米OpenAIは12月27日(現地時間)、現在の非営利団体と営利企業という構造を見直し、進化させていくと発表した。AGIの利益を全人類に届けるという使命を達成するためという。
AGI実現のためにはさらなる資金調達が必要なため、現行の営利企業をデラウェア州公益法人(PBC)に転換する計画だ。
同社は2015年、AGI実現を目指して研究機関として設立された。当初はAGI開発のためにこれほどの計算能力が必要だとは想定していなかった。
だがやがて、LLMの大規模化がAGIへの有望な道であることが明らかになり、そのためには寄付以上の資本が必要になった。そのため、2019年に研究機関から現在の体制である、非営利団体が管理する営利企業という独自構造に再編した。
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この体制で、10月には66億ドル調達したが、より多くの投資家から資金を調達するためには、株式を発行できる組織構造に移行する必要があるという。
そこで、営利企業をPBCに転換する。PBCとは、株主価値の最大化に加えて、社会的な利益も考慮することを法律で定められた企業形態。OpenAIと競合する米Anthropicや、イーロン・マスク氏のAI企業xAIもPBCだ。
これにより、「競合他社と同様に従来の条件で必要な資本を調達できるようになる」。非営利部門はPBCの株式を取得することで、より持続可能なものになるという。また、非営利部門は、医療、教育、科学などの分野で慈善活動を行うためのリーダーシップチームとスタッフを雇用することになるとしている。
現行の体制では、非営利部門の理事会(Board of Directors)がOpenAI全体の意思決定権を持っているが、新体制ではPBCがOpenAIの事業と経営を直接管理することになる。つまり、再編後はOpenAIの事業運営に関する意思決定権はPBCの取締役会に移行することになる。
OpenAIの発表を受けて、2018年からOpenAIのポリシーや安全性に取り組み、この10月に退社したマイルズ・ブランデージ氏はXへのポストで、この移行計画に深刻な懸念を抱いていると語った。発表文にはAGIに関するポリシーと安全性についての言及がない。
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OpenAIの共同創業者であるマスク氏は、OpenAIが当初の慈善事業の使命を放棄したとして、同社の営利企業への移行を差し止める仮差し止め命令を申し立てている。米MetaもOpenAIの営利組織への転換計画の阻止を求めている。
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