自衛官が本気でサバゲーしたら…自衛隊員50人VSサバゲー愛好家100人 勝者はどっちだ?

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2025年01月01日 15:40  まいどなニュース

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1日の最後、賞品をかけたじゃんけん大会で締めくくり。この日一番の賞品をゲットして満面の笑顔(掲載に関してご本人の許可を取っています)

最近メジャーになってきた「サバゲー」。もしも「本職」と戦ったらどうなのか、やはりめちゃくちゃ強いのか。そんな誰もが抱きがちな疑問を解き明かす「現役自衛官50人VS一般人100人」というイベントが、大阪府南部の「グランドゼロ大阪」というフィールドで行われました。その模様をお伝えします。

【写真】フラッグと呼ばれる箱。敵陣地のフラッグにたどりつき箱の中のホイッスルを吹くと試合終了です

サバゲー、そしてエアソフトガンとは?

大人の趣味として最近静かなブームになっているサバイバルゲーム、通称サバゲー。エアソフトガンを使って、野山を駆け巡りながら試合をするアウトドア(インドアのフィールドもありますが)レジャーです。

エアソフトガンとは、直径6mm(一部に8mmのものもあります)のプラスチック製の球、いわゆるBB弾をバネやガスの力で撃ち出す玩具で、「人にほとんど傷害を与えない威力」(6mmの場合には0.98ジュール以下、例えば重さ0.2グラムのBB弾の場合、弾の初速が秒速99メートル以下)に規制されています。なお、BB弾はプラスチックですが、自然環境下で分解されて土に還る生分解性のバイオ弾というものもあり、今回のフィールドではそれの使用が義務づけられています。

実際の戦争が行われている世の中で不謹慎ではないか、という意見もあるのは承知していますが、安全に対して万全の注意を払った上でのあくまで常識や良識のある大人の嗜み、としてのサバイバルゲームという趣味を、記事として今回取り上げています。

激戦地の砦で体験する、初めてのサバゲー

今回のゲームは、二手に分かれて戦うフラッグ戦。各陣地の一番奥にあるフラッグと呼ばれる箱を開けて、中にあるホイッスルを鳴らせば勝ちというルールです。フィールド全体は細長い窪地で、真ん中の一番低いところに舗装された歩道があります。中央部に「砦」があり、そこの3階部分に進行役のゲームマスターが居て、「あと20分です」とか、ハンドマイクでゲーム全体の指示をします。またこの砦は競技者は立入禁止ですが、砦の陰に隠れたりするのはOKです。

筆者はこの砦の2階にある張り出し部分から撮影をしていましたが、何せ「激戦地」のど真ん中なので流れ弾がいっぱい飛んできます。

BB弾は30メートルくらい、ほぼ真っ直ぐに飛びます。秒速99メートルは時速350キロ以上、目で見て避けられる速さではありませんが、立木などの暗めの緑を背景に、右へ左へ白いBB弾がレーザー光線のように飛び交う様が線になって見えます。厚手の上着にヘルメットを着用しているので、離れた距離からの流れ弾は「おっ、当たった」程度で痛くはないのですが、どこから飛んできたかわからない弾に当たり続けるうち「これがもし実弾だったら……」なんて、ふと感じました。そもそも砦のこんな薄い板では絶対に防げませんしね。

やはり自衛隊、動きが違います

フィールドの戦いを見ていて感じたのは、やはり自衛隊の動きです。とにかく速いです。例えばちょっとした窪地に入り込んで伏せるというような動作に全く躊躇がありません。普通だと「しゃがむ、(虫とか犬の糞とかないか)地面の様子を見る、伏せる」という感じですが、彼らはひと動作です。さらにそこからシームレスに匍匐(ほふく)に入ったりします。それと、仲間との連携。ハンドサインで速やかに意思を疎通しています。銃の撃ち方も違います。一般人は連射の速い銃で「ズバーーーー」と、ほとんど連続音に聞こえるような速さで弾をばらまきますが、自衛隊員はしっかり狙って単発や「ダダダッ、ダダダッ」と3発ずつ(三点バーストといいます)の射撃です。

そしてゲームセットと共に、「一体どこにこんな人数が……」っていう感じで物陰からワラワラと現れてきます。ほとんど「むっしっしーむっしっしー♪」のCMでタンスからいっぱい出てくるように。一応端まで目視できる程度のこの窪地に、これだけの人数が潜んでいても素人には発見できない、ということですね。

ただ、今回は「現役自衛官50人」とはいえ、実際にこういった戦闘訓練をする陸上自衛隊の普通科の皆様ばかりではなく、航空自衛隊や陸上の他の部署の参加も多かったようです。加えて、一般人とはいいながらサバゲーに慣れた100人(実は自衛隊OBも)、かなりいい勝負でした。午前中に4ゲーム、午後から45分の長時間バージョンで2ゲームしましたが結局双方ともフラッグを取ることはできず、ラスト延長15分でも決着付かずで引き分けに終わりました。

自衛隊の人にラッパを持参された方がいらっしゃいましたが、終了1分あまり前に突撃ラッパ、また最後のゲームのあとには、むかし筆者も総合火力演習で聞いたあの「状況終了」のメロディを吹奏されていたのが印象的でした。

戦いが終わって、お話を聞いてみました

休憩時間などに自衛隊の方に伺ってみましたが、「やっぱり倍の人数は無理っす、勝てません!」との声が。一方、一般人チームの方からは「やっぱり自衛隊は動きが洗練されてて無駄がないです。それと、初弾からきっちり当てに来ますよね。僕らみたいにやたらに『当たれー!』って連射しない」。

この辺り、リアルな感想のようです。

例えば竹光のチャンバラと真剣の斬り合いでは動きが違う、あんな派手な動きはリスクが高くてできない、なんていう話を聞いたことがあります。当然、実戦とサバゲーでは動き方もセオリーも全く違うでしょうし、本職とマニアの差もあまり大きく現れないということもあるでしょう。それらを踏まえた上で、やはり自衛隊はすごいなあと感じました。

本日の取材に快くご協力いただいた自衛隊の皆さん、一般人の皆さん、そしてグランドゼロ大阪の皆さん、どうもありがとうございました。

(まいどなニュース特約・小嶋 あきら)

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