『鬼滅』『【推しの子】』だけじゃない! 激動の2024年アニメで話題をさらった傑作

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2024年12月28日 09:10  クランクイン!

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アニメ『チ。 ―地球の運動について―』ビジュアル (C)魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について―製作委員会
 2024年も300作品を超えるアニメが放送。放送前に注目される期待作、放送開始後に人気を博すダークホース、残念ながら話題に上らなかったものまで、さまざまな作品が世に贈り出された。そんな2024年のアニメシーンは『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』『【推しの子】』第2期など本命と目される人気作や、それらを脅かす傑作が続々と登場。市場規模の拡大に伴い年々激化するアニメ戦線、果たして2024年はどの作品がアニメ界を覇権したのか、業界の動向と併せて振り返る。

【写真】『ダンダダン』号泣必至の“アクさら回”

<激化するアニメ戦線 2024年のアニメを総振り返り>

■魔物なんて食べたくなるの? 『ダンジョン飯』国内外でヒット

 1月期は、人気シリーズの続編として『キングダム』第5シリーズ、『青の祓魔師 島根啓明結社篇』、『うる星やつら』第2期がスタート。また『異修羅』『姫様“拷問”の時間です』など放送開始後にファンを増やす作品も登場した。

 なかでも連続2クール放送された『ダンジョン飯』の評価が高い。スライム、ミミック、クラーケンの巨大寄生虫、ドラゴンなど、異世界の魔物が食材なのになぜか食べたくなる料理が登場する本作は、ピカタ、エッグベネディクト、バロット、ダンプリングなど海外にゆかりのある料理も多く、国外でも多くのファンを獲得。「お前ら今回は何をたべるの?」と、本編のお供に各々が好きな料理を作る文化も生まれた。

■不安視するファンに最高のサプライズ 『鬼滅の刃』柱稽古編スタート

 4月期は全世界が待ち望む『鬼滅の刃』新シリーズ「柱稽古編」がスタートし、第1話の冒頭から7分超のアニメオリジナルシーンを描いた。その後も、柱同士の稽古や豪華声優陣を起用した鬼殺隊士のやりとりなど、原作の数コマを30分かけて表現することも。「柱稽古編」は原作のエピソードが短く戦闘シーンも少ないためどう見せるのか懸念されていたが、原作を補完するような怒涛のアニオリで毎話視聴者を驚かせた。

 このほか『僕のヒーローアカデミア』第7期、『無職転生II 〜異世界行ったら本気だす〜』第2クール、『響け!ユーフォニアム3』、『黒執事 寄宿学校編』など人気シリーズが集結。さらに『ザ・ファブル』『怪獣8号』『終末トレインどこへいく?』『烏は主を選ばない』『戦隊大失格』『変人のサラダボウル』など高評価を得た新作も多く、豊作期となった。

■シャフト演出の真骨頂 『〈物語〉シリーズ』根強い人気

 7月期は、芸能界の表と裏に切り込むヒット作『【推しの子】』の第2期が放送。エピソード12(第2期1話)で登場した鮫島アビ子が起こす騒動を起点に、母親アイと自身の死の真相を追うアクアたちを描きながら仕事の在りようやキャラクターの心情を緻密に表現した。同じく7月期の注目作『〈物語〉シリーズ オフ&モンスターシーズン』は、『魔法少女まどか☆マギカ』『Dr.スランプ』など他作品のオマージュをちりばめながら、シリーズ特有の言葉遊びや情報の濁流に視聴者を巻き込んでいった。

 このほか、『逃げ上手の若君』も個性豊かなキャラクターと劇的な展開を緻密な作画で描き、人気を博した。「キン肉星王位争奪編」から約30年ぶりの続編となる『キン肉マン 完璧超人始祖編』、1970年代に放送された永井豪原作のテレビアニメ『UFOロボ グレンダイザー』をリブートした『グレンダイザーU』など、往年の有名作品もアニメ化された。

■ジャイアントキリングなるか 『ダンダダン』圧倒的勢い

 10月期は『ドラゴンボールDAIMA』『シャングリラ・フロンティア 2nd season』など、放送前に人気シリーズの続編や新作が期待されるシーズンに。また『らんま1/2』は、再アニメ化が発表された際に原作の過激な表現をどこまで再現できるのか注目された。しかし放送開始後にそれら期待作を脅かす存在としてファンの心を掴んだのが、初のアニメ化作品『チ。―地球の運動について―』と『ダンダダン』の2作品。

 『チ。』は、『パプリカ』『ワンパンマン』『葬送のフリーレン』などを手掛けたマッドハウスが制作を担当。思想弾圧が激しい中世を舞台に“信念と命を懸けた地動説の証明”を描く本作では、登場人物の拷問や死など過激なシーンや細かな伏線が多く、視聴に脳と心の準備を要する。それでも真理の探究者たちが文字通り命を投げ出し、死後に信じる天国すら放棄して“知る感動”を守る姿は美しく、視聴のハードルを軽々と飛び越えてくる圧倒的な吸引力で覇権アニメと推す声も多い。

 対する『ダンダダン』は、宇宙人を信じる男子高生が、霊媒師の孫にあたる女子高生とともに妖怪に奪われた“金玉”を取り返す破天荒なストーリーを展開。第1話から下ネタ満載だが、有無を言わさぬ笑いの渦にアニメファンを巻き込んでいった。しかしコメディ一色ではなく、第7話に登場した怪異“アクロバティックさらさら(通称アクさら)”の過去回想では残酷な運命を辿る親子の愛情を描き、それまでの印象を覆すことに。腕に刺さっていたガラス片など丁寧な伏線描写も視聴者の涙を誘った。10月期という時期的な影響もあるが、2024年の全作品を喰いかねないほどの作品のパワーと勢いを見せた本作、すでに第2期の制作も決定している。

