ITmedia Mobileでは、2024年を代表するスマートフォンを決定する「スマートフォン・オブ・ザ・イヤー2024」を開催しました。
審査の対象となるのは、2024年1月1日から2024年12月中旬までに発売したスマートフォン。審査員がそれぞれ5機種を推薦し、その中で票が多く集まった10機種をノミネート機種として選定しました。2024年は「ハイエンド部門」と「ミッドレンジ部門」に分け、各部門で5機種ずつ(計10機種)、最終的に各部門で1機種(計2機種)を選定します。なお、ハイエンドとミッドレンジの線引きについては、価格が10万円を超えるかどうかという基準を用いました。
2024年の審査員は、ITmediaなどで活躍し、1年間を通じて携帯電話業界を取材してきた石川温氏、石野純也氏、太田百合子氏、佐野正弘氏、島徹氏、房野麻子氏、村元正剛氏、山根康宏氏(五十音順)の8人とITmedia Mobile編集部です。今回は、審査員が推薦した5機種とその理由を紹介します。
●石川氏:2024年は「Xiaomi 14 Ultra」と「AQUOS sense9」の2強
|
|
・推薦機種(ハイエンド)……Xiaomi 14 Ultra、AQUOS R9 pro・推薦機種(ミッドレンジ)……らくらくスマートフォン Lite、AQUOS sense9、Xiaomi 14T
ハイエンドは、「Xiaomi 14 Ultra」がダントツという印象でした。 カメラでガチンコで来たのも面白かった。「AQUOS R9 pro」もハードウェア的にいいところはありましたが、実際触ってみると、まだまだ「Xiaomi 14 Ultra」を追いかける立場でしたね。
一方、ミッドレンジに関しては、シャープの「AQUOS sense9」が抜きん出ていました。あとの機種は悩みつつ、「Xiaomi 14T」と、ギリギリ2024年に発売されたFCNTの「らくらくスマートフォン Lite」を挙げました。
●山根氏:Nothing Phoneは「2a」になって肩の力が抜けてよくなった
・推薦機種(ハイエンド)……AQUOS R9 pro、Xiaomi 14 Ultra、Galaxy S24 Ultra・推薦機種(ミッドレンジ)……Nothing Phone (2a) Special Edition、nubia Flip 5G
|
|
ハイエンドについて、Xiaomi 14 Ultraは確定ですね。プロユースで実際に使っている人も多いですし、カメラとしても、スマートフォンとしてもよくできています。フォトグラファーキットが付いたら使いやすくなるのも良い。今年ナンバー1でしょう。
「Galaxy S24 Ultra」は、マイナーチェンジっぽいところもあるのですが、「AIスマートフォン」化を今年最初に行った端末であることを評価しました。世界初ではないものの、内蔵しているSペンを生かした生成AI機能が使えることなど、他社に先駆けて生成AI機能を形にしていました。
「AQUOS R9 pro」は、発表時にかなり衝撃を受けた1台でした。「シャープやればできるじゃん」と思いましたね。ひと皮剥けて、海外と同じレベルのものを作れている。実際、個人的にも初めてシャープ製スマートフォンを購入しました。もし、これを2年前に出せていたらシャープは変わっていたでしょうね。
ミッドレンジは、「Nothing Phone (2a) Special Edition」を挙げました。これまでの1と2は、能書を垂れすぎていて、お高くとまりすぎていた感がありましたが、今回の2aは手頃な価格に落ち着いて、日本向けにおサイフケータイ対応も図っているなど、ようやく肩の力が抜けたデザイン端末になった気がしました。Special Editionを挙げていますが、ハード的な違いはほぼないので、票を入れる際には、「Nothing Phone (2a)」としてまとめてもらって構いません。
そして、「nubia Flip 5G」は、フォルダブルの低価格モデルを世界に先駆けて日本市場に出してきたところに衝撃を受けました。本気で日本に折りたたみを出そうと考えたアグレッシブな1台だったと思います。
|
|
●石野氏:スマホの枠を超えた「Xiaomi 14 Ultra」 GalaxyはAIの日本語対応を評価
