「新幹線のお医者さん」とも呼ばれるドクターイエロー(新幹線電気軌道総合試験車)。高速で走りながら線路や架線の状態をチェックしており、安全な運行と快適な乗り心地を維持するために欠かせない存在だ。
2001年から東海道・山陽新幹線の検測走行を続けてきたJR東海所属のドクターイエロー(T4編成)は、老朽化のため、2025年1月をもって引退する予定だ。(本記事は『東海道新幹線60周年 新幹線のまちがいさがし』の一部を再編集してお送りする)
◆1964年に初代ドクターイエローが運行開始
約10日に1回のペースで走っているが、いつ走行するかがわからないことから「幸せの黄色い新幹線」とも言われているドクターイエロー。
初代・T1が電力関係の検測のために運行開始したのは、新幹線の創業と同じ1964年。1974年から2代目・T2が登場し、1979年には3代目・T3がJR西日本に登場した。その後、700系をベースとした4代目・T4が、2001年からJR東海区間を、2005年からJR西日本区間を走っている。
◆各車両ごとに重要な役割がある
ドクターイエローは7両編成で、それぞれの車両に役割がある。1号車は無線機器のチェック、2号車は電気設備の測定機、3号車と5号車では架線のチェック、4号車では計測データの収集と確認、6号車は資材置き場になっている。7号車には客席があり、特別な場合だけ人を乗せることがある。
今回、老朽化により運転終了が発表されたドクターイエロー(T4編成)だが、JR東海の資料館「リニア・鉄道館」で車両の一部を保存・展示することが決定した。また、JR西日本所属のドクターイエローも2027年以降を目処に引退予定。現在ドクターイエローで行っている検査は、2027年からN700Sの車両に導入される営業車検測機能により代替される予定だ。
◆クリスマスイブに幸せを届けた
引退までおよそ1か月。年内最後の検測はクリスマスイブの12月24日に行われ、“幸せの黄色い新幹線”が見た人達に幸せと笑顔を届けた。次の運行は2025年となる。
<文/日刊SPA!編集部>