<最新トレンドから旧作復活まで 2024年アニメ界の動向>

■SNSで大バズリ “真似できる”OP&ED増加

 テレビアニメのオープニングとエンディングは、SNSで“バズる”作品が年々増加。1月期は『マッシュル‐MASHLE‐ 神覚者候補選抜試験編』、7月期は『しかのこのこのここしたんたん』『異世界スーサイド・スクワッド』、10月期は『ダンダダン』など、真似したくなる音楽と映像でSNSをメインに作品を訴求する流れが定着しつつある。映像のトレンドは“人間離れしたカッコいい動き”ではなく、“再現できるキャッチ―な動き”を意識したキャラクターモーションが増えており、ダンス経験がなくても真似しようという気になれるのが大きな特徴。

 特に『マッシュル‐MASHLE‐』第2期は、SNSでこぞって拡散されたオープニングが大きな話題を呼んだ。TikTokなどで“BBBBダンス”としてCreepy Nutsの主題歌「Bling‐Bang‐Bang‐Born」のサビの動きを再現するユーザーが非常に多く、YouTubeで公開されたノンクレジットオープニング映像は本記事公開時点で2億9000万PVを記録している。また、『しかのこのこのここしたんたん』はオープニング「シカ色デイズ」がSNSで拡散され、YouTubeで公開されたノンクレジットオープニング映像は放送開始から約1週間後に1000万PVを突破。

 『ダンダダン』もオープニング映像ではないが、『マッシュル』と同様オープニング楽曲を担当したCreepy Nutsの「オトノケ」に合わせてふらふらと歩く作中の綾瀬桃のモーションを真似する投稿が多い。ウルトラマンをオマージュしたようなオープニング映像もサイエンスSARUらしいお洒落な仕上がりになっている。また『チ。―地球の運動について―』はオープニングをサカナクション、エンディングをヨルシカが担当。SNSで拡散されるタイプではないが、どちらも映像と楽曲の調和が美しい。

■往年の名作再び キャスティングに驚きの声も

 2024年は往年の名作が再アニメ化される動きも活発に。1月期は、すでに1期が放送された『うる星やつら』の第2期、7月期は『キン肉マン 完璧超人始祖編』、10月期は『らんま1/2』が放送。

 再アニメ化でファンが気になるのは声優起用だが、『キン肉マン』ではキン肉スグル役に宮野真守を抜擢。かつてのスグル役・神谷明を父親のキン肉真弓役に起用するなど大胆なキャスティングでファンを驚かせた。また初回放送となる第0話では宮野真守が歌唱する「キン肉マン Go Fight!」もお披露目された。

 対して『らんま1/2』は、らんま役を山口勝平、林原めぐみが再出演。1989年版と同じく二人一役で主人公・らんま役を演じた。このほか天道三姉妹役の日高のり子(※高の正式表記は「はしごだか」)、高山みなみ、井上喜久子、シャンプー役の佐久間レイ、響良牙/呪泉郷ガイド役の山寺宏一も1989年版からの続投となる。

 2025年も、『キャッツ・アイ』『魔神創造伝ワタル』『真・侍伝 YAIBA』『地獄先生ぬ〜べ〜』『アン・シャーリー』と、往年のファンが注目する作品が控えている。

<訃報相次ぐ ファンに愛された声優たち>

■ドラえもん、まる子、不二子にムスカまで… 愛されキャラに命を吹き込んだ名優

 2024年は、声優の訃報も相次いだ。長年ドラえもん役を務めた大山のぶ代さん、のび太やドロンジョなど幅広い役柄で活躍した小原乃梨子さん、まる子役のTARAKOさん、砂かけ婆でおなじみの堀絢子さん、峰不二子だけでなく初代如月ハニーやバカボンのママ、パー子など数々の有名キャラを演じた増山江威子さん。また、ニコール・キッドマン、ジェニファー・ロペスなどの吹き替えや『攻殻機動隊』草薙素子役で知られる田中敦子さんは、訃報から約3ヵ月後にゲーム『モンスターストライク』新キャラのCV担当が発表され、ファンを驚かせた。

 さらに寺田農さん(ムスカ役ほか)三輪勝恵さん(あさり役ほか)、松野太紀さん(金田一一役/スポンジボブ役ほか)、篠原恵美さん(うずまきクシナ役/木野まこと役ほか)、山本圭子さん(バカボン役/花沢花子役ほか)、梅津秀行さん(青田龍彦役ほか)など、ファンに愛されるキャラクターに命を吹き込んだ名優たちがこの世を去った。

 日本の一大コンテンツとして、現在もファンとともに進化を続けるアニメ業界。2023年に3000億円を突破してなお拡大を続けるアニメ制作市場とファンの増加に呼応するように、高品質な作品、そして話題を集めるアニメ関連のニュースも増えている。ますますアニメ制作の引き合いが強まると予想される2025年も豊作に期待したい。(文:二タ子)

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  • 魔王2099は面白いと思ったが、魔王様、リトライは作画崩壊どころの話ではなかったな。そんな訳で「きのこいぬ」が面白かった
    • イイネ!5
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