第103回全国高校サッカー選手権大会・1回戦が28日に行われ、帝京(東京B)と京都橘(京都)が対戦した。
“冬の風物詩”が、今年も幕を開けた。15年ぶりに帰ってきた帝京は、戦後最多タイとなる6度の大会優勝を誇る他、中田浩二氏や礒貝洋光氏、稲垣祥(現:名古屋グランパス)ら数多のプロ選手を輩出するなど、言わずと知れた高校サッカー界における名門だ。現チームには、U−18日本代表CB田所莉旺やFW森田晃を始めとする実力者が揃い、今夏に行われたインターハイにも出場。復活を期する“カナリア軍団”は、再び空へと羽ばたくのだろうか。
対する京都橘は、2年連続11回目の出場に。仙頭啓矢(現:FC町田ゼルビア)や小屋松知哉(現:柏レイソル)らを擁した第91回大会では、準優勝を収めた同府有数の強豪校だ。予選5試合をわずか2失点で勝ち上がってきた主将DF宮地陸翔を中心とした守備に注目が集まる。
試合は5分、帝京が最初のチャンスで得た左コーナーキックから先制点を挙げる。MF堀江真広のインスイングのボールに対して、DFラビーニ未蘭が打点の高いヘディングシュートでゴールネットを揺らした。
その後は、1点を追いかける京都橘がDF増井那月とMF谷田伎倖杜の右サイドから攻撃を仕掛け、帝京はボールを回しながら相手ゴールに迫っていく。が、球際での激しい攻防、両チームの守護神の好守もあり、帝京が1点リードしたまま前半を折り返した。
迎えた後半、京都橘が立ち上がりに仕掛けた。まずはスローインで、ロングスローに見せかけたモーションから手前に投げ入れると、このチャンスから左コーナーキックへ。獲得したコーナーキックではショートコーナーで意表を突き、最後のヘディングシュートはオフサイドになったものの、2つの“セットプレー”から帝京を翻弄した。
さらに京都橘は攻勢を強める。66分には、FW伊藤湊太が個人技から単独でフィニッシュに持ち込むなど得点の匂いを予感させるが、相手GK大橋藍の牙城を崩せず。時計の針は進むばかりでこのまま敗退…かと思われた中で、ショートコーナーからMF桐原惺琉が頭で叩き込んで試合を振り出し戻した。
しかしドラマは続く。すぐに切り替えた帝京は相手バイタルエリア付近の混戦から、最後はFW宮本周征が冷静に沈めて、再びリードを奪ったのだ。
そして試合はこのまま2−1でタイムアップ。4大会連続となる国立競技場でのオープニングマッチを制したのは帝京。31日に行われる2回戦では、鹿児島城西(鹿児島)と金沢学院大附(石川)の勝者と激突する。
【スコア】
帝京 2−1 京都橘
【得点者】
1−0 5分 ラビーニ未蘭(帝京)
1−1 73分 桐原惺琉(京都橘)
2−1 75分 宮本周征(帝京)