・推薦機種(ハイエンド)……Xiaomi 14 Ultra、iPhone 16、Galaxy S24・推薦機種(ミッドレンジ)……AQUOS sense9、Nothing Phone (2a)
今年はいい機種が多かったので絞り込むのが大変でした。推薦枠に限りがあるので、入れたかったけれど漏れてしまったものもあります。
ハイエンドのXiaomi 14 Ultraはスマートフォンの枠を超えて、カメラに片足を突っ込んでいるような機種でした。スマートフォンとして見ると使いづらい部分はありつつも、フォトグラフィーキットをつけると本当にデジタルカメラのような撮影ができるのが面白かったですね。同社としてライカブランドのカメラを日本で初めて出した端末でもありましたし、オープンマーケット向けのみとはいえ、「T」の付かないナンバリングを投入してきたことも評価したいところです。
ちなみに、同機は日本で発売されているスマートフォンの中で、唯一“絞り”をいじれるようになっていたことも本格志向でした。どうしても、カメラのセンサーが大型化してレンズのF値が低くなってくると、飯撮りとかするときに、手前だけにピントが合ってしまうことがあります。写真は光を切り取るものと考えると、こうしたフラグシップモデルが“絞り”を意識してきたことは、必然の流れでしょうね。
同じような意欲作としてAQUOS R9 proもありましたが、先に発売したXiaomi 14 Ultraと同系統ゆえに泣く泣く外しました。こちらも頑張ってはいたものの、もう一歩足りなかったですね。先ほどの“絞り”があって、ライカらしい写真が撮れるXiaomiに対して、シャープはライカの色味を全面に出すよりも、「ライカの協力でキレイになりました」という意味合いが強かったので、同じライカモデルでも方向性の差を感じました。
あと外せなかったのは「iPhone 16」です。肝心のApple Intelligenceは日本語未対応なので評価しづらいですが、その対応をするためにプロセッサやメモリが底上げされたのが重要。全体的に無印のiPhoneのバランスがよくなり、万人におすすめできる端末になりました。個人的にはProシリーズを買いましたが、やっぱり無印でもよかったかなと思うくらいです。新搭載の「カメラコントロール」にも賛否はありますが、先日のアップデートで半押しオートフォーカスに対応して、多少使いやすくなったと感じています。Apple Intelligenceも、恐らく3月くらいのアップデートで使えるようにはなると思うので、そうなると結構よくなるはず。今のうちにおすすめしておくべき端末だろうと思いました。
Galaxyについては、全部を代表して「Galaxy S24」を挙げたような感じです。筐体そのものは全然代わり映えしなかったのですが、とにかくGalaxy AIがすごかった。ちゃんと端末に組み込んで自然に使えただけでなく、いきなり日本語対応もしてきていました。もちろん荒い部分もありましたが、それでも日本語は来年というAppleや、日本語非対応機能を日本で紹介すらしないGoogleとかとは違って、ちゃんと対応させてきていたのがよかったですね。
ミッドレンジの「AQUOS sense9」は、候補を挙げるうえで最初に思いついた端末でした。本当にフルモデルチェンジしているくらいのイメージで、隙がなくなりました。賛否両論ある新デザインも、AQUOS senseにはフィットしているように感じます。デザインが変わったことで、基板配置もガラッと変わって、ステレオスピーカーを積めるようになったり、細かいところだとバイブレーションがハプティック(※触覚フィードバック)になっていたり、あの値段でハイエンドの風格すら漂わせてきたと感じます。一応、ライカブランドのカメラも備わっていて、コストパフォーマンスの高さで群を抜いていました。実際に数も去年より出ているようですし、文句なしの選定です。
