■体操男子ナショナルチーム強化合宿(28日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンター)
【写真を見る】“失敗しない男”萱和磨、体操人生初の1年間ノーミス「置きに行きたくない」「ロス五輪連覇が目標」
4年後のロサンゼルスオリンピック™へ向けた体操男子ナショナルチームの合宿が行われた。今回はパリ五輪で3冠を達成した岡慎之助(21、徳洲会体操クラブ)を始めとする金メダルメンバーを含む15人の選手が参加。来年実施されるルール改正に伴い、それぞれが新しい演技構成に挑戦していた一方、この日は終始、選手の笑顔が絶えなかったのが印象的だった。合宿最終日に楽しんで練習していたという岡も「もう1週間くらい(合宿に)いたい」と笑顔で語った。
パリ五輪でキャプテンを務めた萱和磨(28、セントラルスポーツ)は2024年を「自分の人生が変わった1年だった。(パリ)五輪が終わっていろんなメディアに出させてもらって、今まで自分がしたことのない経験をさせていただいたり、本当に刺激的な日々を送らせていただいていた」と振り返った。一番印象的だったことは「EXILEがすごく好きなのでHIROさんに会えたこと」と、小さい頃からずっと聞いているという有名アーティストに会えたことを挙げた。
“失敗しない男”いう愛称でも話題をさらった萱は、今季42種目に挑み、落下やラインオーバーなどの減点が一度もなし。体操人生20年で初めて一度も失敗をしなかったという。成し遂げた要因について「1つの技にも複数の技術がある、やり方もAパターン、Bパターン、Cパターンとある。逆に選択肢がなさすぎると、同じやり方しかできないと環境が変わった時に失敗してしまう」と、1つの技でもたくさんのバリエーションを意識して練習していることを挙げた。「勢いで(体操を)やっているという感覚はない。(周りから)どうやってできたの?と聞かれた時に言語化できるように普段からしている。失敗した時も言葉で伝えられるように意識している」と、練習から完成度を上げるよう努力していることが、この大記録につながったと話した。
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今年一番失敗しそうだった場面に、5月に行われた代表選考会・NHK杯1日目の鉄棒を挙げた。「(E難度の)コールマン(後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり)が近づきすぎて危なかった」という。その出来事も踏まえて、2日目にはコールマンを抜く考えもあったというが「今までやってきたことを信じて、もう一度コールマンの技術を整理して、ずっとAパターンで行っていたのをBパターンで行って2日目やったら、完璧なコールマンができて代表に入ることができた」と失敗の可能性を乗り越えたことが、パリ五輪に向けての大きな自信になったと言う。
4年後のロサンゼルス五輪、31歳で3度目となる大舞台を目指す萱。今持っている最大の武器について「次のルールになる時に失敗をしないということは非常に効いてくる。ルール上失敗をしないことがより求められている。自分の強みを活かして戦いたい。夢を叶えたからと言って置きに行きたくない。ロス五輪で連覇をすることが次の目標」と、次なる夢に向けた思いを力強く語った。