【ワシントン時事】米シンクタンク、ブルッキングス研究所のシニアフェロー、ウィリアム・ゲール氏はインタビューに応じた。トランプ次期大統領が目指す大規模減税について、共和党は上院で辛うじて過半数を占めるにすぎず、法案の議会通過では「財政調整措置」に頼らざるを得ないことから、短期的な減税にとどまるとの見通しを明らかにした。
ゲール氏は、米国内で製品を生産する企業を対象とした法人減税や、チップの非課税化など、トランプ氏が大統領選で訴えたさまざまな減税策は「仕組みが不明だ」と指摘。次期政権と共和党は2025年末に失効する大型所得減税の延長も目指しており、減税策は「取捨選択する必要がある」と述べた。
税制を変更するには議会で法案を通す必要がある。財政調整措置を使えば、共和党は上院で法案を単独で可決できるものの、長期的に財政赤字を増やせないルールだ。このためゲール氏は「大規模減税は一時的な措置になる。大型所得減税の延長は恐らく2年にとどまる」と予想した。
次期政権では、実業家イーロン・マスク氏率いる新組織「政府効率化省」が行政の無駄を省き、歳出削減を狙う。ただ、ゲール氏は「歳出削減は議会(での法制化)を通じて行う必要がある」と語り、削減は簡単ではないとの見方を示した。