Nothingは最初に日本上陸したときに、日本市場のことを本当に分かっているのかなという不安があり、どうなることやらと思っていましたが、今年になって体制をしっかり整えてきました。Nothing Phone (2a)では、日本向けにロットを分けておサイフケータイを搭載していて、かなり日本市場について真剣に考えていることが伝わってきた1台だったと思います。また「Phone (2a) Community Edition」として、ファンと一緒にバリエーションが展開されるのも、取り組みとして面白いなと評価しています。ミッドレンジだから背面のデザインをここまで省いてしまうのはどうかな、と思う部分もありましたが、頑張っているし値段も安いし、デザインも格好よくて無個性になりがちなミッドレンジモデルの中で個性が立っている。こちらも周りに勧めやすいミッドレンジになったのではないでしょうか。
●佐野氏:「moto g64y」のようなキャリア売りローエンドは希少な存在
・推薦機種(ハイエンド)……Galaxy Z Fold6、Xiaomi 14T Pro、AQUOS R9 pro・推薦機種(ミッドレンジ)……Libero Flip、moto g64y
2024年を振り返ると、やはり各社「AI」機能を打ち出してきていました。一方で、石野さんもおっしゃっていた通り、「AIを搭載しても日本語に対応していない」という新しいローカライズの問題が出てきた年でもありました。そういう視点で、日本語対応が遅れたiPhoneとPixelは外しました。その上で、割と最初からAI機能を日本でも対応させてきたものを入れるようにしています。
ハイエンドの1台目は、AI機能をいち早く搭載したGalaxyです。その中で「Galaxy Z Fold6」を挙げたのは、現在の生成AI技術が、ビジネスユースやクリエイティブで評価されているから。要はコンシューマー向けではないんですよね。いろんな会社がコンシューマー向けにAI機能を用意していますが、結局すぐ飽きるものが多い。こうした機能をビジネスユースで生かせる端末となるとFoldだろう、という理由でチョイスしています。
「Xiaomi 14T Pro」はバランスのいいハイエンドで、なおかつAI機能を、そこまで多くはないものの、比較的日本に対応させていた印象でした。カメラの出来も、ハイエンドのなかでは評価が高い方だと思います。
AQUOS R9 proは入れるかどうか悩みました。皆さんがおっしゃる通り、Xiaomi 14 Ultraと方向性が近くて、もちろん“カメラ”はいいのですが、どちらもそのカメラが大きすぎて“スマートフォン”として見たときのバランスは、正直どちらも悪い。“スマートフォン”・オブ・ザ・イヤーとして、これはいいのだろうかという部分が引っ掛かりました。とはいえどちらかを入れようと思い、カメラとしての使いやすさや、ローカライズがしっかりされている部分を評価して、AQUOS R9 proの方を選びました。
ミッドレンジには、キャリア売りのローエンドだったモトローラの「moto g64y」と、フォルダブルを安くしてきたことで印象的だった「Libero Flip」を挙げました。どちらもキャリアモデルです。やはり何だかんだキャリアの影響力は強いと思いますし、特に今年はソフトバンクがいろいろな端末を頑張って出していたので、スマートフォン・オブ・ザ・イヤーとして直接は評価できないですが、その端末は評価したいと考えました。
実は、本当は「Redmi 12 5G」(※2023年12月発売)と「らくらくスマートフォン F-53E」(※2025年1月下旬以降発売予定)も入れたかったのですが、発売日が2024年ではないので入れられませんでした。Redmi 12 5Gの理由は「ローエンド」であること。いまエントリーモデルを出すメーカーがすごく減ってしまっていて、ぽっかり空いた穴にうまくXiaomiが入ってきていることに注目しています。一方、らくらくスマートフォン F-53Eは環境を変えたくないシニア層の方をしっかり守って、高いコストをかけてでも、継続して同じものを作ってきた姿勢を評価しています。
●房野氏:「AQUOS sense9」はミッドなのに「iPhone 16」よりいいところも
・推薦機種(ハイエンド)……Galaxy S24 Ultra、motorola razr 50、Xiaomi 14T Pro・推薦機種(ミッドレンジ)……AQUOS sense9、Nothing Phone (2a)
