災した酒蔵の日本酒などが人気で、能登から離れた地でも支援できるため好評という。
私立川村中学・高校(東京都豊島区)は11月の学園祭で、生徒会が考案した「石川県物産展」を開いた。「加賀どら焼き」や「金沢おでん」など計34品目を販売したところ、1050個が2日間で完売した。生徒は「また物産展をやってみたい」と手応えを感じているという。
物産展には、在学中に授業の一環で同県を訪れ、輪島市の「朝市通り」を見学したり、伝統工芸「輪島塗」の箸作りを経験したりした卒業生らも立ち寄った。輪島塗の職人も駆け付け、輪島塗の箸置きやスプーンが販売された。
被災地の様子を伝える写真も展示され、舘野由紀江副校長によると、写真を目にした生徒は「自然災害にどう備えればいいか考えるきっかけになった」と話していたという。
イベントを通じ、復興を支援する企業もある。トヨタ自動車(愛知県豊田市)は今月5日、都内で「能登応援マルシェ」を開催し、50品目を販売。酒蔵が被災した宗玄酒造(珠洲市)の日本酒「宗玄」や、牧場が被災した能登ミルク(七尾市)の「能登ミルククッキー」が人気だったという。
社会貢献推進部の津国佳代さんによると、来場客には津国さん自身が各商品の生産者の被災状況を説明した。購入者からは「こんな機会を待っていた」「やっと応援できる」との声が寄せられた。
同社は来年以降、「能登半島の生産者を応援したい」との思いから本社や愛知県内の全工場の売店で、石川県産の商品を販売する予定だ。津国さんは「被災地に心を寄せ、能登を応援する気持ちを忘れない」と意気込んでいる。