【北京時事】中国は2025年、景気てこ入れを強化する方針だ。金融緩和を一段と進めるほか、財政出動も拡大する。政策の「総動員」(共産党関係者)により、内需の冷え込みやトランプ次期米政権の対中関税引き上げといった「内外のリスク」に備える構え。
共産党と政府は24年12月、25年の経済運営方針を討議する中央経済工作会議で、金融政策を「適度に緩和的」、財政政策を「より積極的」とする方針を打ち出した。従来はそれぞれ「穏健」「積極的」としていたが、リーマン・ショック直後の08年末に開かれた会議以来、16年ぶりにより拡張的に改めた。短期政策金利の引き下げや基礎年金の拡充が柱になる見通し。
25年3月の全国人民代表大会(全人代)で明らかになる同年の経済成長率目標は3年連続で「5%前後」に据え置かれそうだ。共産党機関紙の人民日報は「中国の発展にはスピードが必要だ」と訴えた。人口減が進む中、潜在成長率は年々下がっているものの、消費者心理をこれ以上冷え込ませないようにするため、あえて強気の目標を掲げるとみられる。
英調査会社オックスフォード・エコノミクスは、全人代では国内総生産(GDP)の2%規模の追加景気刺激策が打ち出されると予想。経済の底上げには「より先を見据えた財政政策が必要だ」と分析した。
トランプ次期米大統領は中国製品に60%の追加関税を上乗せすると主張している。スイス金融大手UBSは実際に関税が課された場合、中国の成長率が2.5ポイント押し下げられるとの試算を公表。景気対策を講じれば、マイナス幅を1ポイントほど抑えられるとするが、それでも影響は深刻だ。市場では、当局が米側の出方を見極めた上で財政出動の規模を決めようとしているとの見方も出ている。