ハイエンドの「Galaxy S24 Ultra」は、個人的にも購入した端末でした。進化幅はあまり感じなかったですが、使ってみるとハイエンドモデルとしての安定感があります。カメラ、Sペン共に使いやすいですね。私はAI機能を重視していませんが、皆さんがおっしゃっているように、スマートフォンにAI機能を先駆けて搭載したという点は評価できます。
「motorola razr 50」は、今年は縦折りのフォルダブルを入れたいと思って選んだ1台です。手に持ったときのコンパクトさや、畳んだまま操作できる楽しさ・手軽さがある。「motorola razr 50 Ultra」じゃないのは、並べてみたときにサブディスプレイの大きさもそこまで変わらなくて「50」でいいのではと思えるからですね。
先ほどから挙がっているXiaomi 14 Ultraはスマートフォンとして見たときに、頭が重くてバランスが悪いと感じます。個人的にはXiaomi 14T Proの方が一般的で扱いやすいと感じるので、こちらを選びました。
ミッドレンジのAQUOS sense9については、皆さんがおっしゃる通りですね。iPhone 16と同時期に使う機会があって、正直「あれ、iPhone 16よりAQUOS sense9の方がいいのでは?」と思うことが多々ありました。ディスプレイのリフレッシュレートは高いですし、画面もきれい。コストパフォーマンスの高さは圧倒的だと思います。
Nothing Phone (2a)も、スタートアップでほそぼそとやるのかと思いきや、日本市場向けにFeliCaに対応してきて、ミッドレンジながらも面白いモデル展開をしているのが、うれしかったですね。
●太田氏:多様なAI機能が模索される中で「Pixel 9 Pro」の「一緒に写る」は楽しかった
・推薦機種(ハイエンド)……Xiaomi 14 Ultra、Pixel 9 Pro、Galaxy S24 Ultra、motorola razr 50 ultra・推薦機種(ミッドレンジ)……AQUOS sense9
今年はやはり「AI」だろうと思い、それを基準に選んだのですが、Xiaomi 14 Ultraは、スマートフォンのカメラとして突き抜けていた1台だったので挙げました。絞りがいじれたり、フォトグラフィーキットを使ったり、と撮影が楽しかった。AQUOS R9 proとどちらを入れるか悩みましたが、Xiaomi 14 Ultraの方がライカブランドをうまく取り込んでいると思いました。
「Pixel 9 Pro」は、Pixel 9シリーズの代表として挙げました。例えば、AIを使った「一緒に写る」という機能があります。最初は「こんなの誰が使うんだろう」と思っていたのですが、実際に友達と旅行に行ったときにいろいろなところで撮りまくって、めちゃくちゃ楽しかった。後から編集するのではなくて、その場で合成してワッと盛り上がれるのがいいです。いろいろなAIの使い方が模索されている中で、面白い提案だったなと思います。また、この端末に限ったことではないですけれど、「Gemini Live」などの機能がいろんな端末に意外と早く展開されたことは評価しています。
同じ文脈で、Galaxy S24 Ultraを挙げました。こちらは通話そのものを翻訳できるのが新しく感じました。ZenFoneシリーズなど追従する機種も出てきましたね。こういうAI機能はGalaxyシリーズの多くの機種に共通しているので、最初はFlipでもいいかと思ったのですが、「かこって検索」機能をPixelシリーズ以外で先駆けて搭載していて、これを使うならSペンが使える方が相性がいいと思ったので、Galaxy S24 Ultraにしました。
そして、モトローラのrazrシリーズを1台入れたいと思い、最上位のmotorola razr 50 ultraを選びました。今年は縦折り型のスマートフォンを、若い人が使っている方を目にする機会が増えました。もちろん、それがGalaxyなのかmotorolaなのか一つ一つ確認できているわけではありませんが、「使っている人が増えた」と思えるくらいには、とがった存在ではなくなってきていて、普通の人が使えるくらいに市民権を得てきたのだなと感じています。
個人的に縦折り型のスマートフォンは、AI機能を使う上でポテンシャルを秘めていると思っていて、生成AIを使って友達と会話するようなアシスタント機能が拡充してきたときに、スマートフォンを小さく持ち運べるというのはすごく便利になるだろうと期待しています。その上で、決済やGeminiなどの利用を含めて、外側のディスプレイの自由度が高いモトローラの端末を評価しました。
