一口で「何だこれは」 京都の町家で醸造された蜂蜜酒が話題

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2025年01月01日 17:10  まいどなニュース

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京都産蜂蜜だけを使った「The MEAD京都」(京都市中京区・京都蜂蜜酒醸造所)

 京都御所に近い京都市中心部で醸造された「蜂蜜酒」が、販売されている。すっきりとした甘さと蜂蜜の風味が特徴だ。世界最古の酒といわれる蜂蜜酒だが、国内の醸造所は珍しく京都では唯一の存在。なぜ、京都の真ん中で作っているのだろう。

【写真】醸造所には、蜂蜜酒のサーバーやバーカウンターも

 蜂蜜酒を造っているのは、1930年創業の蜂蜜製造販売会社「金市商店」(中京区)。もともと100種類以上の蜂蜜を取り扱い、同区などに蜂蜜専門店「ミールミィ」を構える。

 同社と蜂蜜酒の出会いは22年前。市川拓三郎社長(40)の母が、ニュージーランドの養蜂家に蜂蜜酒を勧められ、持ち帰った。当時大学生だった市川社長は、蜂蜜酒の存在すら知らなかったが、一口で「何だこれは!」とほれ込んだ。

 同社に入社後は、海外産の蜂蜜酒を輸入販売し、2017年の社長就任とともに城陽酒造(城陽市)に委託醸造を開始した。しかし、自家醸造へのあこがれを持ち続け、今年3月に築約100年の町家を改装し「京都蜂蜜醸造所」(中京区)をオープン。クラウドファンディングで資金を集め、自家醸造を開始した。

 蜂蜜酒は、蜂蜜と水、ワイン酵母だけで醸造する。タンクに原料を入れて3週間ほど発酵させると、蜂蜜の糖分がアルコールに変わり、甘さが抑えられる。当初は手探りでうまく発酵せず、初めて酒ができたときは「ほっとした。大満足の味だった」という。

 そして2024年10月、「The MEAD[ザ ミード]」(500ミリリットル3850円)と、京都府内産蜂蜜だけを使った「The MEAD京都」(同5500円)の販売を開始した。どちらもすっきりとした甘さと蜂蜜の自然な風味が感じられ、冷やして食前酒や食後酒にするのが最適という。「京都」の方がアルコール度数が1%高い8%で、華やかな味わいとなっている。

 「ハニーハンター」を名乗り、日頃から世界中の養蜂家を訪ね歩く市川社長は「蜂蜜酒をもっと普及させたい」と話す。京都市中心部に醸造所を構えたのも、そのためだ。「車を使わず試飲に来られる場所にこだわった」といい、醸造所にはバーカウンターや蜂蜜酒サーバーも併設する。「京都は伝統のまちだが、新しい文化も入りやすい。地元にも、『京都モノ』を求めるインバウンドにも味わってもらえれば」と話す。

 2種の蜂蜜酒は、同社運営の蜂蜜専門店「ミールミィ」や、同社ホームページで販売する。

(まいどなニュース/京都新聞・辻 智也)

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