ミッドレンジはAQUOS sense9を挙げました。今年はシャープがいろいろな取り組みをしていて、外部のデザイナーを入れてのシリーズのデザイン刷新を図ったり、「AQUOS R9」ではあえて1世代前のチップセットを搭載してコストを抑えたり、隠し球のAQUOS R9 proでは反対にコストをかけてカメラを作り込んできたり――。こうしたシリーズの中でユーザーの手元に届く端末として象徴的だったのが、AQUOS sense9だったと思います。
“コスパモンスター”で誰にでもおすすめできる。リフレッシュレートが上がってディスプレイも見やすくなりましたし、6色展開など所持する楽しさが上がったと思えました。ちなみに、台湾とシンガポールでも同時発売をしていて、日本国内だけでなく海外市場へも展開している端末として、スケールメリットが出てきたときに夢が広がるな、と期待しています。
●島氏:「らくらくスマートフォン Lite」は出てきただけで価値がある
・推薦機種(ハイエンド)……motorola razr 50 ultra、Xiaomi 14T Pro、Pixel 9 Pro XL、AQUOS R9・推薦機種(ミッドレンジ)……らくらくスマートフォン Lite MR01
ミッドレンジの「らくらくスマートフォン Lite MR01」から。スマートフォンが普及して10年ほどたち、高齢の利用者がマイナンバーカードや決済を利用するのはもちろん、初期からの利用者も年齢を重ねています。ただ、市場では安価かつ大画面のモデルが数多く投入されている一方で、使いやすさの面でボリュームゾーンに刺さっているのか疑問でした。
そんな中で、大画面・低価格 ・SIMフリーで「らくらくスマートフォン」の新モデルが出てきました。ホーム画面に、アプリ名が大きい文字かつ省略なしに表示されているだけで価値があります。また、以前から「らくらくコミュニティ」というWebコミュニティーが続いているのも、この時代になって改めて評価したいところです。こういった立ち位置のスマホやホーム画面については、国内メーカーやキャリアがもっとフォローして欲しいところ。Pixelの新しいシンプル設定も、ホーム画面のアプリ名の省略があり見づらいので。
シャープのAQUOS R9は、「今までのAQUOSは何?」と言いたくなるほど各機能が進化しました。カメラ・サウンド・充電がハイエンドとして評価できる仕上がりになり、 “ほどよくハイエンド”として魅力的なプロセッサ性能と価格を実現しました。AIを留守電だけでなく、通話の防犯にも活用する瞬発力にも驚かされました。
Xiaomi 14T ProはiPhone 16と迷って選びました。昨年(2023年)のXiaomi 13T Proの時点で機能がかなり充実していましたが、デザインや日本語AI対応やデザインを含めて順当に進化しています。あと、10万円台前半のハイエンドのカメラは望遠からマクロまでのうちどこかを割り切りつつも快適な撮影体験を実現できるのかが重要ですが、きれいに撮れる撮影倍率、撮影距離が広めで穴が少なく、落ち着いて撮りやすいのも好印象です。
フォルダブルは「欲しい」と思えるものがあまりなかったのですが、motorola razr 50 ultraは「コンパクトな形状から現れる大画面」「自撮りや記念写真を高画質に撮れる」という、折りたたみに期待している機能をしっかりと実現しています。特に大型のサブ画面と底面が滑りにくい素材を採用した点は、珍しいだけでなく実用性を考えた良い設計です。
Pixel 9 Pro XLは、性能に対してやや高額ですが挙げました。理由の1つは、今年各社のAIを活用する中で、Pixelの機能やGeminiを日常の検索から各種処理の解決まで広く利用する機会が多かった点。もう1つは、今年は旅をしながら複数の機種の写真に加えて動画も比較撮影することが多かったのですが、広い焦点距離、近年のスマホのAIによる盛りもありながら派手すぎず無難に撮れること、夜間の動画もクラウド処理を含めて当たりのカットが出やすかったのが印象的でした。2024年という観点だと標準サイズで光学5倍を搭載したPixel 9 Proを挙げたいところですが、撮るのも見るのも大画面で快適という好みでPixel 9 Pro XLにしています。
●村元氏:「Galaxy S24」は希少なコンパクト機として評価
・推薦機種(ハイエンド)……Pixel 9 Pro、Xiaomi 14 Ultra、Galaxy S24・推薦機種(ミッドレンジ)……AQUOS sense9、Nothing Phone (2a)
ハイエンドのPixel 9 Proは、これまでの無印か、大画面のProかという2択だった中で、今回は“無印サイズのPro”が出てきたことを評価しています。性能がよくてコンパクトな機種が欲しかった人は多かったと思いますから。
後は島さんと同じで、旅行に行くときのカメラとしてはPixel 9 Proが圧倒的によかったです。その理由は、カメラが記憶色に補正されるのですが、無理すぎなくて、ナチュラルなこと。例えば、旅行中に天気が悪くて、曇り空だったとしても、曇り空なりにきれいに撮れます。逆光も、水もきれいに撮れます。失敗がなくて、広角の美しさが圧倒的でした。カメラに関しては、Pixel史上一番レベルが高いところに到達したと感じます。GeminiやAI機能も使いやすい。ただし、値段が高かったですね。
Xiaomi 14 Ultraは、見たら買いたくなるインパクトがありました。実際に個人的にも購入しまして、19万9000円くらいしましたが、フォトグラフィーキットなども付いていて、買ったことを後悔しておらず、いまも使い続けています。広角から望遠まできれいに撮れますし、ライカの色使い、フィルターやスタイルの使い分けも楽しいです。ただし、電池が早くなくなったり、使わないのに立ち上がる「Mi Browser」が邪魔だったり、改善してほしい要素もいくつかありました。
ちなみに、最近発売された端末に「OPPO Find X8」もあって、Xiaomi 14 Ultraを外してこちらを入れようかとも悩みましたが、まだ使いこめていなくて、しっかり評価できていません。
Galaxy S24は、何よりコンパクトで高性能な端末だったことを評価しています。今年はXperiaシリーズも「5」を見送っていたので、貴重な選択肢でした。Galaxy S24はきっちり高性能で、サクサク動きますし、カメラもきれいです。また、Galaxy AIとして、いち早く翻訳や、要約、AIスケッチなどの機能も取り入れていて、Geminiも使える。端末に入っている機能だけでトレンドの生成AI機能を楽しめる点でも画期的だったと思いました。
ミッドレンジのAQUOS sense9は、大前提として薄さと軽さをキープしてくれているのがうれしい。カメラもディスプレイもきれいになっていて、個人的にはステレオスピーカーになったことも評価しています。欠点がなく、限りなくハイエンドに近いミッドレンジに仕上がったと感じています。
僕はNothing Phone (2)を持っているのですが、Nothing Phone (2a)は、4万円台で買えつつ、(2)と使い勝手がそこまで変わらない。廉価版なのに結構使えました。おサイフケータイが入ったことも評価しています。日本語のドットフォントを導入していたり、ファンの声を生かしてSpecial Edition、Community Editionを展開していたりと盛り上がっている様子も楽しそうなので、今後にも期待しています。
●ITmedia Mobile編集部:進化の幅が大きかったiPhone 16、新機軸のPixel 9 Pro
・推薦機種(ハイエンド)……iPhone 16、Pixel 9 Pro、motorola razr 50、Xiaomi 14T Pro・推薦機種(ミッドレンジ)……AQUOS sense9
編集部では、メディアとして記事がどれだけ読まれたか、読者の関心などを踏まえて評価をしました。2024年に記事が一番読まれていた機種はiPhone 16シリーズで、スマホの販売ランキングを見ても、15〜16シリーズが席巻しているような状況です。その中でスタンダードなiPhone 16を選んだのは、プロセッサが「iPhone 15」のA16 BionicからA18にジャンプアップしたことをはじめ、先代との差分が大きかったからです。ソフトバンクが1年で36円など攻めた価格を出していたように、売るための施策が充実していたことも特徴でした。こうした理由で、一般の方に勧めやすい端末だと感じます。
Pixel 9シリーズの記事も多く読まれました。4モデルあるなかでPixel 9 Proを選んだのは、無印と同サイズに小型化した上で、ハイエンドの機能を凝縮してきたことで、例年にはないトレンドが生まれました。選択肢としてハイエンド=大型だけではないことを示したところを評価しました。
フォルダブルでどれを入れるか悩み、モトローラのmotorola razr 50を入れました。2024年は同社の動きが活発でしたし、発表会でもシェアが2〜3倍に増えたことを公言されていました。一般の人でも手に取れるようになる“折りたたみの民主化”があった中で、象徴的な機種だったと思います。「motorola razr 50s」やmotorola razr 50 ultraなどのバリエーションもありますが、ソフトバンク版はメモリが少なかったり、ultraは価格が高かったりするので、今回はバランスのいい無印のrazr 50を挙げました。
Xiaomi 14T Proについては、Xiaomi 14 Ultraと迷いつつ、スマートフォンとしてのバランスを見て、こちらにしています。おサイフケータイも備えていて、キャリアの販路もある。そして、急速充電にも対応しているという堅実な部分を評価しています。
ミッドレンジにはAQUOS sense9を挙げました。上位のRシリーズのエッセンスを絶妙に融合させて、しっくりハマったかなと思います。カメラ、ディスプレイ、スピーカーなどが改良されていて、AI機能も一部対応しています。イヤフォンジャックがなくなっていますが、こうした引き算もうまかったですね。
また、ITmedia Mobileではドコモの販売ランキングの記事を毎週載せているのですが、9月からずっとiPhoneが首位だったところ、唯一それを引きずりおろしたのがAQUOS sense9でした。販路も先代のAQUOS sense8だとソフトバンクが扱っていませんでしたが、2024年は4キャリアが扱い、MVNOも含めて非常に販路が広がっていることも、人気を裏付けていると加味しました。
●ハイエンド部門とミッドレンジ部門で各5機種がノミネート
審査員が選んだ5機種を集計し、ハイエンド部門とミッドレンジ部門の上位5機種をノミネート機種として選出しました。
ハイエンド部門
・1位……Xiaomi 14 Ultra(5票)
・2位……Xiaomi 14T Pro(4票)
・3位……AQUOS R9 pro(3票)
・3位……Pixel 9 Pro(3票)
・3位……Galaxy S24 Ultra(3票)
ハイエンド部門は1位にXiaomi 14 Ultra、2位にXiaomi 14T Proがランクイン。以降は3票ずつ獲得したAQUOS R9 pro、Pixel 9 Pro、Galaxy S24 Ultraが並びました。
ミッドレンジ部門
・1位……AQUOS sense9(6票)
・2位……Nothing Phone (2a)/Nothing Phone(2a)Special Edition(4票)
・3位……Libero Flip/nubia Flip 5G(2票)
・3位……らくらくスマートフォン Lite MR01(2票)
・4位……Xiaomi 14T(1票)
ミッドレンジ部門は、1位がAQUOS sense9、2位がNothing Phone (2a)/Nothing Phone(2a)Special Edition、3位にLibero Flip/nubia Flip 5Gと、らくらくスマートフォン Lite MR01がランクインしました。5つ目の機種になる4位には、1票ずつ獲得したXiaomi 14Tとmoto g64yから決選投票を行い、Xiaomi 14Tが選ばれました。
この後、各部門で審査員が配点をした上で、ナンバーワン機種が決まります。果たして、各部門のノミネート機種5つの中から栄冠を手にする機種はどれか? 結果は12月中に掲載予定の次回レポートをお待ちください。
|
|
|
|
Copyright(C) 2024 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。